教室にいるとさまざまな教科の先生のお話を聞く機会があります。先生によって微妙に指導方針が違ってきたりもするのですが、どの先生も必ずおっしゃることがあります。その教科ができるようになりたければ、それだけははずしてはいけませんね。
たとえば辞書について。ほとんどの先生は紙の辞書を使うように指示しています。ただ電子辞書は言われているほど悪くないとおっしゃる先生もいました。辞書をひかないよりはよっぽどいい。一方で「中学生には」絶対に使わせたくないと強調される先生もたくさんいます。

辞書に関してはそんな感じですが、音読の大切さについては全員の先生が音読の習慣がない子は伸びないと断言されています。英語の先生で、音読はまあまあでいいとおっしゃった先生を私は一人も知りません。すべての英語の先生が繰り返し音読するように指示されています。
回数は確かにばらつきがあります。10回〜50回、さらには文字通り「覚えるまで」という先生もいます。50回読んでも覚えていないようならまだ足りないぞということでしょう。

まずていねいに、そして正確に、最後はできるだけはやく読んでごらんとおっしゃっています。まとまった文章――まず教科書やテキストの文章を少なくとも10回以上、声に出して読む。覚えやすくするためには感情移入したほうがいい。感嘆文をうんざりしたような白けた読み方をしていても身につかないでしょう。
だってもう完全に訳せるから必要ないのでは? という生徒が必ず出てきます。しかし「訳」というのは日本語の勉強でしょう。

訳せるようになった英文を繰り返し繰り返し音読するのが英語の勉強です。日本語の訳を残すのではなく、英文そのものが残るようにする。そうやって身体で覚えたものはなかなか忘れません。それこそ中学で覚えた英文を一生忘れない大人が大勢います。ひたすら繰り返したあたりまえの英文を覚えている。10代の時期に繰り返し音読していた証拠ですね。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。