講習のとき「演習授業」というのがあります。まず問題を解いてもらう。その直後に解説する。授業がちょうど1時間なのでだいたい30分間演習、30分間解説というバランスになります。当然、問題は30分(未満)用に作られています。30分でこれぐらいは解き終わらなければいけませんよという分量。
テストではないので点数をつけたりはしないのですが、全員真剣に取り組んでくれます。ただの講義より緊張感があるかもしれません。

すると驚くほど早く終わらせてしまう生徒が出てきます。わーっと集中して解く。ある日10分ちょっとで終わらせた生徒がいました。20分の時点では3人ほど終わっていました。30分たつとだいたいの生徒が終えていて、まだ解いている子は少数でした。
あまりにもはやいので本気でやってくれたのかなと一瞬疑いました。ところが答案を見せてもらうとほとんどできている。

70字と50字の記述もちゃんと書いてあります。片方は少しだけ減点されそうでしたがもう片方は完璧。後日話したとき「問題を解くのがすごくはやいな」と私は言いました。すると相手は何と答えたか。
昔から本ばっかり読んできたから当然だと思いますとおっしゃっていましたよ。前回も書きましたが、読む読まないの差は本当に大きい。大きくつかむ、すばやく理解する、考えをまとめる・・・活字を読む習慣がある人はすべてに有利です。

蓄積があるわけですね。その子も小学生のときから本をたくさん読んできた。仮に三日に二日は読むとすると年間約250日。もっと読んでいるでしょうね。教科書やテキスト以外のものを貪るようにして読んでいる。日に1ページだけということはないでしょうから最低でも15ページぐらいですか。15ページ×250日で3750ページ。3年間でざっと1万1千ページです。
まったく読まない方との1万ページの差・・・あきらかに歩み方が違ってくると思いますよ。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。