漢字テストの準備をしますね。たとえば「一衣帯水(いちいたいすい)」というのが出てきました。読み方の課題として出てきた。テストでは「いちいたいすい」と書けばまるがつきます。ただそんな覚え方では当然ながら広がりがありません。一衣帯水とはどういう意味か。わからなければ、国語辞典で調べる必要があります。せめて周囲の大人に質問する。わからないことをそのままにしておくのは感心できません。

さらに「がでんいんすい(我田引水)を地でいく男」という書き取り課題が出てきた。何度か練習すれば我田引水とすぐに書けるようになります。ここまでは誰でもやります。さらに我田引水の意味を調べますね。書き取り課題であれば、おそらく半分ぐらいの人はそうするでしょう。ですが、そのあとの「地でいく男」までは調べようとしません。
調べる人がいることはいるのです。わからないことを絶対そのままにはしておかない人。すると調べない人と調べる人の差は日々開いていきますね。

わからないところは確実に調べる気持ちを持ってください。忙しいときは調べきれないかもしれません。しかし、わからないことがいっぱいあっても調べなくていいと開き直ってしまうと心配です。
勉強というのは「わからないことをわかるようにして覚える」繰り返しです。さきほどの例で言えば「我田引水」を前々から知っていればその部分はいいでしょう。ただ「地でいく男」がわからないままであれば、課題文を完全に理解したことにはなりません。

何かひっかかるところはないか、不安はないかと正直に検討していくようにしてください。ときどき宿題があっという間に終わってしまってやることがないという人がいますが、本当にぜんぶわかっていますか? 問いを解き終えただけではないですか。偶然わからない部分と問いが重ならなかっただけなのに、完璧に理解したと勘違いしてしまう。入試問題でも、教科書の欄外から出題されることがあります。隅から隅までぜんぶ理解してやるぞという意気ごみが大切です。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。