テストの答案が返ってきてから見直さない生徒が案外多いので、ちょっと心配です。どうして見直さないのかと質問すると大きく分けて三つですね。まずもう二度と同じ問題は出ないから意味がないと言う生徒がいます。次にやり直そうにもよくわからないのでやり直せないと言う生徒がいます。最後に単純に面倒臭いからと答える生徒がいます。
どの答えも同じことになってくると思いますよ。あなたができなかったところをそのままにしておく。テストを「できるところ」の確認にだけ使っている。

あなたという人間が進歩向上していくためにはテストでも何でも同じですが、いままでできなかったことができるようになってはじめて進歩があります。違いますか? いままで鉄棒の逆上がりができなかった。それがある日できるようになった。歌詞を覚えていないのでたどたどしくしか歌えなかった。それがついにすらすら通して歌えるようになった。そうなってはじめて進歩したということになります。
できないものがそのままでは進歩向上していないということでしょう。

テストというのは幸い解答を渡されます。簡単な解説も書いてあるものが多いですね。それをきちんと読んでください。だいたいのところはわかるはずです。どうしてもわからなければ先生のところに持っていって質問してください。恥ずかしがらないことです。どんな質問でも先生方は少なくとも生徒にやる気が出てきたことを好意的に受け止めてくださるはずです。
頻繁に質問するようになったら内申が突然上がったと言っていた生徒が複数いますが、わかろうとしているわけですから少なくともその意欲は買ってくださるでしょう。

一学期のすべてのテストの直しをやるぐらいの気持ちを持ってください。そしてまたそれがいちばん効果的な勉強になります。自分ができなかったところを確認しているわけですから、じつはそれ以上「効率のよい」勉強はないぐらいです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。