忙しい忙しいと文句ばかり言っていて肝心なことから逃げているケースは大人にも見られますが、それでは進歩がないわけで何かしら工夫は必要です。
あなたが成績を上げることをまず第一に考えるのであれば――このコラムは「どうしたら勉強ができるようになるか」というタイトルなので――どんなに忙しくても勉強するための時間だけはきちんと捻出していかなければいけません。

現在の生活の中からあなたがやらなくてもいいことをそいでいくということです。やらなくて「も」と「も」を入れたところに注目してください。「やらなくていいこと」と「やらなくてもいいこと」では若干ニュアンスが違いますね。
ある受験生はきっぱりゲームをやめたと報告に来ました。するとびっくりするほど時間ができた。以前は夜中にこっそりやっていたりもしたので、睡眠時間まで確保できた。またある受験生はテレビを見るのをやめたと言っていました。世の中のことが気になるため、ニュースだけは見て娯楽番組は入試まで見るのをやめた。

さらに部活でさえやめましたという子もいます。文武両道と言いますね。文武両道というのは、好きなことだっていっぱいやらせてよというのとはちょっとニュアンスが違います。文と武の双方を通じておのれを鍛えるという意味でしょう。目的は自分を鍛えることです。そのために両道を使う。
好きなスポーツもやっているから勉強時間がないのは仕方ないじゃないかと主張したりするのは、そもそもの考え方が少しズレているように感じます。

やるべきこと(=勉強)をやる時間を確保するというのは大前提だと思いますよ。
勉強部という活動をしているある高校を知っていますが、勉強部に所属する生徒は昼休み本格的なお弁当はなしです。皆さん食べながらも勉強できるように、サンドイッチだとかおにぎりだとかを持ってきて時間を作っている。嬉々としてそうしています。忙しいと不満をもらすのではなく、時間は工夫して作るものだということです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。