少しずつ核心に近づいています。
勉強の核心とはこういうことです。知らないことを知ること、覚えること、できなかったことができるようになること。これが定義です。
すでにできることをなぞるのは勉強は勉強でも効果という意味ではちょっと薄いかもしれません。ときどきひたすら問題を解く人がいます。何時間もかけて何教科も解く。

数学90点、英語80点、国語70点。採点してミスしたところは解説を読む。ああ今日もよく勉強した。4時間近く頑張ったで終わってしまう。
机に向かい続けた気力は賞賛できますが、このやり方でどれぐらい力がつくかはちょっと心配です。つまりあなたははじめから数学90点、英語80点、国語70点分の実力は持っていた。それはもともとあなたに備わっていたもので、今日の勉強でついたわけではありません。

できなかった数学の10点分、英語の20点分、国語の30点分はどうなっていますか? 解説をざっと読んだ程度で本当に「知った」「覚えた」「自分のものにした」と言えるでしょうか。
勉強の要諦はこういうところにあるのです。さらに時間をかけて間違えた部分を徹底的にやる。何度も何度も書いてみるといいでしょう。声に出して読んでもいい。最後に問題を書き写して自力で解き直す。

それですらすらいくのであれば少し安心です。すらすらいかないようなら翌日もう一度やってみてください。
問題集というのは「できるところとできないところの見極めをつけるために」やるのです。何時間問題を解き続けても「できなかったところをできるようにする」という大前提が崩れていたら何にもなりません。
長時間机に向かっているのに効果がないと嘆く人がいますが、このあたりに問題があります。未知のものを既知のものに変えていき、さらには得意なものに昇華していく過程こそがホンモノの勉強だということです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。