一般的に、人間は朝がいちばんすっきりしているものです。寝て起きてまだ何も食べていない状態。寝不足だとかそういうことはあるにしても、さまざまな活動――学校に行ったり部活で走ったり食事をとったり友だちと気まずくなったり――を経た就寝前の数時間よりは、朝のほうが格段にエネルギーが充填されています。
とくに受験生の方は朝の活用を心がけてください。朝とにかく早く起きると決める。起きたらすぐに蒲団を抜け出して着がえると決める。

この「決める」というのが大切なところです。できれば起きたいとかたまには起きたい、ではない。毎朝起きると決めるのです。そして勉強する。慣れてくれば深夜の倍ぐらいの効果が得られるはずです。深夜だと1時間ぐらいかかることが、半分の時間で終わる。
早朝勉強するときは、活性化させるために積極的に声を出してください。手を動かしましょう。早朝勉強用のノートを作り、朝の勉強が形として残るようにするといっそう効果が上がると思います。

ちょうどいいのは5時起きでしょう。2時間勉強できます。またそのために前夜ある程度早く寝なければいけないというのも、とてもいい習慣になるでしょう。22時すぎには寝てしまう。
塾に来ている生徒でもいますよ。帰ってからは一切勉強しない。学校の宿題はすべて翌朝やるようにしている。睡眠時間についてはいろいろなことが言われていますが、神経質になりすぎないことも大切です。ときには5時間睡眠の日があっても、毎日でなければ大丈夫です。

夜中に何となく起きているというのがいちばんまずいですね。勉強しているようで、あれこれ夢想状態だったりする。ご自身で気づいていないのです。それもまた疲労のせいだと思います。
早朝に2時間勉強してしまうとかなりの貯金ができますね。学校やご家庭で何かアクシデントがあって思うように勉強できなくても、すでに2時間分は稼いでいる。そうしたこともまた大きいのです。工夫してみてください。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。