キャンパスレポーターに聞く、学び・大学生活の極意
志望校選択の「決め手」
11月になり秋も深まってきました。受験生のみなさんは、出願大学・学部を決定する時期に入ってきましたね。高2生以下のみなさんは、志望大学・学部をどのようにして決めればよいのか、迷っている方もいらっしゃるかもしれません。今月は、志望大学に合格した先輩が、志望大学・学部選択の「決め手」について自身の経験を交えてアドバイスします。 「決め手」は人それぞれですが、ぜひ参考にしてみてください。
あなたは将来何をしたいですか
▲北海道大学医学部の建物です。
私は幼いころから医師になりたかったことと、他学部の人と交流できることを理由に、北海道大学医学部を選びました。他大学では、ほかの学部から離れた場所に医学部専用のキャンパスがあることが多いのですが、北海道大学は医学部を含め多くの学部が札幌キャンパスに集っています。また、将来の進路が多岐に渡ることも決め手の一つでした。合格することを考えるならば入試の難易度も気になるところですが、それ以上に大切なのは入学後の自分の姿を思い描くことです。この大学、この学部に入って何をしたいのかを自分で決めることが重要です。大学合格後のその先もずっとみなさんの人生は続きます。偏差値にとらわれず、長い目で見て大学を選んでくださいね。
志望校選択の決定打を見つけよう
▲東京大学本郷キャンパス赤門前。高校1・2年時にオープンキャンパスで見上げた赤門を見るたびにいつも感慨深い気持ちになります。
中高生のみなさんはどのように志望校を選択されているでしょうか? 私自身の経験を交えてお伝えします。まずは堅苦しく考え過ぎずにぼんやりと将来携わりたいことや理想像などを書き出し、自分の現状と照らし合わせてみるのがよいと思います。そのうえで具体的に各大学のホームページやパンフレットを参照し、その大学もしくは学部では何を強みとしているのか(研究内容・海外との提携・環境など)や、それらが自分の興味と合致しているかなどを見てみましょう。この過程では、大学を絞って情報を収集するよりも、複数の大学・学部を比較検討し徹底的に分析しましょう。志望大学・学部選択の決定打を見つけることができます。またオープンキャンパスに参加し、その大学での学びや学生の雰囲気などに触れてみるのも非常に役に立つのでおすすめです。
将来につながる大学・学部選びを
▲伊豆・下田の白浜海岸と朝日です。美しい景色に、自分の将来に向かってがんばる気持ちが湧いてきました。
受験生時代を思い返すと、志望大学や学部を決めるにあたって、偏差値や就職活動における利点などを基準とする人が多かったように思います。現在の日本において、学歴を優先することは当然ともいえますが、他人からどう見られるかを物差しに人生設計をするのは本当に適切でしょうか?大学は、学部によって学ぶ内容が大きく異なります。興味のない分野に進んで苦労している友人は、私の周りにもたくさんいます。私は、弁護士になるために法学部に進んだので、法律の勉強はまったく苦ではないですし、自分の将来に直結している実感があります。受験生になって勉強に真剣になるほど、受験をゴールとして捉えがちになります。ふと立ち止まって、自分が何者として生きていきたいのか、考えてみてください。
自分の「軸」を大切に
▲オープンキャンパスでもらったパンフレットを集約したファイル。このファイルを大学選びに活用していました。
私は自分なりの「軸」を設け、それに合う大学を選びました。私は進路の多様性、研究への取り組みを「軸」に大学を選びました。それぞれの大学のオープンキャンパスや、いくつかの大学が集まって行われるイベントに参加し、各大学の特徴を把握したうえで「軸」を探しました。また、大学生に話を聞くことによって、学生目線でのリアルな大学生活をイメージできます。オンラインのオープンキャンパスでも、学生や教職員の方と実際にお話しすることができるので、ぜひ積極的に利用してみてください。みなさんも自分なりの「軸」を見つけ、納得できる大学選びにつなげてください!
直感は大事!!
▲四谷キャンパス脇の真田堀から撮影した大学の写真です。春になると桜が満開になって毎年入学生で賑わいます。
私が上智大学を進学先として選んだ一番の理由は、正直インスピレーション(直感)でした。初めてキャンパスに足を踏み入れたのは高校3年生の夏休み。それまでなぜかオープンキャンパスなどに参加してこなかったのですが、このとき参加した上智大学のオープンキャンパスで、「ここに通いたい!」と直ぐに感じました。もちろん模擬講義などを通して、現在在籍している学部の学びにも惹かれました。ですが、ある程度「直感」は大事にしてもよいのかもしれません。「この学問はここ以外の大学ではできない」というケースはあまり多くないように感じます。だからこそ、その大学の雰囲気や環境が自分に合っているかという観点も、大学生活の4年間を有意義なものにするためには欠かせないポイントだと思います。
入学後をイメージして
▲友人と鴨川で楽器を持ち寄ってセッションをたまにしています。京都ならではですね。
決め手は2点あります。1点目は「系登録」というシステムがあったことです。これは大学3年進級時に初めて自身の専門領域を決めるというシステムであり、入学前と大学入学後のギャップに対応できるメリットがあります。高校3年の時のイメージで専攻を決めることにリスクを感じていたため、このシステムは私にとって魅力的でした。2点目は京都に魅力を感じたことです。私は東京大学と京都大学で迷っていましたが、4年間の大学生活という観点から、京都の方に魅力を感じました。具体的には通学、家賃、街の雰囲気の違いです。通学は肉体的に、家賃は経済的に、街の雰囲気は精神的に自分にマッチしていると感じたからです。大学選びの判断基準はさまざまですが、トータルで判断して悔いのない選択をしてほしいです。
数ある大学から「これ!」を選ぶ
▲京大・時計台の夜の様子です。大学選びの時にキャンパスや大学周辺の雰囲気も考えてみるといいかもしれませんね。
志望校を決めるときに重要なことは、「自分の中に優先順位をつける」ことです。たとえば、私は第1に日本の教育システムを知りたい、第2に先生になりたい、という目標があったので、第1志望は2つとも叶えられるところ、第2志望は一つ目の目標が叶えられるところ、というふうに決めました。目標に優先順位をつけにくいという場合は、やりたいこと(送りたい大学生活)という基準を加え、それらを一番叶えやすいところで選ぶとよいでしょう。このように、自分の中に優先順位をつけると、志望校を選びやすくなりますし、周りの人にも説明しやすくなります。日本には星の数ほど大学や学部があります。どんな夢や目標にせよ、それを叶える、学べる場所があるはずですよ。
学びたいことの見つけ方
▲海外の文化を研究している大学施設。大学に入ってからも、いろいろな人に話を聞いたり大学の中を散策したりしていると、いろいろな学問への入り口があって興味をひかれます。
私は「自由の学風」と言われる大学のイメージと、興味がもてる研究内容をもとに、志望大学・学部を選びました。また高校の課外プログラムで京大に行くことが何度かありました。これは大学の様子を知るよい機会となり、また自分が大学で学びたい内容について考えるきっかけにもなりました。自分が大学で何を学びたいか、将来どんな仕事をしたいか、まだわからない人も多いと思います。時間が許せば、課外活動などに参加してみたり、本を読んでみたり、大学生や社会人と話してみたり、いろいろなことに興味をもって積極的に動いてみると、自分のやりたいことや学びたいことがわかってくるでしょう。
4年間を過ごすところ
▲観光地となっている池のほとりのカフェから。左端に見えるのが興福寺の五重塔です。
私は高3の夏休みまで志望校を決めきれていませんでした。オープンキャンパスだけでなく、学校の休みも利用してあちらこちらの大学に赴いていました。というのも4年間もそこで過ごすのだから後悔のない地域に住みたい...!と周囲とは異なる意識で大学を選んでいたことが原因です。私は「ある程度、中心地・文化遺産にアクセスがよいこと」「自然が多いこと」「なんとなく気に入る場所であること」を基準にしていました。最終的には大学の特色で決めましたが、前述のように第一優先は在住地域でした。みなさんにとってはなかなか不思議な理由だと思いますが、こんな自由な選び方もあるのか!と思ってもらえたらうれしいです。
大学ごとの特徴を知ろう!
▲『ニューステージ 新生物図表』/浜島書店
高校生のころ、生物が大好きだったので、この資料集はボロボロになるまで使いました。(何とか表紙だけは無事です…)
私は九州出身のため、中学生のころから九州大は憧れの大学として意識していました。はっきりと九州大農学部を志望し始めたのは高3の春です。それまで漠然と生物系を学びたいと思っていたものの、具体的に分野を絞れていませんでした。あるとき、九州大農学部は入学1年半後に専門分野に分かれるというシステムであることを知り、何を専攻するかについて考える時間が十分にあることに惹かれて志望しました。大学ごとに特徴は異なるので、ぜひチェックしてみましょう。私は国公立・私立問わず、全国各地の大学の資料を取り寄せて読んでいました。大学の特徴や雰囲気を知ることはおもしろいだけでなく、モチベーションアップにもなりました。今は無料で資料請求できる大学が増えているので、積極的に取り寄せて調べてみてください。