巷に溢れるプライベートブランドには注意せよ!という警告本のように思えるでしょ、タイトルだけだと。

しかし、必ずしもそうではない。

すべてのプライベートブランドを「まやかしだらけ」と言っているわけではない。

いくつか引用。

チェーンストアの創業者たちについて。

《第二次世界大戦において生き残ったわれわれの後ろめたさがスタートにあるわけですよ。ダイエーの中内功も、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊も、イオンの岡田卓也も、すかいらーくの茅野亮も、あるいは亡くなった日本マクドナルドの藤田田も、祖国日本を少なくともアメリカに追いつき追い越すものにしたいという強烈な思いがあった》(p222)

これは別にチェーンストアに限らない話ですが、創業者から何代もたってもなお、創業者と同じ強烈な思いを持ち続けている企業がどれだけあるだろうか。

《日本の消費者が小売店で買う商品価格は製造原価の十倍である。アメリカのそれは三・五倍で売られている。つまり、日本は三倍も高い。だから、アメリカの人たちよりも年収が多くても貧しい暮らしになってしまう。/なぜそのようなことがアメリカでは可能なのか。それは日本とは別の仕組みがあるからだ。アメリカのチェーンストアは、直接、製造原価まで遡ったところで仕入れを行っていることが、日本とは根本的に異なっている。その仕組みだけは、われわれは素直に優れた仕組みとして、あるべき仕組みとして、アメリカから素直に学び取ろうではないか……。》(p225)

現状を「おかしい」と感じることがパワーになる。

みなさん、「おかしい」と感じること、ありますか?

Z会の講座「総合」を担当する者としては、そういった気持ちを忘れずに日々、考え続けてほしいと思う。

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著者プロフィール

川渕 健二(かわふち けんじ)

おかしいものはおかしいと口に出して言えること、
他者と協同してそれを是正していける人が増えることを願う、
Z会の中高一貫コース「総合」担当者。釣りをこよなく愛する。