フレッド・ピアス『「エコ罪びと」の告白』(日本放送出版協会)を読む。

これ、イギリスの中流以上の生活を所与というか前提として書かれているので、人によっては「ん?」と思うところ、いくつかあるかもしれません。

たとえば、こんなところ。

《ある研究によると、ごく一般的なユーザーはTシャツを二十五回ほど洗濯してから捨てるとされている。摂氏六十度の温水で洗濯し、回転式乾燥機にかけ、アイロンでしわをのばすと、約四キログラムのCO2を排出することになる。》(p109)

著者は、これに対して反論を加える。

《いったい誰がTシャツを六十度の温水で洗濯するだろう? 通常は、五十度くらいなのではないか? それに、誰もが回転式乾燥機を使っているだろうか? おまけに昨今、洗濯するたびにTシャツにアイロンがけをする人がどれだけいるだろう?》(p109)

どうやらイギリスでは、五十度のお湯で洗濯するのが一般的なようです。みなさんのご家庭ではいかがでしょう。

ちなみに我が家の洗濯機は蛇口直結なので、夏は冷たい水で、冬はキーンと冷たい水だ。水源が富士山の雪融け水だからな。

また、イギリスではTシャツを二十五回ほど洗濯して捨てるというのも一般的らしい。

我が家では、捨てる前に、まずパジャマ代わりになるな。その後は、ウエスに加工だ。

《私たちの社会は、いまやこのインジウムなしには成り立たないが、残りはあと十年分しかない。》(p187)

インジウム……それなしには我々の社会が成り立たないようなもの……一体、どんなものだろう、と思って読み進めてみると。

《インジウムはやわらかく、非常に薄い被膜になる。そのため、年間十億台ほどの家電製品、おもにテレビや携帯電話の液晶ディスプレイなどに用いられいている。》(p192)

なんだ、どんなものかと思ったら。テレビや携帯電話がなくても、我々の社会、成り立つと思いますよ。

現在みんなが「あってアタリマエ」と思っているもの、しかし50年前にはなかったものが、今急になくなったとしても、意外と困りはしないのではないか、とも思う。

《自家用車をもっていない私は(驚かせて申し訳ないが、ロンドンではそれでやっていける)、電車で移動することが多い。》(p214)

別に驚きません、って。都会に住んでいれば、クルマなんて持たなくても、十分暮らしていける。

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著者プロフィール

川渕 健二(かわふち けんじ)

おかしいものはおかしいと口に出して言えること、
他者と協同してそれを是正していける人が増えることを願う、
Z会の中高一貫コース「総合」担当者。釣りをこよなく愛する。