北健一『高利金融 貸金ビジネスの罠』(旬報社)を読む。
 
いやー、なかなか勉強になりました。
 
この方面での「規制緩和派=カネを貸す側」の後押しをしているのも、アメリカだったとは。
 
とはいえ、アメリカにしても、高利金融業をやっている人たちにしても、こう、長いスパンでモノを考えるということは、しないのだろうか。
 
著者は彼らのやり方を「焼畑農業」にたとえているが、もっとものように思われた。
 
消費者金融で働いていた人のコメント。
 
《「消費者金融は言ってみれば、たばこのようなものです。一度手を出すと、やめられない。がんばってやめても、再び手を出してしまう人が多い。……消費者金融のトラブルに巻き込まれないためのアドバイスは、たった一つです。『金は借りるな』ですね」》(p123)
 
業界寄りの学者は、「消費者向けのローンが増えれば増えるほど消費も増える」、したがって景気もよくなる、逆に「主要な購買が所得や資産保有が十分な水準に達するまで延期される」と、GDPにマイナスのインパクトを与えるのでよくない、と主張されている由。
 
これもなあ。「今、ここ」しか考えていない議論のように思える。あるいは、世の中全員、ローンの金利以上に所得が増え続け、資産価値が増え続ける、という前提なのか。そんなことが永遠に続くわけはないってこと、ちょっと考えればわかりそうなものだと思うんだけどね。

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著者プロフィール

川渕 健二(かわふち けんじ)

おかしいものはおかしいと口に出して言えること、
他者と協同してそれを是正していける人が増えることを願う、
Z会の中高一貫コース「総合」担当者。釣りをこよなく愛する。