黒薮哲哉『崩壊する新聞』(花伝社)を読む。
 
内容は、再販制度をめぐるアレコレや、押し紙問題などについて。
 
再販制度のアレコレをめぐる新聞社側の主張だが、戸別配達制度の維持、というより、専売店制度の維持という側面が強いらしい。専売店制度を維持する限り、メーカー=新聞社側が、パワーを行使できる、という意味で。
 
これ、街の電器屋さんとヤマダ電機にたとえるとわかりやすい。街の食料品店とイトーヨーカ堂でもイメージできるか。
 
もちろん、街の電器屋さんや食料品店が、新聞における専売店さん。
 
街の電器屋さんや食料品店の時代は、メーカーのほうが圧倒的にパワーを持っていたけど(「卸しているのだから、値段はこっちの言うとおりにね」)、巨大な小売チェーンが出てきた結果、パワーはそっちに移りましたよね(「顧客をより知っているのは我々だし、大量に売っているのだから、この卸値でこのスペックの商品を、メーカーさん作ってね」)。
 
上記のようなパワーシフトを避けたい気持ちはよくわかるのだが、時代の流れとして、専売店的なものがいずれ廃れるのは、間違いないような気もする。だとしたら、古い構図を守ることに注力するよりも、新しい構図に備えておいたほうがいいのではないか。
 
「押し紙問題」については、コラム「第二回:『日米決戦下の格差と平等』を読んで」で「幽霊人口」のことを書きましたが、それに似た構図がある、と感じましたね。

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著者プロフィール

川渕 健二(かわふち けんじ)

おかしいものはおかしいと口に出して言えること、
他者と協同してそれを是正していける人が増えることを願う、
Z会の中高一貫コース「総合」担当者。釣りをこよなく愛する。