現在20代〜30代の方の中には、「私、大学入試でプログラミングを使いました」という方が一定数いらっしゃいます。ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、大学進学を希望する多くの受験生が受験する「大学入試センター試験」では1997年から2015年までの間、数学の選択問題として「プログラミング」を選択することができました。年度によっては他の選択問題よりも難易度が低く、「センター試験の数学で高得点を狙うためにはプログラミングの問題を選択するのも手だ」という指導をする学校や予備校もあったほどです。これだけ見れば「高校ではずいぶん以前からプログラミング教育が行われていた」ように感じるかもしれません。その答えはYesであり、Noでもあります。
高等学校の「学習指導要領」にプログラミングが登場したのは意外と古く、昭和48年度(1973年度)より施行されたものにはすでに「プログラミング」の文字がありました。「工業科」のカリキュラムや数学の一部に導入されたのを初めとし、2003年度からは「情報」という名称の教科も新設されました。
しかし、1973年から現在に至るまで、普通科の高校では授業の中で「プログラミング」があまり取り上げられてきませんでした。一番大きな原因は、数学の一部としてのプログラミングも、教科「情報」のプログラミングも、大学入試ではほとんど取り上げられないところにあるでしょう。そのためか、教科「情報」を担当する先生のおよそ半数が他教科との兼任、およそ3割が免許外教科担任(教科『情報』の免許状を持っていない教員)であるという調査結果もあります。上級学校への進学者が多い学校であればあるほど、プログラミングに限らず、「情報」関係の指導に力を入れられていないのが現状です。