iOS12の新機能「スクリーンタイム」を利用して、お手持ちのiPhone/iPadの機能制限を行い、うまく機器と付き合っていく方法を考える連載3回目。最終回の今回は、「スクリーンタイム」を遠隔で利用して、保護者のiPhone/iPadからお子様のiPhone/iPadの様子を覗ったり、お子様から「今日はあと15分だけこのアプリを使いたい!」という要望があった時でも、お子様のiPhone/iPadに触れることなく、手元の自分のiPhone/iPadから許可が出せる機能をご紹介します。少し事前設定が面倒なのですが、1回やってしまえばあとは難しくありません。

iPhone/iPadの隠れた便利機能「ファミリー共有」を活用する

 iPhoneやiPadを使う時には、基本的に「Apple ID」を設定することを初期設定の際に強く求められます。ただ、お子様向けのiPhone/iPadについては、お子様が勝手にアプリを入れたり、よからぬ使い方をして請求をされてしまうという心配もあるかと思います。実は、そうした利用を防ぐために「13歳未満のお子様用のApple ID」を作ったり、そのIDを家族と紐づけて、有料アプリを「買いたい!」となった時にお子様から保護者に「承認リクエスト」を送るような機能が存在しているのです。

今回はこの「ファミリー共有」の仕組みを応用することで、お子様のiPhone/iPadの設定を(お子様のiPhone/iPadに触れなくても)遠隔で変更したり、お子様から来た「あとこのアプリを15分使いたい!」という要求を遠隔で承認したり、却下したりするような仕組みを紹介します。

 ファミリー共有を利用するには、保護者の方のiPhone/iPadから設定」アプリの一番上の部分(機内モード設定の上、iPhoneに登録した名前の部分)をタップします。(保護者の方のiPhone/iPadにApple IDが設定されていないと、この機能は利用できません)

 すると画面の下の方に「ファミリー共有」という項目が表示されているかと思います。ここをタップすると、「ファミリーメンバーを追加」というボタンがあるので、タップしてみましょう。すると「iMessageで登録を依頼」「直接会って登録を依頼」「お子様用アカウントを作成」の3つの選択肢があります。

 このうち上記2つは、すでにお子様用のApple IDを作っている場合に利用します。一方、お子様専用のApple IDを作っていない場合(保護者の方のApple IDを共用している場合など)には、ここで「お子様用アカウントを作成」でApple IDを指示に従っていけば作ることができます。

お子様のApple IDを作成

 まず、先ほどの画面で「お子様用アカウントを作成」を選択すると、最初にこの説明が出てきます。この機能を使う場合は、原則として保護者の方が
  • Apple IDをすでに取得している
  • そのApple IDに有料アプリを購入するための支払情報(クレジットカードなど)が登録されている
の2点を満たす必要がある、と書かれています。
 右上の「次へ」を押して先に進みます。

 最初に、お子様の誕生日を入力します。これは、年齢を判定することに使われます。

 続いて「保護者プライバシー同意書」に同意が求められます。内容を確認し、右下の「同意する」を押すと先に進めます。

 その次には、保護者のApple IDの支払方法の確認が求められます。この例では、保護者のクレジットカードのセキュリティコードの入力が求められています。入力して、右上の「次へ」をタップします。

 続けて、お子様の名前を入力し、右上の「次へ」をタップします。

 次の画面で「Apple ID」として使用するメールアドレスを作成します。@以下は、icloud.com に指定されています。
@の前を任意の英数字や記号で自分で作成するのですが、ある程度の長さがないと「既に使われています」のエラーが出てしまいますので、ほかの方が使っていないメールアドレスを入手できるまで、試行錯誤をしてみてください。

 うまくいくと、このようなダイアログが出てきます。ダイアログに記載があるように、このメールアドレスは後から変更ができませんので注意してください。

 続けて、3つの「秘密の質問」を入力します。これは、万一パスワードを忘れてしまった時にアカウントを復活させる時に使うものです。基本的に、保護者の方が入力をしてください。

 3つの質問を入力し終わると、「承認と購入のリクエスト」という画面が出てきます。これが、前述の「有料アプリをお子様が購入しようとすると、保護者に『買ってもいい?』という通知が飛ぶ」という仕組みになります。原則としてONにしておきましょう。

 右上の「次へ」をタップすると、この機能の利用規約が表示されます。確認して、右下の「同意する」をタップすると先に進めます。この後、また別の規約が表示されますので、同様に確認と同意を行います。

スクリーンタイムの設定

 同意画面が終了すると、その後続けて「スクリーンタイム」の設定画面が登場します。このあたりの内容は「入門編」とまったく同じなので、そのまま設定をしてしまいましょう。
ここまでが終了すると、「ファミリー共有」の中に先ほど入力したお子様の情報が追加されているはずです。

 さらに、保護者のiPhone/iPadから「スクリーンタイム」の項目に移動すると、入門編の時にはなかった「ファミリー」という項目が追加されているはずです。ここをタップすると、
  • そのお子様の休止時間の設定変更
  • そのお子様のApp使用時間の制限
  • そのお子様の制限の例外となるアプリの設定
  • そのお子様の機能制限の設定
  • そのお子様がどのアプリやWebサイトをどの程度使っているかの統計情報
などが、「そのお子様のiPhone/iPadに触れることなく」遠隔で見ることができるようになります。

お子様からのリクエストと、その対応方法

 最後に、お子様が「あと15分だけこのアプリを使いたい!」とリクエストする時の操作方法をご紹介します。

 起動が制限されているアプリを開くと、上記のような画面が(お子様のiPad/iPhoneに)表示されます。
 この状態で「時間延長の許可を求める」というボタンを押します。(この表記が漢字表記しかないので、最初だけはお子様に使い方を教えてあげてください)

 続いて、下の方から出てくる選択肢にて「リクエストを送信」「スクリーンタイム・パスコードを入力」のいずれかを選ぶよう求められます。この画面で「リクエストを送信」を選択すると、保護者のiPhone/iPadに「お子様が○○のアプリの利用時間の延長を求めている」旨の通知が飛んできます。

 この通知を見逃したり、閉じてしまった場合でも、リクエストは「設定」→「スクリーンタイム」と選択すると、こちらの画像のように「時間延長許可リクエスト」という項目のところに出てきます。

 ここで「スクリーンタイム・パスコード」を正しく入力すると、「15分間許可」「1時間許可」「終日許可」「承認しない」の4つの中から対応を選ぶことができます。家庭内のルールに沿う形で、許可をしてあげるとよいでしょう。

 許可がされたら、お子様のiPhone/iPad上で「保護者がリクエストを承認した」ことが通知されます。この例では、「写真」アプリがあと15分追加で利用できることが通知され、実際に写真のアプリが開けるようになった(その前までは砂時計が表示され“時間オーバーだよ”と表示されていた)ことがわかります。

この方法を使えば、共働きでたまたま保護者がだれも自宅にいない時でも、状況に応じてお子様に利用時間の延長など柔軟な対応が可能になります。

少し設定は面倒ですが、冒頭に記載したとおり1回だけ初期設定してしまえば、それほど難しくはありません。また、これらの機能はiOS12以降には標準で備わっていますので、すべて「無料」で使える、というのもありがたいポイントです。

もちろん、こうした制限や許諾などを行わなくても、お子様が最終的に自制心を持ってiPhone/iPadが使えるようになるのが理想です。段階的に制限を緩めていったり、時には厳しくしたりと、ご家庭内で話し合いをしながら設定の在り方を学年・年齢に応じて変更していくとよいでしょう。
※iPhone, iPadは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

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公開日:2018/11/28
最終更新日:2018/12/12