先日公開したiOS12「スクリーンタイム」特集(1)は、主に中高生が自分自身を律するために、自ら手持ちのiPhoneやiPadに制限をかけて、誘惑を断ち切るための方法をご紹介しました。

しかし、Z会ではiPadを活用した通信教育サービスを小学生にも提供しています。そして、最近では小学生でもiPadや、塾に通っているなどの理由でiPhoneを持っているケースも出てきていることでしょう。その際に、「ウチの子、スマホやiPadをこれから使う時間が長くなってしまわないだろうか…」「ちゃんと親子の約束、守れるかな…?」という心配をされる保護者の方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は保護者がお子様にiPhoneまたはiPadを手渡す際に、ぜひとも活用したい設定方法についてご紹介します。今回も、iOS12の「スクリーンタイム」の機能を応用するのですが、このスクリーンタイムは非常に細やかな制御ができるようになっており、使い方もいろいろです。そのため、今回はこうした機能制限を初めて使われる方向けに「入門編」として、比較的簡単にできる「スクリーンタイム」機能を活用した利用制限方法をご紹介します。

iOS12の入手とインストールについて

 お子様が実際にお使いになるiPhoneまたはiPadのiOSのバージョンが古い場合は、まずiOS12にバージョンアップしましょう。
 手順については、iOS12「スクリーンタイム」特集(1)の記事とまったく同じですので、そちらをご参照ください。

iOS12にアップデートしたら

 iOS12にアップデートすると、最初の「Hello」画面で「スクリーンタイム」機能をONにするかどうかを確認してきます。この時、「オンにする」を選択することもできますが、オススメはいったんここはスキップしてあとから「設定」画面からオンにする方法です。今回はこの方法で使い方をご紹介します。

 新たに「おやすみモード」の下に「スクリーンタイム」のアイコンが増えていることがわかります。ここをタップすると、スクリーンタイムのダイアログボックスが登場しますので「続ける」をタップします。

 続けて出てくるダイアログでは、お子様がお使いになるiPhone/iPadですので「これは子供用のiPhone/iPadです」を選択してください。

 すると、続けての画面で「休止時間」を設定することができます。
この「休止時間」は主に「就寝すべき時間帯」を設定するためのもので、休止時間として設定している間は原則としてiPhone/iPadが一部の許可されたアプリしか使えなくなります。また、就寝を妨げるようなアプリへの「通知(振動や光などで情報を知らせる機能)」が無効になります。

例えば「スマホやタブレットを使っていいのは夜9時まで」というふうに親子でルールを決めておき、そのルールに従って「休止時間」を設定すれば、その間はiPhone/iPadの機能がほとんど使えなくなる、ということも可能です。

なお、後述する方法で「休止時間中でも例外的に使えるアプリ」の設定も可能です。例えば、勉強用アプリだけは制限をしない、という設定もできますので、必要に応じて設定してみてください。(特に休止時間を設定する必要がない場合は「あとで行う」を選択して、設定自体をスキップしましょう。)

App使用時間の制限

 上記の「休止時間」はあくまで「夜中のスマホ・タブレットの使い過ぎを防ぐ」という機能であり、昼間の間にゲームやお遊び機能を何時間も使ってしまっては本末転倒です。
 そこで、「1日の間にゲームは1時間まで」といった制限をかけることができるようになっています。先ほどの「休止時間」と組み合わせて使うことで、より強力な機能制限ができます

 といっても、ゲームや娯楽などのアプリはたくさんあります。アプリごとにいちいち「このアプリは○○分まで…」という指定をするのは大変ですし、新しいアプリを入れた場合には都度、設定をし直すとなると、面倒ですよね。そのあたり、この「スクリーンタイム」ではよく考えられていて、使用時間の制限については「アプリの種類(カテゴリ)ごと」に設定するようになっています
 例えば「ゲーム」カテゴリの制限を1時間までに設定すれば、どのゲームアプリで遊んだかにかかわらず、ゲームアプリ全体での利用時間が裏側でカウントされ、合計1時間に達するとその日は使えなくなります。

 同じように、SNSやエンターテイメントといったカテゴリも用意されています。(教育、もあります)

 標準だと「すべてのAppおよびカテゴリ」が選択されていますが、これを選んだ状態で制限時間を「1時間」と設定すると、その日に1時間iPadを使ったら、(仮に勉強アプリであっても)その先は強制的に使えなくなります。なので、「勉強用途なら何時間でもよいけど、他のアプリは合わせて1時間以内で」といったルール設定も可能です。

 なお、この機能についても後述する例外設定をすることで、特定のアプリだけはこの制限を受けないようにすることも可能です。(特に時間制限をする必要がない場合は「あとで行う」を選択して、設定自体をスキップしましょう)

コンテンツとプライバシー

 この画面では特に設定項目はなく紹介だけなのですが、「App使用時間の制限」の項目を設定し終わると「成人向けコンテンツを表示しないようにする」といった機能があることが紹介されています。
 この設定方法は後述します。

親のパスコード

 続けて、親のパスコードの入力を求められます。これは、子供がiPadを操作することで、ここまで設定してきた制限を勝手に解除できないように「4ケタの数字のパスコード」を設定するための画面です。パスコードは1回入力をすると、もう1回確認のために入力を求められます。このパスコードはくれぐれも忘れないように気を付けましょう


以上で初期設定は終了です。

設定の修正や見直しをしたい場合には?

 ここまで行ってきた設定を修正したい場合は、お子様のiPhone/iPadを預かって、先ほど設定したパスコードを入力して内容の修正を行います。

 「設定」アプリ内の「スクリーンタイム」をタップすると、このような画面表示がされるようになっているはずです。

 この中の「休止時間」「App使用時間の制限」「常に許可」「コンテンツとプライバシーの制限」のどの項目をタップしても、必ずパスコードが求められます。

・休止時間

 この項目をタップしてパスコードを入力すると、休止時間の時間枠の変更やオン/オフができます。

・App使用時間の制限

 この項目をタップしてパスコードを入力すると、Appの1日当たりの利用上限時間の変更や、制限するアプリのカテゴリの変更ができます。
 さらに便利な機能として、「使用時間」の中に「曜日別に設定」という項目も用意されており、例えば土日だけゲームを2時間までOK、平日は30分、といった具合に設定を変えることもできます。

 また、App使用時間の制限は複数設定することもできます。SNSだけの制限、ゲームだけの制限など細かく制限を設定すれば、「SNSは1日1時間、土日は2時間」「ゲームは1日30分、土日は1時間」などカテゴリ別に制御を変えることもできます。
 このあたりは、お子様と相談をしたり、お子様の状況をみながら最適化していくとよいでしょう。

・常に許可

 こちらの項目では、休止時間であっても、またApp使用時間の制限を超えたとしても例外的に制限がかからないアプリを一つずつ選んで設定することができます。
 初期設定では、電話、メッセージ、FaceTime、マップなどが登録されています。許可されたAppの項目のうち、アプリ名の左に「−」がついているものは、ここをタップすると「例外」から削除できます。
 逆に、下の方の「Appを選択」に並んでいるリストより、アプリ名の左の「+」をタップするとそのアプリについては「仮に休止時間(夜寝る時間)になったり、1日あたりの利用時間の上限を超えても、例外的に使えるアプリ」として設定可能です。

 Z会や他社の教育系アプリを使っている人は、こうした教育アプリを「例外」設定しておけば学習の途中で制限がかかって途中で学びが中断されるような事態を防げます。

 逆に、ゲームやSNS、LINEなどのコミュニケーションアプリを例外登録してしまうと、いくらでもそのアプリが使えてしまうので注意しましょう。

・コンテンツとプライバシーの制限

 この項目が、先ほどの初期設定で紹介だけされていたところです。一番上の「コンテンツとプライバシーの制限」をオンにすると、以下のようなことが可能になります。

  • お子様が自分でアプリを入れることができなくなる
  • 標準で入っているアプリ(メールやFacetime、カメラなど)を利用不可能にする
  • 成人向けのコンテンツを非表示にしたり、インターネットのWebページでアダルト要素を含んでいるページへのアクセスを防止する
  • 位置情報や連絡先など、プライバシーにかかわる情報を利用不可能にする
こちらのおすすめ設定内容については、(URL)を参考にするとよいでしょう。

デバイス間で共有

 お子様が一人で占有しているiPhoneやiPadが2台以上ある時に使うと便利な機能です。
 同じApple IDで「iCloud」を使っている機器については、この機能をオンにすると、ここまでで設定した機能制限や時間制限の情報が、機器を越えて共有されます。iPadでたくさん遊んで制限時間を超えたら、今度は自分のiPhoneで続きを…という逃げ道をこの機能を使うことで防ぐことができます。
 この機能はApple IDと連携していて、同じApple IDを使っているiPhone/iPadに同じ設定が適用される一方で、違うApple IDを使っている親やきょうだいには影響しません。

 一方で、きょうだいで同じApple IDを共用していると、上のお子さんがたくさんゲームをしたことで下のお子さんに機能制限がかかる、といった理不尽なことが発生する可能性があります。

 こうした側面からも、Apple IDは「人」の単位で取得して、設定することを強くお勧めします

制限中にどうしても特定のアプリを使いたい時にはどうすればいい?

 お子様がこうした設定をされたiPhone/iPadを使っている時に、どうしても「このアプリを今から少しだけ使いたい!でないと困る!」というシーンも出てくるかと思います。

 そんなときには、アプリを起動して、その中にある「時間延長の許可を求める」をタップすると、パスコードの入力が求められます。
 この画面で保護者の方が先に設定したパスコードを入力すると、「15分許可」「1時間許可」「終日許可」の3つから、延長時間を選ぶことができます。

 もちろん、ゲームや遊び関係でこの機能を使っていくとキリがなくなってしまいますが、一時的にどうしてもこういう作業がしたい、という時に、お子様の主張に正当性があれば、この機能を使って保護者の方の判断でOK/NGを出すことができます。

レポート機能

 最後に、お子様がどんな形でiPhone/iPadを使っているかがわかる便利な機能を紹介します。

 スクリーンタイム機能をONにすると、「休止時間」や「App使用時間の制限」などの機能を利用しなくても、「iPhone/iPadでどのアプリをどのくらいの時間使っているか」「一日に何回、iPhone/iPadを持ち上げているか」「たくさんの通知を送ってきているアプリはどれか」といった統計情報が見られるようになります。

 これにより、お子様がどのアプリを多く利用しているか、どんなホームページをよく見ているか、などがわかります。時々、確認するとよいでしょう。

ということで、お子様が使うiPhone/iPadの機能制限の設定方法・変更方法をご紹介しました。

しかし、ここで気づいた方もいらっしゃると思います。ここで紹介している方法だと、万一「急に困ったことがあって、子供から一時的に制限を解除してもらいたい」となった時でも、保護者の方が近くにいてパスコードを入力してあげないと、いけません。

  • 「共働きで、必ずしも子供がiPhone/iPadを使っている時に、近くにいられない」
  • 「子供が外でiPhone/iPadを使っている時に困ったことが起きたら、どうしよう」
  • 「子供のiPhone/iPadの利用状況(レポート機能)を見たいが、子供が端末を見られることを嫌がる」
こうしたケースも想定されることと思います。実は、これに対応する方法が、あるのです。
ただし、この機能を使うには、保護者の方もiPhoneかiPadを持っている必要があるのですが、「ファミリー共有」という機能を活用することで、上記のような機能を「遠隔」でも行うことができるのです。

次回の「上級編」では、こちらの内容について詳しくご紹介します。
※iPhone, iPadは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

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公開日:2018/11/23
最終更新日:2018/11/26