公開日 2018.9.13

Z会中高一貫コース「総合」講座は、答えがひとつではない問いに自分なりの答えを見つけ、それを他の人と深め合いながら解決できるようになることを目指した講座です。
今回ご紹介する教材テーマは「統計から文化の変遷を考える」です。一見難しそうに見えるかもしれませんが、教材では「食」という身近な題材を使って、統計からどんな情報が得られるのか、会員の皆さんに思考を巡らせていただきました。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。

◆中1_人文分野 統計から文化の変遷を考える

◎出題のねらい◎
皆さんの食卓には、普段どのような料理が並んでいますか? それは変化してきましたか? 日々の生活では気がつかないような事柄でも、統計データを見てみると思わぬ発見に出会うことがあります。たとえば、国民一人ひとりの品目分類別の食品の消費量の推移の統計からは、私たち日本人の食生活がどのように変化しているのかがわかります。
今回はその「発見」とそれに対する「分析」の流れを「食」にまつわる統計データを見ながら学習していきます。添削問題では、行事食について取り上げます。皆さんの家庭では5月5日のこどもの日に柏餅を食べる習慣はありますか? こういった行事食の取り方についても、統計データと見比べると意外な発見があります。自分たちの食事のあり方と照らし合わせながら、問題に取り組んでほしいと思います。

◎問題◎

あなたの家庭における行事食の摂取状況は、どのような要因によってもたらされていると考えますか。食の好み、個人・家族の生活、食に関する産業など、今回の出題で学習した観点を考慮して、200字以内で分析しなさい。

◎答案例1◎
おそらく、節分のいり豆や恵方巻をよく取るようになったのは、恵方巻の種類が増えたなど、食に関する産業の変化からだと思う。また、ひな祭りのあられや桜もちを取らなくなったのは、私があられなどをほしがらなくなったからだ。ぼたもちやおはぎは、昔は祖父母がよく作ってくれていたが、最近は忙しくて祖父母の家には彼岸の時期に行けないこともあるなど家族の生活が変わったからだと思う。

◎答案例2◎
僕の家族は、おはぎ以外の行事食は必ず毎年食べています。正月料理や年越しそば、七草がゆをよく食べる理由は、祖父と祖母の家へ帰省し、親戚で集まるので、料理を作ってもらっているためです。クリスマスケーキや節分料理、土用の丑の日のうなぎ、冬至のかぼちゃをよく食べる理由は、父と母が共働きではないため、母が作ったり買ってくれたりするためです。端午の節句やひな祭りの料理を食べる理由は、僕の家には男子と女子がいるためです。しかし、十五夜の月見団子は、忙しい年もあり、家族みんなで食べることのできない年もあります。

◎答案例3◎
正月料理や年越しそばを毎年食べるのはやはり新しい一年を心地よく迎えるためでもあり、あまり普段会えない親戚同士で顔を合わせることによって相手の今の健康状態や成長ぶりなどを見る機会にもなるからだと思います。ひな祭りのあられや桜もちは、私の父の誕生日でもあり、私の健康などをお祈りする場でもあるのでかかせません。節分で、小さい頃は豆まきをしていたのに対して、今は豆まきをあまりせず恵方巻を食べることが多くなった点については、私が成長していく中で精神も成長していったことによってだと思います。


◎講評◎
多くの答案から、自分の家族の「行事食」に対する考え方を説明するために悪戦苦闘した様子が伝わってきました。言葉で説明する経験を、これからも積んでいってほしいと思います。
答案例1の説明では、行事食の取り方が、家族の生活や嗜好、そして周囲の状況によって変化する点がわかりやすく説明できていました。もう少し社会的な分析が出来ると、より面白みのある答案になるので引き続き挑戦してみてほしいと思います。
答案例2の答案では、全体的に家族とのつながりを感じることのできる内容でした。今のところはたくさんの行事食を食べることが出来ているようですが、皆さんが成長するにつれて、なかなか家族の時間を作るのが難しくなってくると思います。それによって自分の家族の行事食の取り方が変化するかどうか、という点について、少し気にしておくと面白いかもしれませんね。
答案例3の答案では、行事食それぞれの意味を、しっかりと考えている点が伝わってきました。節分の行事食の取り方の変化の分析は面白いですね。確かに、小さい頃は豆まきのような明確なイベントとして楽しめるもののほうが好まれ、大人になるにつれてより静かに取る行事食になるのかもしれませんね(豆まきについては、大人になると「楽しいかもしれないけれど後片付けが大変」という点に気が向いてしまう人も多いのではないでしょうか)。

このように、「総合」講座では身近ではあるけれど、今まで深く考えたことがなかったであろう問題に正面から向き合い、徹底的に考え、答案にまとめます。このプロセスを毎月くり返すことで『思考力』『判断力』『表現力』が伸び、自らの考えを深め表現する力を養います。
ぜひ、「総合」講座で考える力を培ってください。

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