公開日 2018.8.15

Z会中高一貫コース「総合」講座は、答えがひとつではない問いに自分なりの答えを見つけ、それを他の人と深め合いながら解決できるようになることを目指した講座です。
今回ご紹介する教材テーマは「地球温暖化」です。暑い日が続きますが、この暑さの原因の一つは地球温暖化であると言われていますね。ですが、地球は気温の上昇や低下を何度も繰り返していることをご存知でしたか?つまり、現代のように温室効果ガスの人為的な排出がなかった時期にも、温暖化はあったのです。
今回の教材では、まだまだ謎が多い地球温暖化の原因や結果について、会員の皆さんに思考を巡らせていただきました。

◆中2_自然分野 地球温暖化について考える

◎出題のねらい◎
少し前に、「南極大陸で史上最高気温17.5℃を観測した」というニュースがありました。地球温暖化との因果関係については更なる調査が必要ではありますが、温暖化による環境変化は多岐にわたっています。
現在、世界中で議論され、研究が進んでいる“地球温暖化”。そもそも、何が原因で起こり、なぜ今「温暖化が進んでいる」と叫ばれているのでしょうか。今月号の教材では、様々な観測データから、地球の過去や現在を知り、さらに未来を予想していきます。温暖化という身近なテーマについてさまざまな側面から深く掘り下げる経験を通じて、「知る」「調べる」「考える」楽しさを感じて欲しいと思います。

◎問題◎

(中略)Aさんは、現在起こっている地球温暖化の原因について次のように意見を述べた。
Aさん:今起こっている地球温暖化は人間の活動とはまったく関係がなく、図1にあるような何十万年も前から起きている自然の現象であると思う。
あなたが、Aさんの意見に反論するとしたら、どのように述べますか。150字以上200字以内で書きなさい。
※一部問題を修正して掲載しています。
※図2は気象庁ホームページを加工して作成。


◎答案例1◎
今起こっている地球温暖化は、人間の活動と深い関係があると思う。図2を見るとわかるが、ここ100年間の平均気温の推移は、図1の40万年前からのそれと比べ明らかに上昇幅が大きくなっている。図2には表されていないが、18世紀後半のヨーロッパでは産業革命が起きていて、この急上昇は産業革命の延長線上にあると考えて良いだろう。これらの理由から、Aさんの意見は誤りであると考える。

◎答案例2◎
たしかに、Aさんの考え方も一理あるかもしれないが、人間の活動とはまったく関係がないというのは間違っている。なぜなら、昔は「間氷期」と「氷期」の間の100年間では0.05℃ぐらいしか変化していないが、1900年からの100年間では、0.7℃も上昇している。14倍だ。また、昔の間氷期と氷期の間では、単に気温が上昇するだけだが、最近の気温上昇は異常気象、気象災害もともに発生している。地球温暖化は人為的である。

◎答案例3◎
人間の活動の影響によって、二酸化炭素などの温室効果ガスが以前より大気中に増えていて、地球をもっと暖めていることが分かる。さらに、図の1と2によって、現在起こっている地球温暖化は過去の地球温暖化に比べて、気温の上がるスピードが速いことが分かる。だから今起こっている地球温暖化は全く人間が関わっていないとは言えない。


◎講評◎
みなさんの答案を見せてもらったところ、「過去40万年間の気温のグラフがおもしろい」「もっと議論がしたい」といった感想が多かったようです。地球について興味をもっている人が多くて嬉しいですね。今回の課題についてみんなの答案をみて、ぜひ様々な「主張の仕方」を学んでほしいと思います。
答案例1は、最初と最後でAさんの意見への反論をはっきり述べています。主張がよく伝わってきてよいですね。さらに、産業革命と温暖化を関連づけているところがポイントです。確かに、大気中の二酸化炭素は産業革命以降急激に増加していると言われていますね。知識を増やすことで、いろいろな側面から物事を考えることができ、新たな気づきを得ることもできるので、今後も様々な知識を身につけていってほしいと思います。
答案例2は、「氷期」「間氷期」というワードをきちんと理解していますね。また、単なる気温の変化だけでなく、気象の変化についても考えられている点がよいですね。ただし、問題の図だけでは、過去の温暖化のときに異常気象が起こった「可能性」は否定できないことに注意が必要です。気温変化と気象の関係は複雑ですが面白いテーマですので、ぜひ調べてみてほしいと思います。
答案例3は、Aさんに反論するための根拠を簡潔に提示していて、とてもわかりやすい文章になっていますね。人間の活動によって、なぜ温室効果ガスが増えるのか具体的に書くと、さらによい反論になります。

このように、「総合」講座では身近ではあるけれど、今まで深く考えたことがなかったであろう問題に正面から向き合い、徹底的に考え、答案にまとめます。このプロセスを毎月くり返すことで『思考力』『判断力』『表現力』が伸び、自らの考えを深め表現する力を養います。
ぜひ、「総合」講座で考える力を培ってください。