総合教材テーマのご紹介「目的を持って手段を考える」
公開日 2018.7.13
Z会中高一貫コース「総合」講座は、答えがひとつではない問いに自分なりの答えを見つけ、それを他の人と深め合いながら解決できるようになることを目指した講座です。今回ご紹介する教材テーマは「目的を持って手段を考える」です。
環境問題・少子高齢化・食料問題など、現代の社会はさまざまな課題を抱えています。これからの社会を生きる子どもたちには、それらの課題を創造的に解決する力が求められています。今回は「解決すべき目的」の1つとして社会的課題を、創造的に解決する手段の1つとして、事業を作り出す「起業」を取り上げ、「何を目的に、どのような手段で解決するか」を考えていただきました。
また、「起業」というテーマに触れることで、自分たちの生活や社会がどのような事業に支えられているのかを考え、将来の選択肢を増やすきっかけにもなれば、と思います。
記事内では実際に会員から寄せられた解答、担当者の講評をご紹介していきます。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。
環境問題・少子高齢化・食料問題など、現代の社会はさまざまな課題を抱えています。これからの社会を生きる子どもたちには、それらの課題を創造的に解決する力が求められています。今回は「解決すべき目的」の1つとして社会的課題を、創造的に解決する手段の1つとして、事業を作り出す「起業」を取り上げ、「何を目的に、どのような手段で解決するか」を考えていただきました。
また、「起業」というテーマに触れることで、自分たちの生活や社会がどのような事業に支えられているのかを考え、将来の選択肢を増やすきっかけにもなれば、と思います。
記事内では実際に会員から寄せられた解答、担当者の講評をご紹介していきます。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。
◆中3_社会分野 起業−目的を持って手段を考える
◎出題のねらい◎
みなさんは日々過ごす中で、「あれ?困っていそうだな…」とか「もう少し良くならないのかなあ」と思うことはありませんか?今回はそういった問題に対し、「会社を作って解決する」という視点から解決方法を学習しました。
講座ではまず「起業」が求められる社会的背景や事業を営む際に必要な視点、ソーシャルビジネスなどについて学んだあと、添削問題で、自分が解決すべきと考える社会的課題を1つ取り上げて、それを解決するための事業を考えます。実際の答案では、身近な出来事から事業を思いついた人、ニュースなどで気になる出来事を取り上げた人、きっかけは多様でしたが、会員の皆さんが真剣に解決方法を考えてくれたことがわかりました。
社会的課題は、日々のニュースや社会科の授業などでも多く取り上げられています。ただそれを理解するだけでなく、そこからもう一歩踏み出して、解決のための仕組みや事業を考えるその過程で、今現在、そしてこれから起こる様々な社会的課題に主体的に向き合える力を養ってほしいと思います。
みなさんは日々過ごす中で、「あれ?困っていそうだな…」とか「もう少し良くならないのかなあ」と思うことはありませんか?今回はそういった問題に対し、「会社を作って解決する」という視点から解決方法を学習しました。
講座ではまず「起業」が求められる社会的背景や事業を営む際に必要な視点、ソーシャルビジネスなどについて学んだあと、添削問題で、自分が解決すべきと考える社会的課題を1つ取り上げて、それを解決するための事業を考えます。実際の答案では、身近な出来事から事業を思いついた人、ニュースなどで気になる出来事を取り上げた人、きっかけは多様でしたが、会員の皆さんが真剣に解決方法を考えてくれたことがわかりました。
社会的課題は、日々のニュースや社会科の授業などでも多く取り上げられています。ただそれを理解するだけでなく、そこからもう一歩踏み出して、解決のための仕組みや事業を考えるその過程で、今現在、そしてこれから起こる様々な社会的課題に主体的に向き合える力を養ってほしいと思います。
◎問題◎
あなたが解決すべきと考える社会的課題を1つ取り上げなさい。その上で、取り上げた社会的課題を解決するための事業を考え、400字以内で説明しなさい。
◎答案例1◎
課題:「都市部の待機児童の増加と空き家の増加」
事業:待機児童と空き家の軒数が増加している。二つの社会問題に着眼し、放置されている空き家の土地を活用し、保育園を建てて待機児童を減らせるのではと考える。(中略)都内にある空き家を徹底的に探して、解体業者に委託し、空き家のある土地を更地にしてもらう。そしてその土地を、保育園を建設することを前提として市などに売るのだ。(中略)土地を売って利益を上げ継続的な活動にすれば、待機児童の削減だけでなく、空き家問題も解決することができると考える。
◎答案例2◎
課題:「自転車事故」
事業:排ガスを出さず地球に優しい自転車を、私たちは積極的に利用すべきだと思う。しかし、事故が多いのも事実である。(中略)温暖化対策と安全の両方を実現したいと思い、私は自転車保険のようなソーシャルビジネスを考えた。保険と異なるのは、保険料としてではなく有料の講習によって収入を得る点だ。(中略)講習では道路交通法や過去の事故の事例を教える。講習の最後には学科試験と実技試験を行い、合格すれば1年間保険が適用される。(以下略)
◎答案例3◎
課題:「貧困問題」
事業:(略)レストランなどで出る食品ロスを活用すればよいと思う。(中略)共同冷蔵庫を設置し(そのままであれば廃棄となってしまう食料を保存する。冷蔵庫の利用は会員制とし、)貧しい人々はまだ食べられる食料を得ることができる。(中略)会費は、共同冷蔵庫の維持費と他の場所への新たな冷蔵庫の設置の資金とする。(以下略)
※括弧内はZ会による。
◎講評◎
今回は「自分で事業を考える」というテーマだったので、社会的課題には関心があっても、「事業をまとめる」のに苦労した会員が多かったようです。何が課題か、に論述の多くを割いてしまっている答案も多く見られました。
取り組んだ人からは「自分で新しいアイディアを考えるという経験が新鮮でした」という感想も寄せられました。確かに「事業」を考えるというのは、普段、なかなかしませんね。それでも、社会的課題の解決に向けて、国や自治体任せではなく、自分は何ができるのかと考える人が少しでも増えると、世の中が少しずつ生きやすくなっていくと思います。
今回は、独創的なアイディアが見られた答案を取り上げてみました。答案例1の「空き家を更地にして、保育園用地として売る」事業。空き家をそのまま保育園に転用、という事例はありますが、更地にして売るというアイディアにオリジナリティを感じました。
答案例2では自転車事故を取り上げてくれました。自転車が排ガスを出さない手段だということも考慮しているのがいいですね。講習を受けたら保険がついてくる、保険が広まれば、交通ルールを理解した人も増えるので、一石何鳥にもなる事業です。
食品ロスと貧困問題を解決しようとした答案例3。会員制なら食品を出し入れする人がわかるので、安心して使えますね。
「良い案だと思うが、もっと良いものがあると思う。実現できるかな?」といった声も寄せられました。今回のアイディアを「種」として、これから大きな花を咲かせるよう、世の中の動きを注目し続けてください。
このように、「総合」講座では身近ではあるけれど、今まで深く考えたことがなかったであろう問題に正面から向き合い、徹底的に考え、答案にまとめます。このプロセスを毎月くり返すことで『思考力』『判断力』『表現力』が伸び、自らの考えを深め表現する力を養います。
ぜひ、「総合」講座で考える力を培ってください。