公開日 2017.3.15

英語の「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能のうち、「書く」力を鍛えるにはどのような学習をすればよいのでしょうか? 自分の意見や考えを英語で書いて伝える力を鍛える方法について、Z会の英語教材開発担当・池田智史からのアドバイスをお届けします。

◆3種類の練習で、「書く」力を鍛えよう

英語で自分の意見を書けるようになるには、次の3つの練習が必要です。

(1)さまざまなテーマについて、まずは日本語で自分の言いたい内容を組み立てる
(2)文法など、語学に必要な知識を身につける
(3)文章の「型」を身につけ、実際に英文で書いてみる


それぞれについて、説明しましょう。

(1)さまざまなテーマについて、まずは日本語で自分の言いたい内容を組み立てる
英文を書くにしても、「書くべき内容」がなければ何も始まりません。日本語で伝えられないことは英語でも伝えることはできませんから、日ごろからさまざまなテーマについて、まずは日本語で自分の考えを整理する癖をつけましょう。

「テーマ」といっても、最初は難しく考える必要はありません。次のA→B→Cの順に、徐々にステップアップしていくとよいでしょう。

A 自分の身のまわりのことや、好みに関すること
例:「自己紹介」「好きな歌手」「好きなスポーツ」

B 学校や日常生活など、身近な物事についての意見
例:「私の学校は制服を廃止すべきか」「給食制度と弁当持参のどちらがよいか」

C 社会的な話題や課題についての意見
例:「日本は移民を積極的に受け入れるべきか」「日本は死刑制度を廃止するべきか」

日本語でも英語でも、一般的にはA→B→Cの順で必要な知識が増え、Cの社会的な話題や課題について英語で論じるには、より高度な語彙や文法が必要になってきます。したがって、どのレベルから始めるべきか迷った場合は、Aから始めましょう。まずは「好きな○○とその理由」など、自分の興味について設定してみると書きやすいです。

(2)文法など、語学に必要な知識を身につける
書きたい内容が頭の中にあっても、難しいのはそれを英語で表すこと。書くためには、文法をはじめとした英文読解に必要な基礎力が必須です。学年を問わず、まずは学校やZ会での学習内容を着実に身につけましょう。「読む」「聞く」ことによるインプットの量が豊富なほど、「書く」「話す」というアウトプットのための土台は広がります。

その上で取り組みたいのは、教科書など、与えられた英文を何度も何度も繰り返し音読し、何も見ずに暗唱したり、書き出したりできるようになることです。この「インプットしたものをそのままアウトプットできるようになる」ことは、アウトプットの第一段階となる練習で、言いたいことを表す表現を引き出す素地になります。これができるようになれば、覚えた英文を基に単語を替えて伝えたいことを書いたり話したりすることもできるようになり、さらには、自分で組み立てた内容を英文で発信するという真のアウトプットの練習に進むことができます。

なお、「インプットの練習が完了してからアウトプットの練習をする」というものではなく、インプットとアウトプットは並行して進めていくものです。英語学習の初期段階であっても、上述したアウトプットを意識した学習を心がけましょう。それは、英語の「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能を総合的に高めることにもつながります。

(3)文章の「型」を身につけ、実際に英文で書いてみる
日本語でも同じですが、相手に伝わりやすい文章を書くには、まずは決まった「型」を身につけることが重要です。思いついたことをそのまま順番に書き連ねるだけでは、なかなか相手に理解してもらうことはできません。そこで、まずは以下の英語特有の構成を意識して英文を書いてみましょう。

【初級(中1)】
1. 最初に結論をはっきりと述べる。「私は…が好きだ。」「私は…だと思う。」
2. その理由を述べる。「なぜなら…だからだ。」
中1生は、〈I like 名詞 because 文.〉または〈I think 文 because 文.〉という形で英文を書くことで、上記の構成で表現することができます。まだ習っていないかもしれませんが、この形に当てはめれば、「私は〜が好きだ。なぜなら…」「私は〜と思う。なぜなら…」という立派な意見を伝える英文になるのです。
【中級(中2・中3)】
1. 最初に結論をはっきりと述べる。「私は…だと思う。」
2. その理由を述べる。「なぜなら…だからだ。」
3. 自分と異なる立場を認めつつ、反論する。「確かに〜だが、…だ。」
4. もう一度結論で締めくくる。「だから…だ。」
実際に書いてみるときは、以下の目安で(1)のテーマを設定するとよいでしょう。

【頻度】
月に1テーマ。もちろん、もっとできそうならたくさん取り組んで構いません。

【語数】
上述したような構成で書けていれば、初めは語数にこだわる必要はありません。ただし、まとまった内容を相手に伝えるにはある程度の長さの文章が必要になるので、目安として、中2〜中3で30〜40語ぐらいの英文を書いてみるとよいでしょう。

◆英語を学び始めて間もない人は、まずは土台を広げることに力を入れよう

本格的に英語の勉強を始めたばかりの中1生をはじめ、中2の初めごろまでは、学校で教わる範囲に限りがありますから、まずは書くための土台を広げるために(2)の「文法など、語学に必要な知識を身につける」ことに力を入れましょう。その上で、(1)や(3)に挑戦してみるとよいでしょう。英文を書く場合、「好きな○○とその理由」など自分の身のまわりのことや、好みに関することについて書くことから始めると、書きやすいと思います。そして、中2の終わりごろになれば、辞書や教科書・参考書などを駆使して書けることが増えてくるでしょう。

◆Z会中高一貫コースの中学生向け入会特典『英作文が書けるようになる魔法のワーク』の活用も

Z会では、2017年4月15日(土)までに中高一貫コースに入会申込をされた中学生の方に、学年別の『英作文が書けるようになる魔法のワーク』をプレゼントします。このワークでは、与えられたテーマについて、与えられた日本語を英語に訳すのではなく、自分が伝えたいことを相手に伝わる英文で表現できるようになることをめざしています。

わかりやすい英文を書くコツは、「伝えたい情報を整理すること」と「できるだけ簡単な英文で表すこと」です。『英作文が書けるようになる魔法のワーク』では、全11のテーマを、3月〜2月の間に1カ月につき1テーマずつ、途中、8月に7月までの復習を挟みつつ取り組むことで、このコツをつかむことを目指します。月に1つ、テーマを決めて自分の意見や考えを英語で書く練習として、ぜひご活用ください。

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