進学先の学校で iPad 導入?! 保護者として知っておいてほしい5つのこと
最近、タブレットやコンピュータを教育に活用する学校が増えてきています。特に私立の中高一貫校では「一人1台のタブレットを学年ごとに順次導入」というケースが増えており、保護者としても「進学先がタブレットを使うらしいんだけど、どういうことに気を付けたらよいんだろう…?」と気になっている方も多いと思います。
そこでマナビシフトの学校×ICTの最初の記事として、学校で導入されることの多い iPad について、事前に知っておくべきこと、検討・確認しておくと良いことなどを5つのポイントにまとめました。
1. 学校で配布される iPad は、お店で買う iPad とは違う?
iPad 本体そのものは店頭で売っているものと同じものが使われていますが、iPad に施されている「設定」や「安心・安全のためのサービス」などが、学校向けにカスタマイズされている場合が大半です。
具体的には、以下のような状態で手渡されることが一般的です。
【中学生の場合】
- 故障/紛失などに備えた保険サービスに加入している
- 盗難・紛失時に端末の現在地や状況を確認できる「MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)」というシステムが導入されており、万一の場合に個人情報が流出しないように配慮されている
- アプリを生徒自身では入れられず、学校が必要なものを導入する方式になっている
- アダルトサイトやギャンブル情報など、不適切なホームページ閲覧を防ぐような「webフィルタリング」があらかじめセットされている(※学校によってSNSの利用などが制限される場合もある)
- 学習に不要な機能が一部、制限されている場合がある
- 教育に役立つアプリがあらかじめセットされている
- 学校専用のApple IDを利用する
【高校生の場合】
- 基本的には上記と同じだが、アプリを生徒自身がインストールできたり、機能制限が緩和されていることが多い
このため、見た目は同じ iPad でも、中身はほぼ「学校仕様」です。価格の面でも、保険や教育用アプリの利用料金などが含まれ「お店で購入するよりも高め」になっている場合もあります。
ただ、中学・高校進学時に購入する場合は3年間(場合によってはそれ以上)使うので、保険や教育アプリが付いていることはとても重要です。
2. iPad のモデルは選べる?
選べる学校と選べない学校があります。前者の場合も「画面サイズが9.7インチ以上のモデルにすること」といった具合に一定の条件が設定されることがあります。後者の場合は、学校が特定の色・機種・容量の iPad をまとめ買いすることで価格面でメリットを出しています。
一方、すでに持っている iPad を持っている場合、そのモデルを使いたいケースもあるかと思いますが、多くの学校の場合は全員の学習環境をそろえるという目的で、入学と同時に新規に購入することをお願いされる場合が多いようです。
なお、多くの学校が「WiFiモデル」を採用していますが、最近では一部の学校でスマートフォンと同様に携帯電話の電波を利用してどこでも通信ができる「WiFi+Cellularモデル」を採用しているケースも出てきていますが、後者の場合はスマートフォン同様、「月額維持費」が必要になります。
3. ケースやキーボードは事前に用意しておくべき?
学校があらかじめケースなどを指定したり、用意していない場合は、iPad のモデル名を確認したうえで、ケースを用意しておくことを強く推奨します。
特に、持ち運ぶときに液晶画面側を保護できるタイプ(背面だけではないタイプ)を用意しておくと安心です。
なお、学校で保険サービスに加入していると、完全に破損しても代替品が数日で届くのが一般的ではあります。とはいえ、交換してもらうまでの数日間は手元に iPad がない状態で授業を受けることになってしまいます。iPad を導入して数年が経過している学校の場合、iPad はノートやペンと同等の「文房具」になってきますので、故障により授業中に使えない期間が長くなればなるほど、もったいないことになります。
そういう意味でも、ケースはぜひ用意しておきましょう。
なお、「タッチペン」や「キーボード」が必要かどうか、という声もよくありますが、これらは実際にしばらく使ってみて必要だな、と感じてから購入しても良いと思います。
ただ、キーボードについては、将来を見据えて早めに慣れたほうがプラスも大きいと考えられます。今の中高生はスマートフォンのタッチパネルでかなりの速度で文字入力ができる人も増えているのですが、(良し悪しは別として)大学や企業ではまだまだキーボードが一般的です。加えて、特に新中学生の方は、今後の入試や英語の外部模試などでコンピュータを用いた試験(CBT)を受けるケースも出てくることも考えられます。その場合、キーボードになれていると、入力が必要になる問題で優位になれる可能性もあります。
このあたりは、学校やご家庭の中で相談しながら、個々人にあった選択をするのがよいでしょう。
4. 機能制限の良い点・悪い点
実は、学校で導入される iPad は家庭用の iPad と比べて、機能制限を相当細かく設定できます。
たとえば
- App Storeを消す(生徒自身がアプリがインストールできなくなります)
- アプリのアンインストールを不可能にする
- FaceTime や iMessage といったアップル公式のサービスを無効化する
- iPad の初期化(全消去)をできなくする
- 家庭のPCに接続しても認識しないようにする
などといった制限を行うことが多いようです。特に、学習に必要なアプリを誤って消したり、リセットをして本体が初期化されることで大事な学習データが失われたりすることを防止する観点で、機能制限にはメリットがあります。
一方で、機能制限が学習の妨げになるケースもあります。最も生徒の間で話題になるのが「YouTubeがみられるかどうか」。学校によっては、導入当初は禁止する場合もありますが、YouTubeの中には教育や調べ学習に役立つ動画も多数あります。同じ理由で、App Storeについても学習に役立つアプリを自分で探して自分なりにカスタマイズしたい、と生徒としては思うこともあるでしょう。
しかし、学習に関係のないアプリやゲームアプリが大量に入ってしまうと本来の学習が阻害されたり、授業中に気が散る要因にもなります。機能制限はこうしたトラブルを回避するというメリットもあるのです。
とはいえ、制限は厳しすぎると学習のツールや文房具としての iPad の価値を下げます。このあたりは色々な人が集まる学校の中で、ひとつのルールを定めること自体が非常に難しいと言えます。
多くの学校では最初は厳しめの制限を行っておき、生徒が慣れていくにしたがってルールを少しずつ緩和していきます。中には、生徒会や学級でルールを話し合って一定のルールを設けた上で制限を「解禁」するケースも見られます。この場合、生徒が主体的に発生した問題に対応をしたり、適正な使い方を模索していくという課題解決力にもつながりますので、校則などと同様に、ひとつの議論の契機と捉えると良いでしょう。
家庭の中でも時々、iPad の機能制限で不便に感じていることが無いか、学校内で不適切な使い方がないか、といったことを話題にして、一緒に解決策を考えるのも良いかもしれませんね。
5. (主にZ会の会員の方で)Z会のアプリが学校の iPad で使えるかどうか
既に iPad をご家庭で持っていて、入学に合わせて学校向けに新たに iPad を購入する場合は、Z会の通信教育(iPadスタイル、Z会プログラミング講座、Z会 Asteria等)は既に持っている iPad で行えば問題はありません。
しかし、中学入学に合わせて学校で導入される iPad でZ会の通信教育を行いたい場合は「使えない」可能性があります。
前述の通り、学校が「生徒によるアプリの導入を禁止」していると、Z会の通信教育に必要なアプリ自体が個々のご家庭では導入できないため、学習を行うことができません。
とはいえ、Z会の学習を行うために、わざわざ別のiPadを用意するのには抵抗があるかと思います。
もしこうした場面に遭遇した場合は、学校に対して個別に相談をしてみてはいかがでしょうか。学校に導入されているiPadの管理システム(冒頭に記載したMDM)を活用すれば、iPadに個別のアプリを導入することも(技術的には)不可能ではなく、相談に応じてもらえる可能性はあります。同じことは、Z会のアプリに限らず、他の教育用アプリを使いたい場合にも発生する可能性があります。
とはいえ、機能制限については学校ごとに考え方や教育方針があること、学年あたりの生徒数が多い学校だと個別対応が困難な場合もあることから、必ずしも要望が通るとは限りません。
特に、進学先の学校が iPad を今年初めて導入しているような場合は、学校の先生たちも新しい教育の実現に向けて慣れない中で奮闘しています。混乱をさけるために個別対応が難しい場合もありますので、相談を行う場合は、ぜひ学校側の事情も勘案していただき、保護者と学校で会話をしながら、協力して生徒たちにとってより良いICT環境にしていくような形にしていきたいですね。
なお、もしこのようなケースに遭遇した場合、Z会には教育の情報化に関する専門の資格を保有しているスタッフが在籍していますので、下記のお問合せ先までご相談いただければと思います。
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