変更点まとめ

【全学部共通】

Web 出願時に、「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験を記入。
※ただし、得点化はしない。


【政治経済学部】

早稲田大学入学センター 入試の変更点 より筆者要約(2018年6月11日閲覧)
https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/change/



<参考:2018年度政治経済学部一般入試>

変更点解説

(1)全学部共通

全学部で「主体性」「多様性」「協働性」に関する記述を自ら出願時に行う必要があります。調査書のように学校の先生が書くのではなく、受験者本人が記載する必要があります。また、得点化されないとのことでしたが、今後の詳細についての記載がなかったので、早稲田大学入学センターに問い合わせたところ、以下の回答を得ることができました。

入試に際しての得点化の活用については入力された内容を確認したうえで今後検討する予定です。当面の間は学生調査データの統計および入学後の教育・指導などに活用します。
2018年度の高校1年生はまだ得点化されませんが、今後得点化に向けての検討が行われるようですので、中学生以下の方はこういった力が得点化される可能性があるということを意識する必要があります。

(2)政治経済学部

大きな変更点としてまず挙げられるのは、私立文系にも関わらず数学が必須で課されるということではないでしょうか。200点中25点で全体の12.5%ということは一般的なセンター試験私立文系型の古文の配点500点中50点の10%よりも全体に占める割合が多くなります。つまり、数学を勉強せずに入試を突破するのがかなり厳しくなります。2017年度入試時点では政治経済学部の選択科目で数学を選択している方は38.3%の2,584名おり、他の学部に比べると数学の選択率が高いのですが、数学での受験を避けようと考える受験者に影響を与える大きな変更点だと言えます。
慶應義塾大学も経済学部・商学部では、もともと数学を選択科目にした入試方式の定員数が多いため、早慶の経済学部・商学部系を第一志望に考えている方は数学を学習する必要性が高まりました。一方で政治学科がある慶應義塾大学法学部では英語・地歴・小論文が受験科目となっており、「政治」を学びたい早慶併願者は数学・地歴の両方を受験科目で必ず課されることになります。(慶應義塾大学の受験情報は2018年度入試時点のものです)

もう1点が英語外部試験の導入です。既に国際教養学部では、一定以上の点数を取ると「加点」とされたり、文学部・文化構想学部の「英語4技能テスト利用型」で提出が必須となっていたりと一部学部で導入されていますが、一般入試全体で受験を必須としているのは今回の政治経済学部の発表が初となります。
国際系ではない政治経済学部の入試で英語4技能試験が必須で導入されるということで、英語4技能試験が、特別な一部の進路の人だけのものではなく、多くの受験生に影響するものだとわかっていただけたのでないでしょうか。

中学生・高校1年生は何をすべき?

(1)「主体性」「多様性」「協働性」

現在高校1年生の方であっても、「主体性」「多様性」「協働性」が得点化されないからといって、自分が進学するかもしれない大学の提出書類に適当なことを書くわけにはいきません。また、高校3年生になって提出書類の準備をゼロから始めようとしても、受験勉強に追われている頃にとりかかると大きな負担になってしまいます。そうならないように、中学・高1の間に受験勉強以外の活動を主体的に行う必要があります。

たとえば、Z会Asteria総合探究講座であれば毎月1回、学年・地域が多様な受講生と協働学習を行うことができます。テーマも、人工知能や医療問題、国際問題など各回様々な内容を扱うため、主体的に取り組むことができるテーマが見つかるはずです。なぜ「主体性」「多様性」「協働性」が必要かの詳細は別の記事にゆずりますが、受験で必要だからやるのではなく、大学入学後、そして社会に出てからも自分がやりたいことを見つけられるように、活動していく必要があります。


(2)数学の必修化

こうした受験科目の多様化は多くの問題をはらんでいます。たとえば学校のクラス分けです。多くの進学校では国立理系クラス・国立文系クラス・私立文系クラスのように志望校の分類別でクラス分けが行われ、受験に必要な科目のみ勉強するような仕組みになっています。そこで、私立文系クラスでは英語・国語・地歴の3教科を学習することが多く、数学を勉強できたとしても数学IAのみというクラスはなかなか存在しないのが現状です。

<一般的な文系のクラス分け例>

このようにどちらのクラスに属しても過不足なく勉強することができなくなります。回避方法としては以下の2つです。

1:第一志望を国公立にする
本来の早稲田大学の狙いはこちらだと思われます。数学や理科も学び、幅広い教養のある人を入学させたいという思いがあるのではないでしょうか。

2:数学I・Aを独学で進める
大学入学共通テストの数学I・Aは記述問題が出題されるなど、センター試験に比べると容易に得点ができなくなります。受験学年になってあわてないようにするためにも、通常の進度の学校で数学I・Aを学ぶ高校1年生のうちに、学習を進めておくことが大切です。既に数学におくれを感じている方にはZ会Asteria数学新系統講座などのアダプティブ・ラーニングがおすすめです。自分の理解に応じて問題が出題されるため、苦手分野を集中的に学習することもできます。

(3)英語4技能試験の利用

早稲田大学政治経済学部が参戦したことで、私立志望者でも英語4技能の勉強を無視できなくなりました。ReadingやListeningなどは今までの入試対策でも勉強しやすいところですが、SpeakingやWriting(特に自由英作文)などは個別にフィードバックを受けないとなかなか上達しません。たとえばZ会Asteria英語4技能講座などを活用し、オンライン英会話で外国人講師から直接フィードバックを受けたり、英作文も添削を受けたりするとよいでしょう。発信技能は回答の内容が人によって異なるため、模範解答を見るだけではなかなか判断できません。第三者にチェックしてもらうことで効果的に上達することができます。学部独自試験でも記述式の試験が導入されるようなので、学部独自試験も同様の対策が必要になるはずです。

早稲田大学の入試改革は突然湧いて出てきた思いつきの入試改革ではないはずです。今までの高大接続・大学入試改革の議論を踏まえており、東大・京大の一般入試や難関大学のAO・推薦入試などで既に求められている力でもあります。このような一部の受験生にしか関係がないと思われていた入試形式に私立大学である早稲田大学の一般入試が足を踏み入れたことにより、私立大学でも入試改革が加速するはずです。

何よりも、この入試改革の意図は「受験で閉じてしまう知識・技能ではなく、社会で活躍できるものを」というところにあります。入試で課されるかどうかで学ぶ内容を選ぶのではなく、これからの社会で必要とされる力を身につけるために何を学ぶのか、ということを、今回の早稲田大学の入試変更をきっかけとして考えていただければと思います。

未来を共創する21世紀型Online Academy Z会Asteria

新大学入試で用いられる語学力の国際指標「CEFR(セファール)」基準で、4技能をバランスよく伸ばせる「英語4技能講座」、分野別に、アダプティブ・ラーニングで、自分の理解に応じた学習ができる「数学新系統講座」、他者とコミュニケーションをはかり、協働して課題を解決していく力を養うために、オンラインで他の受講生と主体的・対話的で深い学び(いわゆる、アクティブ・ラーニング)を実現した「総合探究講座」。知識に加え、社会で必要な力が問われる新入試に向けた一朝一夕では身につかない力を育めます。※受講にはiPadが必要です。
公開日:2018/06/14