公開日 2018.6.26


2020年から従来の「センター試験」が「大学入学共通テスト」に変わります。まだ先のことのように思える新大学入試ですが、どのような力が求められるのでしょうか。また、中学生の夏休みに取り組める新大学入試の準備に最適な教材を、Z会中学生向け教材開発担当の中谷祐介がご紹介します。

◆来る大学入試の変化

皆さんもご存知の通り、2020年から従来の「センター試験」が「大学入学共通テスト」に生まれ変わります。「大学入学共通テスト」では、社会で活躍するために必要だといわれる学力の3要素、

1 知識・技能
2 思考力・判断力・表現力
3 主体的な学習意欲(主体性・多様性・協働性)


を、多面的・総合的に評価していく、という意図が盛り込まれています。実際、英語では民間の検定試験の導入、数学・国語では記述式の出題が追加され、他の教科でも、従来のセンター試験とは異なる視点からの出題がなされます。

【例】

※平成29年11月実施試行調査の数学IA、第二問より引用

これまでのセンター試験に比べ、知識・技能について「思考力・判断力・表現力」を用いた、より実用的な運用能力を問いたい、という意図を確認することができます。

◆「思考力・判断力・表現力」を効果的に身につけていくには?

では、新しい大学入試で必要とされる「思考力・判断力・表現力」は、どのように身につけていけばよいでしょうか。下記の問題は、実際の試行調査として出題された国語の問題です。
問3 空欄[ イ ]について、ここで森さんは何と述べたと考えられるか。次の(1)〜(4)を満たすように書け。

(1) 二文構成で、八十字以上、百二十字以内で書くこと(句読点含む)。なお、会話体にしなくてよい。
(2) 一文目は「確かに」という書き出しで、具体的な根拠を二点挙げて、部活動の終了時間の延長を提案することに対する基本的な立場を示すこと。
(3) 二文目は「しかし」という書き出しで、部活動の終了時間を延長するという提案がどのように判断される可能性があるか、具体的な根拠と併せて示すこと。
(4) (2)・(3)について、それぞれの根拠はすべて【資料1】〜【資料3】によること。

(平成29年11月実施 「試行調査」記述式問題 より)
この問題には、会話文の流れを踏まえて空欄にあてはまる内容を考える「思考力」、与えられた資料から適切な根拠を見つける「判断力」、そして指示された条件を守りながら120字以内で的確に説明する「表現力」が必要になりますが、高校2・3年生が取り組んだ試行調査の結果では、この設問の完全正答率(採点基準と照らして不足する要素がないもの)は【0.7%】と非常に低い結果でした。大学入試センターの報告資料では、

  • 根拠とそれに基づく説明(立場、判断)を明確に書くこと、自身の立場を明記することや、説明に合うように根拠を適切に示すことに慣れていないこと等が考えられる
  • 比較する資料とその中の情報が多かったため、情報を整理し、記載すべき複数の要素を指定された字数内で適切にまとめることが難しかったことも考えられる
と、問題の難易度だけではなく、「思考力・判断力・表現力」を意識した学習経験の不足も、完全正答率の低さの原因として指摘されています。「思考力・判断力・表現力」は一朝一夕には身につかず、早い時期からの学習の積み重ねが必要であることがわかった結果といえるでしょう。

◆Z会8月入会特典「つながる知識・広がる思考」で「思考力・判断力・表現力」を伸ばそう

Z会の中高一貫コース(中学)では、新しい大学入試の準備のために、8月の入会特典(※)としてサマープログラム「つながる知識・広がる思考」という教材を提供しています。
この教材では、そのタイトル通り、知識をつなぎ合わせ、思考を広げながらさまざまな問題に取り組むことをテーマとした教材です。英語・数学・国語それぞれについて、通常の添削問題とは一味違った角度から趣向を凝らした出題をしています。
添削指導付きの教材になりますので、積み重ねの学習が必要な「思考力・判断力・表現力」を鍛える最初の取りかかりに最適な教材です。身近な問題を通じて「思考力・判断力」を伸ばしながら、記述問題にも取り組むことで「表現力」についても伸ばしてほしいと思います。

※中学生向け「中高一貫コース」8月号にお申し込みいただいた方を対象にお届けします。
※「学力ランキングコース」のみご受講の方は対象に含まれませんのでご了承ください。

◆「つながる知識・広がる思考」問題例

一例として、中1国語の出題を紹介します。

中1国語では、文学作品を「批判的・創造的に読解する」方法について勉強します。普段の国語学習では、「論理的読解」、すなわち問題文で取り上げられている内容を正確に理解することが主に問われますが、この学習では、それに加えて、その作品における作者の意図を考える「批判的読解」や、自分なりのストーリーを考える「創造的読解」にも取り組み、より多角的な視点から文章の読解ができるようになります。例としてあげた問題では、有名な童話「桃太郎」について、芥川龍之介が彼なりの解釈をもとに創作した作品と読み比べながら批判的に読解し、その上で、自分なりの「物語の続き」を創作してもらいます。この学習を通じて、文学作品の内容を考える「思考力」、自分の発想について根拠を見つける「判断力」、そしてそれらを自分の言葉で説明する「表現力」を身につけてほしいと思います。

◆時間に余裕のある夏休みだからこそ、普段とは違った学習を

学校のある時期は、日々の宿題や定期テストの対策等に忙しく、特に中高一貫校では学習進度が公立の中学校よりも速いことが多いので、どうしても「知識・技能」を重視した勉強が中心になります。そのため、この問題のように、自分の思考力や発想力を高める学習に時間を割くことは難しいと思います。
だからこそ、時間に余裕のある夏休みに、普段とは違う視点の勉強に取り組み、もう一歩踏み込んで自分の理解を深める学習を始めましょう!

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