公開日 2016.6.30

アクティブラーニング授業で、思考力・表現力が高まる!

今、「知識を活用する」「論理的に考える」「他者と協働して課題を解決する」などの力を養うために有効な学習法として注目されているアクティブラーニング。調査学習やグループディスカッション、グループワークなど、生徒の能動的な参加を取り入れた学習法を指した呼称です。

実際にはどんなふうにして学習が進められて、どのような効果があるのでしょうか? 2016年6月19日に開催されたZ会のアクティブラーニング型講座の様子と、講座を企画した、Z会 ICT事業部 指導課 総合担当主任補佐 高木信太郎の話をもとにご紹介します。

◆参加するだけでは、効果は薄い

 まず、今回の講座を企画したZ会の高木に、アクティブラーニングによって養うことのできる力について聞きました

「主にグループワークなどがアクティブラーニングの手法として挙げられますが、グループワークに参加するだけでは脳はアクティブに動かず、知識の定着にもつながりません。大事なのは、アクティブラーニングを行った際に、他者に説明をしたり、生じた疑問や『もっと知りたい』と思ったことについて自ら調べたりすること。そうすることで知識は定着していきます。

例えば、今回の講座では、『18歳選挙権』にピンときていない中学生でも『自分たちにはなぜ選挙権がないのか?』『同じ高校生でも18歳には選挙権があるのに、17歳には選挙権がなくていいのか?』などと疑問に感じ、『ほかの国ではどうなんだろう?』『昔の日本ではどうだったんだろう?』などと自ら調べ、知りたくなるように構成しました。コミュニケーション力や批判的思考力などに加え、選挙に関する知識や社会問題に対する当事者としての意識も高めることができると思います。」

◆段階を踏んだ議論で、多面的に考える

 実際の講座では、以下の手順で学習が進められました。

1. 「中学生にも選挙権が与えられるべきか?」という問いに対する考えとその理由を個人で考える

2. 問いに関連した3種類の資料から1人につき1種類を受け取り、同じ資料を受け取った人同士で資料から読み取れることや、問いに対する考えと理由を話し合う

3. 自分が受け取った資料とは異なる資料を受け取った人と、2のグループワークで出た意見を共有し合い、グループとしての問いに対する考えと理由をまとめる

4. 問いに対する考えと理由を、グループごとに発表する

5. 発表を聞いて新たにわかったことや考えたことを個々人でメモし、最終的な個人の考えと理由をまとめ、全員の前で発表する

6. 学習を終えて自分の中に生まれてきた「ほかに調べたいこと」や「ほかに知りたいこと」を書き出す


 講座では、「中学生にも選挙権が与えられるべき」「与えられるべきではない」の両方の考えについて活発な議論が交わされました。以下に、参加者からの感想を紹介します。

  • 挑戦したことがない課題でおもしろかった。
  • まったく知らない人と意見を交換して議論するのが、思っていたよりも楽しかった。
  • 自分の考えつかなかった意見があっておもしろかった。


 講座での経験をふまえて、高木は参加者に次のような期待を寄せています。

「講座での経験をきっかけに、言われたことを覚えるだけでなく、自分で疑問を見つけ、調べる習慣をつけてほしいですね。今回扱ったような社会問題だけでなく、普段の教科学習でも、『なぜこの公式になるのだろう?』『なぜこの単語には’a’ではなくて’the’が付くのだろう?』など、さまざまな疑問が出てくると思います。学校のテスト範囲にとらわれず、自分が疑問に思ったことを調べたり、考えたりすることで、社会で活かすことのできる力をつけられるのではないでしょうか。」

◆この夏休みに、ぜひ一度経験を

 とはいえ、アクティブラーニングの経験がない中学生もたくさんいるのではないでしょうか? そんな中学生に、高木からアドバイスをもらいました。

「夏休みは、比較的時間に余裕のある時期。普段は学校や部活に忙しい方も、この夏はぜひアクティブラーニング型講座に参加してみてほしいですね。

今、そしてこれからの世の中は、人から教えてもらったことを覚えれば活躍できる時代ではなく、他者を巻き込んで未曾有の問題を解決していかなければいけない時代です。そのために必要なのは、覚えた知識を活用すること。もちろん、中学生のうちは『覚える』という基礎が重要ですが、同時に、未熟であっても自らの頭で考え、他者の意見に耳を傾けながら物事を進めていく姿勢も養っていきたいものです。そのための一歩を、この夏、踏み出してみてはいかがでしょうか?」

高木によると、「アクティブラーニングを導入する学校も増えていますが、同じ学校の中ではどうしてもアクティブラーニングの目的の一つである『多様性を受容する力を養う』という点を実現しづらい面があります」とのこと。異なる学校の生徒と議論し、協働する機会として、ぜひ、夏休みに時間を作って参加してみましょう!


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2016年夏の講座は終了しました。