新講座「総合」開発担当者に聞く、中学時代から取り組んでおきたい勉強とは?_2016.2
公開日 2016.2.25
問題や課題を自分ごととして考え、他者と協力して解決策を見出していくことが求められるこれからの社会。Z会中高一貫コースでは、これらの力をつけるための新しい講座「総合」を2016年3月に開講します。そこで、「総合」の開発担当者であり、Study-eに連載コラムを寄稿している川渕健二に、これらの力をつけるために中学時代から取り組んでおきたい勉強について話してもらいました。
◆視野を広く持ち、政治、経済、社会の基本的な仕組みを理解しよう
世の中にはおかしなことがゴロゴロと転がっています。おかしいものはおかしいと気づく、そして「おかしい」と口に出して言える、さらに他者と協同してそれを是正している人が増えていくことが、今の世の中を少しだけよくする一番の近道なのではないかと考えています。
ただ、まっとうな批判や判断をするには、ベースとなる知識が必要です。例えば、政治、経済、社会の基本的な仕組みを、その成り立ちも含めて理解していることなどです。
そのために、中学生段階では視野を広げることが重要だと考えます。具体的には、以下の3つの方法をおすすめします。
ただ、まっとうな批判や判断をするには、ベースとなる知識が必要です。例えば、政治、経済、社会の基本的な仕組みを、その成り立ちも含めて理解していることなどです。
そのために、中学生段階では視野を広げることが重要だと考えます。具体的には、以下の3つの方法をおすすめします。
1. 本をたくさん読む
まずは一冊、政治や経済、歴史などについて扱った新書を読んでみましょう。学校や塾の先生が指定したものでも構いません。その際、「これはどういうことなんだろう?」などと問いを立てながら読むことをおすすめします。そうすると、わき出てきた問いを解決するために、次へ、次へと読むべき本が出てきて、読書の幅が広がり、知識もついていきます。
新書を選ぶ際は、刊行時期が新しく、かつ、巻末に記載されている参考文献一覧が充実しているものがおすすめです。生じた問いや疑問を解決するために次に読むべき書籍を参考文献一覧から決められますし、参考文献が豊富な書籍は、多くの場合、内容の質も高いからです。
また、古典と呼ばれる書籍もどんどん読んでほしいですね。さまざまな物事に対して、昔からさまざまな判断がなされていたことを知っておかないと、正しい判断はできないでしょう。原著が難しければその解説本でも構いません。
新書を選ぶ際は、刊行時期が新しく、かつ、巻末に記載されている参考文献一覧が充実しているものがおすすめです。生じた問いや疑問を解決するために次に読むべき書籍を参考文献一覧から決められますし、参考文献が豊富な書籍は、多くの場合、内容の質も高いからです。
また、古典と呼ばれる書籍もどんどん読んでほしいですね。さまざまな物事に対して、昔からさまざまな判断がなされていたことを知っておかないと、正しい判断はできないでしょう。原著が難しければその解説本でも構いません。
2. 新聞を読む
今、世の中で何が起こっているのかをキャッチアップするには、新聞が最も手軽で、わかりやすいツールです。インターネットという便利なツールもありますが、インターネット上のニュース記事は断片的であるため、世の中の一面のみを切り取って見てしまう可能性があります。また、インターネット検索も、検索者の志向を反映した結果が出るように設計されているため、得られる情報が偏ってしまう場合があります。
できれば、論調の異なる一般紙を複数読んで、一つの事柄に対する異なる意見や見方を見比べたり、物事の見方の多様性を知ったりしてほしいと思います。新聞を読みに学校や地域の図書館へ足を運び、複数紙に目を通してみましょう。
できれば、論調の異なる一般紙を複数読んで、一つの事柄に対する異なる意見や見方を見比べたり、物事の見方の多様性を知ったりしてほしいと思います。新聞を読みに学校や地域の図書館へ足を運び、複数紙に目を通してみましょう。
3. 学校の友人以外の人と付き合う
世の中には「中高一貫校」という世界以外にも、さまざまな世界があります。そのことを忘れないでほしいですね。公立中学校に進んだ小学校の同級生と定期的に話すのでも、地域のサークル活動など、学校外の活動に参加するのでも構いません。
◆物事を見るために重要なのは「縦の視点」と「横の視点」
物事について考えるときや、情報を捉えるときは、「縦の視点」と「横の視点」からできるだけ広く考えることが大事だと考えます。
「縦の視点」とは、歴史のことです。今起こっていることについて、昔はどうだったのか?と考えるのです。今現在「正しい」と言われていることは、今だから正しいのであって、いつの時代も正しかったとは必ずしも言えない場合が多々あります。
「横の視点」とは、自分がいる場所以外について考えることです。例えば、首都圏以外の地域はどうなのか、外国はどうなのか、など。
「少子化」を例に考えてみましょう。日本の人口が1億人を超えて約50年になりますが、それ以前は、1億人を超えたことはありませんでした。この経緯をふまえると、人口減は悲観的に捉えるものなのでしょうか? 一方で、世界に目を向けると、人口が増えている国がたくさんあります。地球規模で見ると、人口は増えているのです。このように、視点の違いによって、物事の見え方や良し悪しは変わってきます。
「今は正しいとされることだけど、過去には正しいことではなかった」「中高一貫校にはあてはまるけど、公立校にはあてはまらない」「これは、日本全国にあてはまることではない」「日本では『正しい』とされることだけど、外国ではそうではない」など、物事を相対化して捉え、自分の立場が絶対だと思わないことが、物事を考える際のスタート地点です。
ぜひ、中学生のうちから、「縦の視点」と「横の視点」の2つの視点で物事を考える習慣をつけておいてほしいと思います。そのために、読書経験や新聞を読むこと、学校外の人とつながりを持つことは、大いに役立つと思います。
「縦の視点」とは、歴史のことです。今起こっていることについて、昔はどうだったのか?と考えるのです。今現在「正しい」と言われていることは、今だから正しいのであって、いつの時代も正しかったとは必ずしも言えない場合が多々あります。
「横の視点」とは、自分がいる場所以外について考えることです。例えば、首都圏以外の地域はどうなのか、外国はどうなのか、など。
「少子化」を例に考えてみましょう。日本の人口が1億人を超えて約50年になりますが、それ以前は、1億人を超えたことはありませんでした。この経緯をふまえると、人口減は悲観的に捉えるものなのでしょうか? 一方で、世界に目を向けると、人口が増えている国がたくさんあります。地球規模で見ると、人口は増えているのです。このように、視点の違いによって、物事の見え方や良し悪しは変わってきます。
「今は正しいとされることだけど、過去には正しいことではなかった」「中高一貫校にはあてはまるけど、公立校にはあてはまらない」「これは、日本全国にあてはまることではない」「日本では『正しい』とされることだけど、外国ではそうではない」など、物事を相対化して捉え、自分の立場が絶対だと思わないことが、物事を考える際のスタート地点です。
ぜひ、中学生のうちから、「縦の視点」と「横の視点」の2つの視点で物事を考える習慣をつけておいてほしいと思います。そのために、読書経験や新聞を読むこと、学校外の人とつながりを持つことは、大いに役立つと思います。