公開日 2019.8.7

Z会の中学生向け中高一貫コース「総合」講座は、答えがひとつではない問いに自分なりの答えを見つけ、それを他の人と深め合いながら解決できるようになることを目指した講座です。
今回ご紹介する教材テーマは「「個性」について考えてみる〜尊重されるべき「個性」とは一体何なのか?〜」です。
「個性が大事」とはよく言われることですが、みなさんは「個性」とは何なのか考えたことはありますか?自分の個性は何なのか、友達の個性はどんなところか、を考えることはあっても、「個性」そのものについて、どんなものなのかを考える機会は少ないのではないでしょうか。今回はテーマでは、会員のみなさんに、そんな「個性」について考えてもらいました。

※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。

◆中1人文分野 「「個性」について考えてみる〜尊重されるべき「個性」とは一体何なのか?〜」

◎出題のねらい◎
今、教育現場では、やたらと個性重視が叫ばれています。個性的であること=善、という図式が成立したのは、一体いつごろなのでしょうか。また、その背景は? 総合講座では、みなさんに常識を疑い、おかしいことにはおかしいと言える力をつけてほしいと考えていますが、これもまた、個性的であること=善という一種の常識に疑いを差し挟んでみるトレーニングの一環です。課題では、現代の日本をどうとらえるか、その中で「個性」をどう扱うべきかについて、自分なりの「個性」の定義とあわせて考えてもらいました。

◎問題◎

現代の日本で、「個性」はどのように扱われるべきか?「個性」のあり方をあなたなりに定義したうえで、あなた自身の考えを300字以内で述べなさい。


◎答案例1◎
私は「個性」とは、その個々人の時間・場所・年齢によって変わっていくものだと思う。例えば、資料1の筆者は、「個性」とは教育の現場において、「児童生徒個々人の成長の速度・方法」だと言っている。「個性」のあり方をこのように定義すると、「個性」は、他人の言葉を生かしながら、自分でしか育てることのできないものだと思う。例えば、派手な服装をして、注意されても、これが自分だと割り切ってしまえば、「個性」はそのままだ。しかし、以後気をつけようと思えば、「個性」は変わる。このように他人の言葉をいかし、自分で好きなように「個性」を組み立てられるが道を踏み外さないように、ガードをするような扱いをするべきだと思う。

◎答案例2◎
僕は、個性は尊重されるべきもので、自分で養っていくものだと思います。僕自身、自分の個性は何かと聞かれると、少し困ります。つまり、個性は自分にもわからない部分があるのです。要するに、個性とは自分の中にあるものだが、自分より相手の方が見えているものだと思います。そこで、個性を養うということは、学校の教育で左右されるものではないと思います。他人と接して、相手の個性を知り、自分のと比較することで、より自分のことがわかります。個性は文字通り個人の性格です。それがうまくかみ合うことで、コミュニケーションが生まれます。つまり、現代の日本で、個性は、他人を知り、自分を伝える道具として重要なものだと思います。

◎答案例3◎
多数の人がこうであるから、みんなそうだというような社会はあってはならないと思います。例えばLGBT、これは少数派だけれど尊重されるべき個性だと思います。学校でもみんなに合わせる、ということはよくあります。しかしそれは自分の個性を潰していると思います。人に合わせることも大切だが、本当に自分がしたいことではないのに自分から合わせる、そんな人はもったいないと思います。個性は自分ではわからないものだと思います。世の中みんなが個性的な考えをしてみんなでまとめる、そのようなことができたらより良いものを作り上げることができると私は考えます。


◎講評◎
答案では、「個性」とは他者とのやりとりを通じて変化していくもの、という鋭い着眼がありました。そう、人は変われるのです。「個性」は他者のほうがよく見える、というのもそのとおりで、我々はいわば、他者に見出される存在なわけですね。
今回のテーマが、現在、あたかも疑問を差し挟めないかのように扱われている「個性を尊重すべし」という理念に対して、本当に異議を申し立てることができないのかを、みなさんに考えてみてもらうための足掛かりとなればと思います。

このように、「総合」講座では、身近ではあるけれど、今まで深く考えたことがなかったであろう問題に正面から向き合い、徹底的に考え、答案にまとめます。このプロセスを毎月くり返すことで『思考力』『判断力』『表現力』が伸び、自らの考えを深め表現する力を養います。
ぜひ、「総合」講座で考える力を培ってください。

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