総合教材テーマのご紹介「歴史を学ぶ意義〜歴史を考える〜」
公開日 2019.5.14
Z会の中学生向け中高一貫コース「総合」講座は、答えがひとつではない問いに自分なりの答えを見つけ、それを他の人と深め合いながら解決できるようになることを目指した講座です。
今回ご紹介する教材テーマは「歴史を学ぶ意義〜歴史を考える〜」です。
令和の時代が始まりましたね。皆さんにとって令和元年はどういった年になるのでしょうか。ところで、皆さんは令和までの時代区分を順番に言うことはできますか?もしかすると、今ちょうど覚えようと頑張っている人もいるのかもしれませんね。歴史の学習では、時代区分以外にも様々な用語や事項が登場しますが、果たしてそれらを覚えることだけが歴史を学ぶということなのでしょうか。今回のテーマでは、会員の皆さんに、いつもと違う視点から歴史について考えてもらいました。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。
今回ご紹介する教材テーマは「歴史を学ぶ意義〜歴史を考える〜」です。
令和の時代が始まりましたね。皆さんにとって令和元年はどういった年になるのでしょうか。ところで、皆さんは令和までの時代区分を順番に言うことはできますか?もしかすると、今ちょうど覚えようと頑張っている人もいるのかもしれませんね。歴史の学習では、時代区分以外にも様々な用語や事項が登場しますが、果たしてそれらを覚えることだけが歴史を学ぶということなのでしょうか。今回のテーマでは、会員の皆さんに、いつもと違う視点から歴史について考えてもらいました。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。
◆中2 社会分野 歴史を学ぶ意義〜歴史を考える〜
◎出題のねらい◎
“歴史を学ぶ”とはどういうことか、ここから今回の学習が始まります。歴史を学ぶこと=年代・人名・事件名を覚えること、と思っていませんか? それは本当に歴史を学んでいることになるのでしょうか? 歴史研究のアプローチの仕方から、物事を論理的に考えることを学びます。
課題では、資料をもとに歴史を考え、自分なりの見解を示して他者に説明することに取り組みます。
“歴史を学ぶ”とはどういうことか、ここから今回の学習が始まります。歴史を学ぶこと=年代・人名・事件名を覚えること、と思っていませんか? それは本当に歴史を学んでいることになるのでしょうか? 歴史研究のアプローチの仕方から、物事を論理的に考えることを学びます。
課題では、資料をもとに歴史を考え、自分なりの見解を示して他者に説明することに取り組みます。
◎問題◎
会話文と資料1〜資料3に基づいて、「天皇」の称号がいつから使用されたと考えるか、あなた自身の考えを、根拠を示しながら300字以内で述べなさい。
(会話文は省略)
(会話文は省略)
◎答案例1◎
「天皇」の称号が使い始められたのは、天武天皇(在位:673〜686年)のころだと思います。672年の壬申の乱を歌った歌で、天武天皇は「大君」と呼ばれていることから、この時はまだ「天皇」の称号は使われていないと考えられます。677年に記された木簡では「天皇」の文字が見られるので、この頃より前に「天皇」の称号が使われ始めたのでしょう。文献などで天武天皇より前の時代で「天皇」の文字が見られるのは、称号を統一するために後から書き換えられた可能性もあるが、木簡のような一般人の生活にかかわりのあるものに「天皇」と書いてあるのはある程度「天皇」の呼び方が民衆に定着しているからだと思いました。
◎答案例2◎
私は推古天皇のころに天皇の称号が使い始められたと考える。なぜなら608年に送った国書の中に「天皇」の記述が用いられているからだ。当時使われていなければ書の中にも出てこないと考えられる。万葉集にある歌では大君が用いられているが、その当時、「天皇」の称号が使われ始めていてもその歌では「大君」を使ったということも考えられる。これは672年にかかれた歌であり、677年に記された木簡に「天皇」の称号が入っていることからもこの頃は天皇という称号が用いられていたのではないかと考えることができる。これらの理由から天武天皇のころよりはやく、推古天皇のころから天皇の称号は使い始められたのだと考えた。
◎講評◎
資料を分析して歴史を考えるという慣れないテーマだったと思いますが、はじめに「天皇」の称号が使い始められた時期をいつと考えるかについて見解を明言してから、その根拠を述べていくという構成で書けているものが多かったですね。ただし、字数に限りがあるためか、言葉足らずであったり説明の一部を省略していたりして、説明が不十分であり読み手にとっては論理が飛躍しているように感じる答案も散見されました。制限字数を守りながら不足なく説明するには、解答に盛り込む要素に優先順位をつけた上で文章の構成を検討すること、解答を書き終えたあとに読み直すことも重要ですね。
答案例1では、天武天皇のころから「天皇」という称号が用いられるようになったという立場をとり、なぜ推古天皇の時代から使用されたとは考えられないかという点もしっかりと説明できていました。木簡に書かれていたことから「民衆に定着した」と推察している点も興味深いですね。
一方答案例2は、推古天皇のころから「天皇」の称号が使われたという見解で論じてくれています。国書は正式な文書でありそこに使われた称号は当時のものである、という説明は鋭い指摘であり、読み手を十分に納得させてくれますね。
「複数の史料を組み合わせて解くのが難しかった」といった感想も見られましたが、このように資料をもとに思考を巡らせて自分なりの歴史像を構築していくのが歴史の面白さのひとつです。まずは普段の歴史の学習から、教科書に掲載されている資料について、単に名称を覚えるだけでなく、内容をじっくり確認してみるようにしてほしいと思います。
このように、「総合」講座では、身近ではあるけれど、今まで深く考えたことがなかったであろう問題に正面から向き合い、徹底的に考え、答案にまとめます。このプロセスを毎月くり返すことで『思考力』『判断力』『表現力』が伸び、自らの考えを深め表現する力を養います。
ぜひ、「総合」講座で考える力を培ってください。