公開日 2018.8.27

2020年から始まる新大学入試に向けて、高校1年生が今から始めたい準備があります。その内容や方法について、Z会の教室マーケティング担当・上之門宏美が高校1年生とその保護者の方に向けて行った講演(2018年7月8日開催「全国国公立・有名私大相談会」(主催・朝日新聞社)講演「どう変わる?新大学入試−今からやるべきことは−」)をもとにご紹介します。

◆新大学入試が求める力とは

講演ではまず、大学入学共通テストと各大学の個別試験について、現在のセンター試験と個別試験からの変更点とその意図について、以下の点を中心に解説が行われました。

○大学入学共通テストにおける、国語・数学への記述式問題の導入や、選択式問題における従来とは異なる形式の問題の出題、民間の検定試験も活用した英語4技能評価といった変更の目的は、すべて、実社会で活躍できる素養を持っているかどうかを測るためです。具体的には、文章や資料から情報を読み取り、「本当に正しいか」も含めて考える力、すなわち本質をとらえる「読解力」と、未知の状況に手持ちの知識の応用・組み合わせで対応する「知識を活用する力」、そして、自分の考えを根拠と結論を明示して伝える「考えを適切に表現する力」を測ろうとしています。


○各大学の個別試験も、「読解力」「知識を活用する力」「考えを適切に表現する力」をより一層問うものに変わってきています。具体的には、「受験生の人となり・個性に重点を置いて評価する入試」や「大学・学部が共に学びたい人材かどうかに重点を置いて評価する入試」が増えていきます。そこで問われるのは、高校までに学んだ教科の学力に加えて、「どのように社会に参画したいのか/そのために、大学で何を学びたいのか/準備段階として高校では何に取り組んだのか」という志や経験などです。

◆今から始めたい、新大学入試に向けた準備とは

このような変化をふまえて、今から始めておきたい準備として以下の6点が紹介されました。

○学校や塾の授業を「本当に」体得する

学校や塾での学びはすべて、大学入試に必須のものですから、漏れのないよう理解しましょう。そのために重要なのは、書いて理解することと、問題演習を通じて理解度を確認すること。授業を、ノートをとらずに聞くだけで理解できる人はいません。授業の内容を振り返り、思い出す仕組みを作るためにも、聞いたことは必ずノートに整理しましょう。それが考えを適切に表現する力を鍛えることにもつながります。

そして、学んだことを本当に理解できているかどうか確認するために、授業と同じテーマの初見の問題を解きましょう。その際、わからなかったところや間違えたところは「何がわからなかったのか」を書き出します。こうして自分の思考を言語化することを続けると、英作文や論述などに取り組む機会に手が自然と自分の思考と同じ速度で動くようになります。

○「受け身の勉強」をしない

学校や塾の授業で聞いたことは、そのまま覚えるのではなく納得するまで考えましょう。考えてもわからないときは、一人で解決しようとせず、わかる人に質問をしに行ってください。その際に重要なのは、どこまで理解できて、どこから理解できなかったのかを整理した上で質問すること。これも、「読解力」「知識を活用する力」「考えを適切に表現する力」を鍛える練習になります。

○「受け身の生活」をしない

日々の生活が受け身であっては、「どのように社会に参画したいのか/そのために大学で何を学ぶのか/高校では何をしておくべきか」という人生設計を立てることはできません。まずは、1日のスケジュールを自分で考えることから始めましょう。さらに、長期休みの際は、いつまでに何をするのか、そのために1日をどのような時間配分で過ごすのか、さらには、うまくいかなかったときにどのように軌道修正するとよいのか考える、ということをぜひやってみてください。

また、好きなことや興味のあることに対して、実際に行動してアプローチしましょう。それが、自分なりの社会への参画の仕方や、大学で学びたいことを見つけるヒントになります。

○興味のある大学・学部の近年の入試問題に高1のうちから取り組んでおく

各大学は今、2021年度入試に向けて個別試験の内容を少しずつ変えるなど、さまざまなトライアルを行っています。興味のある大学・学部や、入りたい大学・学部があるならば、ぜひその大学・学部のここ数年の問題に挑戦してみて、どんな入試をしようとしているのか体感しておきましょう。満点を取る必要はなく、調べなから解いて構いません。実際の問題を体感することが重要です。

○安易に科目を捨てない

大学・学部によっては、今後、文系学部であっても数学が必要となる、あるいは、理系学部であっても国語が必要となる方向に入試が変わる可能性があります。したがって、高1のうちは、特定の科目を「捨てる」という選択はとらないでおきましょう。それは、すべての科目を完璧にできなければならないということではありません。得意科目と苦手科目ができてくるのは、一人ひとり個性があるので当たり前です。ただ、苦手科目をほうっておいて受験に必要だと気づいてから挽回するのは大変。苦手科目こそ定期的に勉強する習慣をつけましょう。

○高2の夏までにさまざまな民間の英語検定試験を受ける機会をつくる

民間の英語検定試験にはそれぞれ特徴があるため、自分の力を発揮しやすい試験は人によって異なります。高3に入ってから初めて受けて、そこで失敗するとなかなか挽回する機会は得られません。高2の夏までに受けられる試験は試しておきましょう。


最後に、上之門より高校1年生の皆さんに向けて、メッセージが伝えられました。
「今すぐに特定の大学に絞った入試対策をするなど、残りの高校生活のすべてを大学入試対策に使う必要は、私はないと考えています。ただ、お話ししたとおり、これからの大学入試においては、大人に言われるままに勉強していれば合格するわけではなく、『どのように社会に参画したいのか/そのために、大学で何を学びたいのか/準備段階として高校では何に取り組むのか』ということを日々意識して過ごしてきたかどうか、つまり、『好きなことを見つけて勉強することの積み重ね』が評価される試験になっていきます。ぜひこのことを念頭に置いて、日々の勉強に取り組んでください。」
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