公開日 2016.9.28

大学入試前の受験は必須!? 「英語4技能試験」受験のすすめ

2021年度の新大学入試改革において、民間の英語4技能試験の活用が検討されるなど、英語の試験への関心が高まっている中、どれを受験したらよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。Z会グループである基盤学力総合研究所の野上彩子マネージャーに、アドバイスをいただきました。

◆入試への活用が進む英語4技能試験

大学入試において、グローバル化に対応したコミュニケーション力を育成・評価するために、「聞く」「読む」だけではなく、「話す」「書く」を含めた4技能の英語力を評価する必要性が叫ばれ、英語4技能試験の入試への活用も拡大しつつあります。2015年度大学入試(一般入試、推薦入試、AO入試含む)において英語4技能試験を活用している大学は43.0%にのぼります。2013年度には35.8%でしたから、活用状況は年々広がっているといえます。※1
また、今(2016年9月)の中学2年生以下が対象となる、現行の大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、英語はTOEFL®や英検のような英語4技能試験の成績を活用することが検討されています。さらには高校入試でも、大阪府に続き、東京都の都立高校入試において「話す力」を評価するスピーキングテストの導入を検討する動きがあります。

※1 2016年8月31日の高大接続改革進捗報告より

◆中高生の英語力の現状

しかしながら、高校3年生約9万人を対象にした英語力調査によると、「話す」力は中学レベル(CEFR※2:A1)が89.0%を占めるなど、「4技能すべてにおいて課題があるとともに、特に『話すこと』『書くこと』について課題が大きい」という結果が出ています。
一方、文部科学省は2017年度までに、高校卒業段階でCEFR:A2〜B1程度(英検準2級〜2級程度)の英語力を達成した中高生の割合を50%とすることを目標にしていますから、目標との乖離はまだ大きい状況です。
※2 CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)=言語能力評価の国際指標

4技能の英語力を伸ばすためにはどうしたらよいのでしょうか。それには「文法や語彙がどれだけ身についたか」ではなく、「英語を用いて何ができるようになったのか」を定期的に測り、学習につなげていくことが必要です。「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の英語力を測定できる試験であれば、技能ごとに「できること」「まだできていないこと」を客観的に把握することができます。

◆どの英語4技能試験を受験すればよいか

すでに学校などで何らかの英語4技能試験を受験したことがある方も多いでしょう。4技能の英語力を測る試験は複数ありますが、「どのような英語力を測るものか」「国際通用性はあるか」「受験のしやすさ」といった面でそれぞれに特徴があります。

◎目的で選ぶ◎
国内だけでなく全世界で実施され、国際通用性が高い試験として、ケンブリッジ英検、IELTS、TOEFL iBT®などがあります。入学資格や就職時の英語力の証明として、国際的に用いることができます。
◎レベルで選ぶ◎
中高生から自分のレベルに応じて受験しやすい試験として、英検(実用英語技能検定)、ケンブリッジ英検、TOEFL Junior® Comprehensiveなどがあります。たとえばケンブリッジ英検は、初中級レベルでは日常生活に必要とされる実践的な英語力、中上級レベルでは英語を使う環境で学問や仕事をするのに必要な英語力を測ることができます。
◎試験の特性で選ぶ◎
主に国内で実施され、「大学教育レベルの英語力を備えているか」を測る試験として、TEAP、GTEC CBTなどがあります。

下記の「各試験とCEFRレベルの対照表」なども参考に、進路や目的、レベルに応じた試験を受験してみましょう。

◆英語4技能試験の対策方法

英語4技能試験を受験するにあたり、どのような学習を行うとよいでしょうか。ケンブリッジ英検を受験した中高生の声を見てみましょう。

ケンブリッジ英検を受験した中高生の声「やっておけばよかったこと」

  • ボキャブラリーをもっと学習しておけばよかった。(高1)
  • 授業中、もっと英語を話しておけばよかった。(中2)
  • リスニングが速いので、リスニング対策をもっとしておけばよかった。(高2)
  • 手紙の書き方など、ライティングの対策はあまりきちんとしたことがなかった。(高1)

ケンブリッジ英検を受験した中高生の声「やっておいて役立ったこと」

  • 学校で習った文法が役立った。(高2)
  • 英語の授業で自分の考えを伝える機会があるので、試験に役立った。(中3)
  • 学校でエッセイをよく書いているので、ライティング試験に役立った。(高1)
  • 過去問を解いたことで形式がわかってよかった。(高2)
コミュニケーション能力を測ることを目的とした試験では、日常の英語学習がそのまま受験対策につながるといえます。しかし、例えば中高生の検定教科書で扱われる語彙数は3,000語程度ですが、各英語4技能試験ではそれを超える語彙数が設定されています。教科書の学習をベースに、+αの英語学習を進めていくとよいでしょう。
また、2016年春にケンブリッジ英検のPET(CEFR:B1、高校英語レベル)を受験した中高生の技能別スコアを比較すると、スピーキングやライティングよりもリスニングやリーディングのスコアが低い傾向が見てとれました。4技能のうち、一般的に課題があると言われている「話す」「書く」だけでなく、「聞く」「読む」もあわせて学習を進めていくことが効果的です。

◆英語4技能試験の受験タイミングは?

英語力の定期的な測定として、1〜2年に1回、自分のレベルや目的にあった英語4技能試験を受験していくとよいでしょう。中学生のうちに何回か受験しておくことで、変わりゆく大学入試や実社会での活躍に向けたマイルストーンとなります。
具体的な学習方法は、ケンブリッジ英検のWebサイトを参考にしてみてください。

▼ケンブリッジ英検

英語4技能試験は受験することが目的ではありません。適切な評価を受け、その結果をさらなる学びに結びつけることで成果を上げやすくなります。ぜひ、チャレンジしてみてください。