公開日 2018.4.25

大学入試改革のなかでも大きな話題となっている「英語4技能」について、どのような点に気をつけて学習していけばよいのでしょうか。Z会グループが実施する「英語CAN-DOテスト」のライティング試験モニター結果をもとに、これから必要とされていく英語力について解説します。

◆中高生の英語力の現状

まず最初に、中高生の英語力の現状について、【表1】のデータで確認してみましょう。

「書く」「話す」は、高校卒業段階においても、大半の生徒が「A1レベル」という結果となっています。「A1レベル」とは、CEFRという言語の国際評価基準で下から2番目の「初級レベル」です。CEFRは、レベルごとに「どのようなことができる言語能力か」がわかる国際的な基準で、一般的に、海外大学に留学したり、仕事上で英語を使ったりできるのが「B2レベル」であるといわれています。文部科学省は、高校卒業段階で「A2〜B1レベル以上」の生徒が50%となることを目標としています。
このCEFRは、大学入試における評価の尺度として使われるだけでなく、次期学習指導要領の策定にも大きな影響を及ぼしています。たとえば、「話す」は、CEFRに基づいて、「やりとり」と「発信」という2領域に分かれることになりました。また、学習指導要領内で規定されている目標も、CEFRの影響を強く受けたものとなっています。

◆民間英語試験から見える、これから求められる英語力とは?

それでは、これから求められる「CEFRに基づく英語力」とはどのようなものなのでしょうか。簡単に言うと、それは「使える英語」ということになります。次の英文を見てください。

出典元:Cambridge English Key for Schools Handbook for teachers for exams from 2016(UCLES,2016)

これは、2020年からの「大学入学共通テスト」で導入される民間英語試験の一つであるケンブリッジ英語検定が行ったライティング試験問題に対する、受験者の解答例です。
この問題は、イギリス人の友だちから受け取ったメールを読んで、その返答を書くという設定です。メールには、夕方に友だちの家でDVDを見る約束について、「何時に来るのか」「見たいDVDはあるか」「何か食べたいものはあるか」という質問が含まれています。ところが、この受験者の解答例を見てみると、一見上手に書けているようですが、まったくと言っていいほど、相手の質問に答えていません。この解答例の得点は、5点満点中の1点です。ケンブリッジ英語検定のライティングの採点基準では、文法・語彙などの言語的な観点ももちろん評価されますが、伝えるべき内容がきちんと含まれているかという観点も非常に重視されるのです。
このような傾向は、ほかの英語4技能試験でも同様です。たとえば、上智大学などの大学入試で使われるTEAPという試験では、複数のグラフや文章が提示され、それをもとにエッセイを書くという問題が出題されています。採点基準の中には、文法・語彙や構成などとともに、「資料の要点を押さえているか」「複数の資料からの情報を統合できているか」「資料の内容を評価し、自分の考えを書けているか」などの内容面のポイントが明記されています。

◆「使える英語」を身につけるには?

それでは、今後どのようなことを意識しながら英語の学習をしていけばよいのでしょうか。中高生がこのような「実際の英語を使われる場面を想定したタスク」に取り組んだ結果を見ながら、考えていきたいと思います。【グラフ1】を見てください。

このデータは、Z会グループが2018年4月にリリースした、「英語CAN-DO テスト」のライティング試験のモニターテストの結果です。「文法・語彙」「構成」「内容」のそれぞれの観点を、専門のトレーニングを受けた評価者が、5点満点で評価をしています。
このタスクは、アメリカ人の友だちにEメールを書くという設定でした。「構成」の得点を見ると、学年があがるにつれて、得点が伸びていっていることがわかります。実際の答案を見てみると、中学2年生では冒頭から「内容」を書き始めているものが多いのに対して、高校3年生になると、「Eメール」を書いているという意識が感じられる答案の数がぐんと増えていました。そのほかにも、接続詞を使って文をつなげられるようになっていたり、一つのテーマを発展させて、一貫した文章が書けるようになっていたりしました。「文法・語彙」の得点も、学年があがるにつれて、高くなっていく傾向があることがわかります。
それに比べて、「内容」の得点はどうでしょうか。中学2年生・高校3年生と比べて、大学生の得点は高くなってはいますが、ほかの2つの観点と比べると、その伸びはゆるやかなものとなっているように見えます。
みなさんにはここで、「英作文」をどのように学習しているか、どのような授業を受けているかを思い出してほしいのです。文法の間違いなどの「形式面」について気にすることが多いのではないでしょうか。文法や単語を気にするのと同じくらい、内容についても気にしてほしいのです。
つまり、これからの英語試験では、「文法を間違わないように書く」「知っている文法・語彙の範囲で書く」のではなく、「タスクで設定されている内容を、できる限り正確な英語で書く」という姿勢で取り組むことが大切であると言えます。
新大学入試において民間英語試験が導入されるにあたり、CEFRのレベル別に成績を表示するようになることが検討されています。そうなると、自分の英語力をCEFRレベルで把握する必要性が高まることが予想されます。
しかしながら、民間英語試験は高額なものも多く、また、試験レベルが中高生の早い段階では難しすぎることもあります。そこで、Z会の通信教育会員の方に、自宅で気軽に英語4技能試験「英語CAN-DOテスト」が受験できる特典(無料)をご用意しました。「英語CAN-DOテスト」は、CEFRを日本人英語学習者のためにカスタマイズしたCEFR-Jという枠組みに基づいており、低学年から、短時間で気軽にCEFRレベルを測定することができます。ぜひ、受験してみてください。

★Z会の通信教育会員の方には、「英語CAN-DOテスト」特別優待があります★

【高1・高2生】
実施時期    5〜6月
対象者    「高1・高2生向けコース」本科または専科を1講座以上受講している、2018年5月号または6月号受講者
【中学生】
実施時期    8月〜9月
対象者     「高校受験コース」または「中高一貫コース」を1講座以上受講している、8月号または9月号受講者
※上記の対象者の方は、「英語CAN-DOテスト」の受験料・お申し込みは不要です。
※ご自宅でタブレットまたはPCで取り組むテストです。
※受験方法は、教材同封にてお送りするご案内をご確認ください。

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