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経済学部系統

青山学院大学 国際政治経済学部

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プロフィール

――先生の研究されている専門分野に関して教えてください。

【先生】キーワードでいうと、「応用ミクロ経済学」です。経済学というのは大きく、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」に分けることができます。マクロ経済学は、国全体や世界経済のしくみを分析します。一方、ミクロ経済学は、個人や企業等、小さいスケールの主体、あるいは特定の産業や市場における経済活動を分析します。

最近の研究では、企業の意思決定問題として、IT化が進むと企業の組織がどう変わるかをテーマにしました。経営学ともリンクした内容ですね。また、学生たちの関心が高いテーマに「フェアトレード」があります。フェアトレードの仕組みがあるとコーヒー豆の市場がどのように変化するかを理論的に考える研究をしています。 経済のしくみは企業活動と大いに関係しています。その相互作用で世の中全体がどう変化していくのかが私の関心事です。今は特に特化して研究しているテーマはないのですが、生活していると「あれっ」と思うことがいろいろあって、それを一つ一つ「応用ミクロ経済学」という視点で解明していきたいと思っています。

――ミクロ経済という言葉は聞いたことがありますが、「応用」は何を意味するのですか?

【先生】ミクロ経済学というのはある意味純粋な理論(一般化された原理)なのですが、その理論で全ての現実を説明することはできません。個別の財・サービスや市場にはそれぞれの条件があるからです。「応用」というのは、個別の事例に対して必要な条件を加え、その事例を説明する理論を構築するということです。実例的な事象を説明する理論を作るのに、現在ある理論を使うというところが「応用」になるわけです。

こうした専門分野の研究の一方で、学生が主体的に学ぶ授業作りにも関心を払っています。

私は、「誰とでも協働できる人材」や「新しい価値を産み出すことのできる人材」の育成を目指していて、そのために必要なのは、一般的に言われているコミュニケーション能力はもちろん、物事の本質を見抜く力、将来を見通す力、そして、まだ誰も見ていないビジョンを描く力が必要だと考えています。

こうした力が養えるような授業を経済学教育の中でできなものか、日々模索しているところです。

――伊藤さんはどういうお仕事をされていますか?

【卒業生】独立行政法人国際協力機構(JICA)の職員となり、最初の部署は「人間開発部」といいまして、保健や教育システムの整備を支援する部署で、「保健・医療支援」を担当していました。具体的な業務内容は、まず、保健や医療をどう整備するかに関するロードマップを、対象国の責任者と一緒に作成します。その後、そのプランの実現に必要な支援は何かを考え、実行していきます。最初の配属から間もなく、社会人2か月目にして、4か月程を東アフリカのタンザニアでOJT(オンザジョブトレーニング)として過ごしました。予てより、開発途上国と直接関わる仕事をしたかったのでまさに夢に見た職場です。このタンザニアでは、保健医療分野に大きな三つのプロジェクトがありました。

一つ目は「エイズの予防」。二つ目は「医師をはじめとする保健医療人材不足の解消」。人材育成のための学校の設置等を行いました。三つ目は都市部の「地方医療従事者たちの技能強化」でした。OJTからの帰国後は日本にベースを置きながら、2ヶ月のうち2週間ほどはタンザニアや関係国に出張しているという日々でした。

現在は福岡県にある九州国際センターで、開発途上国からの要望に沿い、日本の技術を活用して実施できる研修をプログラムし、実施進捗を管理する業務を担当しています。全体で120コースほどあるのですが、そのうちの30コース程の作成を担当しています。研修内容をリスト化したものを開発途上国に送り、要請の多いものを研修コースとして実施していきます。基本的にはJICAの事業は全て開発途上国からのニーズ、要請によって組まれますので、案件によって内容は異なります。例えば「エイズ予防」であれば、ウイルスなどに詳しい疫学の専門家による講義形式を検討しますし、また、日本のシステム、制度を知ってもらうために厚生労働省の担当者を招聘するようなこともありますね。

――髙梨さんは、どのような大学生活を送られていますか?

【大学生】国際経済学科3年です。今年からゼミが始まるのですが、専攻するテーマは「多国籍企業論」です。

1・2年の時には海外インターンシップを運営する国際的な学生団体であるNPO「アイセック」に参加していました。僕は日本人学生を海外インターンシップに派遣する部署にいました。二人ほどを送り出しましたが、相手の人生に関わることでもあるので、結構なプレッシャーがありました。

今年の夏にはインターンシップなど様々なことに挑戦しようと思っています。様々なチャレンジを通して自分自身のさらなる成長に繋げられたらと思います。

大学生活

――まず、青山学院大学の「国際政治経済学部」と「経済学部」はどう違うのでしょうか?

【先生】 「国際経済学」は、経済学の中の重要な学問分野の1つです。経済学部でももちろん学べますが、これを専門的に学ぶのが「国際経済学科」です。本学部には、国際政治・国際経済・国際コミュニケーションという3学科があり、これらの分野の学問を横断的に学び、「グローバルに活躍するための素地を得たい」という人に最適な学部だと言えます。

カリキュラムには英語の授業も多く、これも経済学部と大きく違う点です。

――「国際政治経済学部」を受験した理由は何ですか?

【大学生】 英語とビジネスの両分野に関心がありました。将来、グローバルな舞台で活躍したい、そのための勉強がしたいと考えていました。学部選びでは、「国際教養」と名の付いた学部との間で迷いましたが、将来のためにも国際経済だけはしっかり学びたいと考えるようになりました。オープンキャンパスで実際に大学生の方とお会いした感触もよかったですし、また調べる中で「青学・国際政経の教授陣はすばらしい」との情報も得ました(笑)。高2の時には既に志望校の一つになっていましたね。

【先生】 それは正しい選択です(笑)。たしかに近年、「国際教養」を学ぶ学部が増えています。しかし「何が学べるのか」「身につく専門性はあるのか」が不明確であると感じることも多いですね。その点、本学部は、国際政治・国際経済・国際コミュニケーションと「明確なテーマと専門」を設けることで、きちんと専門を身につけることも重視しています。

【卒業生】 私は日本人として海外で活躍する仕事がしたい、経済・政治のどちらも学びたい、という欲張りな思いからでした(笑)。また、入学案内には、卒業生からのメッセージがありますが、それを読んだときに、「自分もこんな活動がしたいな」というドンピシャな人が出ていた、というのもあります。

【先生】 実際問題として、高校生の段階で、政治・経済のどちらかを選ぶというのはじつは難しいことでもあります。具体的に勉強してみないと、自分が本当に学びたいことがどちらの学問分野なのかはわからないんですね。

そこで、本学部では、入試の際に学科は選ばないといけませんが、入学後に修正できるようにしてあります。学生の傾向としては、国際政治学科から経済学のコースに転向する、という学生の方が若干多いようですね。

僕自身は、高校の時「世界を良くしよう」と思っていたので(笑)、どちらかと言えば政治に興味がありました。でも、政治が分かるためには経済が分からなければダメだなと勝手に悟り、国際経済学科を選びました。僕はこの学部の一期生なんです。

――国際政治経済学部に集まる学生さんはやはり英語に自信のある方ばかりですか?

【大学生】 帰国子女や短期の海外体験のある学生が多いですね。

【卒業生】 私も帰国子女の友人、意識の高いクラスメイトとの交流から、価値観の面でも多くの刺激を受けました。入試制度の影響もあるのかと思います。

【先生】 たしかに海外就学経験者の入学枠もありますが、一般入試からも「小さい頃に海外にいた」といった経験のある学生が数多く入学してきますね。

ちなみに今の私のゼミ生に、ハーフが二人いまして、タイと日本、台湾と日本、なんですね。やはり一般入試で入学していますね。このような、ダイバーシティ(多様性)は本学部のメリットの一つです。

――では、英語をこれから学びたい、という学生さんはいませんか?

【大学生】 います。高校時代は英語が苦手だったけど、社会人になる前に英語の能力を伸ばしたくていま一生懸命努力しているという友人もいますよ。

【卒業生】 この学部に入ると、1年の時の必修で英語の授業があります。その授業は週に6コマ授業があるのですがもらえる単位は「1単位(通常の2分の1)」なんです。でも必修ですから全員取らなくてはいけない。鍛えられますよね(苦笑)。

【大学生】 その6コマのうち4コマはレベル別なので、入学後にまず英語の筆記試験があります。その試験でたまたまいいスコアを取り、上のクラスに入ってしまうと、授業についていくのが大変な学生もいるんです(苦笑)。

【先生】 ということは、君は一番上のクラスだったんだね(笑)。

――英語重視は、学生だけでなく、先生にとっても課題ですよね?

【先生】 そうですね。本学部では、英語での講義を増やす一方で、「学びの質を落としてはいけない」ということを意識しています。英語で講義をやるだけなら簡単ですが、言語は単なる伝達の道具ではなく、人の思考に関わりますからね。未熟な言語を使うと思考が浅くなりがちです。

その点は配慮が必要です。本学は全国的にも「国際」と名のつく学部の先駆け的存在ですが、講義の中でどう英語を使うか、試行錯誤を20数年間繰り返していますよ。

【卒業生】 授業の中には、ほとんどの履習者が留学生というものもあります。この授業は完全に英語で、討論も英語です。ですからこうした授業に参加してみて、自分の実力を把握するということもできますよね。

青学は留学生の受け入れ体制が整っています。例えば留学生に快適に生活してもらうために、学生がボランティアで手伝いをします。私もこの活動を続けていましたが、このうちの多くがうちの学部生でしたね。

――特徴的なカリキュラムについて教えてください。

【先生】 参加型の授業を多く開設しているのが第一の特徴です。これは、学生が積極的に発言し、プレゼンテーションを行う機会を増やすことを意識してのことです。また、学科の枠を超えて、自由に科目やコース、ゼミを選択できるのも特徴です。

【卒業生】 私は、国際経済学科で入学しましたが、3年次からの専門では国際政治学系のゼミを選択しました。国際経済・政治を共に学ぶことで、自分が何に興味があるのかを慎重に考えることができました。私の場合は、3年次に現学部長である押村先生の「政治学概論」を履修したことで関心が経済から政治にシフトしました。とても楽しい、また目からうろこの授業でした。ゼミも押村先生のゼミに入り、専攻コースもグローバル・ガバナンスコースを選択し、今の仕事にも役立てることができています。

【大学生】 1年次の「入門セミナー」、2年次で「プリゼミ」と、少人数で専攻への理解を深めま す。担当の先生と親しくなれるのもうれしいですね。

【卒業生】 私の入門セミナーの担当は内田先生でした。前期の講座では、国際経済学の基礎を学びます。最後に先生と学生代表3名によるディベートをやるのですが、そこでトラウマになるくらい見事に論破されるんです(笑)。ああ私、勉強頑張らないと、って思いました。

【先生】 まぁ、当然の結果ですよね。本気でやりますから(笑)。伊藤さんの反応は、私の狙い通りです(笑)。

【卒業生】 私は高校時代、あまり自分の意見を主張するという機会が無かったので、理路整然と話すことを学ぶ意味でとてもいい経験になりましたね。負けて悔しかったですけど楽しかったので、その後ディスカッション形式の授業をなるべく履修するようにしました。

【先生】 本学部はディスカッションやプレゼンテーションなど、人前で発表をする機会の多い学部です。どんな職種でも求められる「コミュニケーション能力」を養うのには最適だと思いますね。

【大学生】 「プリゼミ」はゼミ内容も疑似体験できるような内容です。私の場合は、英語の論文を読むように渡されて、自分なりに要旨をまとめたものをプレゼンして、さらにそこからディスカッション用のトピックを選ぶものでしたが、これらはすべて英語で行われました。

【先生】 このプリゼミには、彼が履修したように、すべて英語というものがあったり、半分英語、板書は英語、基本は日本語、など、いろいろなバリエーションがあります。もちろん学部としては、「極力英語に慣れ親しむ」というポリシーでプリゼミのカリキュラム構築を行っています。

就職活動・仕事

――JICAに就職された理由は何かありますか?

【卒業生】 みんなが就職活動をする大学3年の頃、大学院へ行って「開発経済」をもっと学ぼうかと迷っていました。ですからあまり活発に就活はしていませんでした。ただ、就職の方向性としては、「開発途上国と自分の生活を切り離したくない」という思いがありました。

私はタイのチェンマイ大学に、開発経済を学びに、1ヶ月くらいですが留学しました。タイの農村経済を見たり、インドへ行ったりしてきました。

そうした中で、やはり自分の価値観が変わり、支援を必要としている国との橋渡しに貢献したい、という思いが強まったんです。そこで選択肢としては、JICAか大学院か、に絞られました。

なぜJICAかというと、やはり海外の人とフェイス・トゥ・フェイスで仕事がしたかったからですね。そして向き合いながら必要なプログラムを計画できるので、まずは、これがやりがいでしょうか。

JICAは、上下関係においても、社内の風通しがいいので、上層部の方とも直接の意見交換ができたりします。その際にアイデアがあれば積極的に採用してもらえることもありますから、やりがいも大きくなりますね。

――同期の職員の方々はどんなバックグラウンドをお持ちなのですか?

【卒業生】 私の時の同期は30名ほどでしたが、半数以上が大学院卒で、土木建築、農業関係の専門性に長けた人が多いです。

一方で、5,6名は国際関係学部系の人、残りは経済や法律系学部、あと、環境系の資格を既に取得しているというような研究系の人もいます。

JICA職員というのは、映画製作に例えると最前線に立つ役者、いわゆるプレーヤーではなく、プロデューサーです。資金を集め、シナリオを描いて、役者と契約をし、監督を行うのです。

私自身は、国際政治経済という非常に広い学問を学んでいたので、即戦力となれる専門性は採用時点ではなかったのですが、日本の技術者と支援国をつなぐ橋渡し役でもあるので、技術に関して最低限のことは知らなければと、入社後はワクチンの名前や医療機材の名前、疾病の症状や国際医療援助の動向など勉強の日々が続きました。

――卒業生はどのような分野・業界の就職先へ進みますか?

【先生】 卒業生が就職する業界は金融、商社、メーカー、物流、IT関係など様々です。ただ、国際政治経済学部には、伊藤さんのように海外に目を向けている人が多いですから、就職した企業でも、語学力と経済・政治の知識が活かせる部署に配属される例が多いです。一見海外とは関係のなさそうな企業や業界でも、海外との関わりはどんどん強まっていますからね。

【卒業生】 同期では女子でも金融、製造メーカー系が多いですかね。やはり国際関係のセクションですね。私のゼミの先輩でも商社で頻繁に海外出張しています。国際政治では報道関係者も多いですね。

【先生】 国際的な仕事というと商社、みたいなイメージがありますが、海運や倉庫業なども非常に国際性の強い職種で、そういうところで活躍している卒業生も大勢います。また小売業でも海外に品物を買付けに行ったりする仕事をしている人もいますし、有名な外資系企業に就職する人もいます。

5年後のプラン

――皆さんの将来の夢・目標は何ですか?

【卒業生】 夢というか目標ですが、JICAの中で仕事のローテーションって、結構決まっているんですね。若手のうちはいろんな部署を見ます。その理由は、海外赴任の場合、時には所長と自分しかいないような小さな事務所に行くこともあり、プログラム作成から総務経理といった事務仕事まで、なんでもこなせるオールラウンダーが必要だからです。

私の場合、おそらく来年くらいに海外事務所に赴任となって、その場所に3年くらい勤務することになると思います。

そこで、その海外赴任経験を活かして、仕事をしながら大学院へ行きたいな、というのが目標というか野心ですね。その際には公衆衛生関係や保健医療をもっと学びたいなと思っています。

【先生】 すごい具体的なプランだね。でも、5年後くらいというと女性にとっては(プライベート面で)一番難しい年齢でしょ?

【卒業生】 はい、確かに(笑)。それを言おうか考えていましたけど(笑)。

【先生】 いや、僕は(仕事と結婚など)そのあたりのことを悩む年代の女性はすごい素敵だなと思うんだけど……。

【先生】【大学生】【卒業生】 笑。

【先生】 いや本当に、僕は女性がもっと社会で活躍してもらいたいと思っているけど、女性に限らず仕事以外にも大切なことはあるから、特に海外赴任をするような仕事だと、難しいこともあるでしょ。

【卒業生】 そうなんです!
JICAへの就職希望は、女性が多いらしいです。ただ、女性を多く採用してしまうと、やはり結婚や産休などがあるので、男女の雇用バランスを調整するのが大変なようですね。

でもJICAでは、就職した女性の離職率は低く、辞めずに仕事も続ける人が多いようです。女性の先輩社員の方々が意見を述べ、人事や労働組合などが、労働環境を整備してくれているからでしょう。産休も取りやすい職場ですし、男性の育休もあるので、自分の人生設計もしやすい職場ではないかなと思っています。

【大学生】 僕は性格が欲張りなので、民間企業に勤務した後に、国際公務員になりたいと思っているんです。目標は世界銀行です。

ただ、国連関係の機関なので、就職には最低でもマスター(修士課程)の学位が必要になるんです。そこで大学に出てまず民間企業で勤めて、実務経験を積むと同時に貯金をして、大学院を目指す、というのが今持っているプランです。民間企業、国際公務員のどちらも経験したいという欲張りなプランです(笑)。

世界銀行を目指すのは、あるアジアの先進国で物乞い事情に触れたのがきっかけです。それは自らで自分の体を傷つけて、障害を背負うことで物乞いになる人がいる、というものでした。ショックでしたね。

私はビジネスに興味があると言いましたが、ビジネスにおける利潤追求が行き過ぎたら、格差が生まれ、その結果、自ら障害者になるなんていう選択につながるかもしれないという現実に直面したわけです。であれば、利潤追求をしなければいけない民間企業の実態も知り、先進国の復興や開発途上国の発展を目的とする世界銀行のような機関で働きたいと思うようになりました。世銀には「政府を相手にする仕事」がありますから責任も重大ですが、やりがいも大きいだろうと思っています。

【先生】 高梨君の思いもわかります。でも一方で、民間企業が自由にビジネスを展開させることでそうした問題を解決していく、という道もあると思うのです。そのためにはどういうビジネス展開やシステムづくりが必要なのかを考えること、これもぜひ、高梨君の中にテーマとして加えて欲しいなと思いますね。

【卒業生】 JICAも、日本自体が東北の復興資金が必要になりましたし、予算は縮小されています。そこで民間企業との連携した施策が進められているんですね。例えば水環境のビジネスですとか、ゴミ収集のシステムですとか、そういうのはやはり国だけの支援では継続できず、日本で実際にビジネスとして事業を展開している民間企業のノウハウが必要です。ビジネスとして、その地域が認められマーケットとして認められれば、自然と定着していくものですから。今の先生の発言は、こうしたことを指摘されているのかなと、すごく胸に響いています(笑)。

アドバイス

――もし高校生に戻れるとしたら、何をしたいですか?

【大学生】 僕は高校2年の時に留学をして、世界観が変わりました。視野が広がりますし、機会があればぜひおすすめしたいですね。また行くと思います。その代償が数学なんですけどね(苦笑)。なので、私の答えは「数学をやっておけば良かった」ですかね(苦笑)。

【先生】 今からでも遅くないよ(笑)。

【卒業生】 高校の時にチャンスがあったんですけど、周囲の反対もあり、やめたんですね。あの時留学していたら、と思うことはありますね。

あと、違う年代の人と出会うようなことをすると、いいと思いますね。
南三陸のボランティアに参加した時に、高校生が参加していました。それだけでもいい体験だったと思いますが、50代後半くらいのボランティアの人に色々と教えてもらっていました。ボランティアだけでなく、機会は色々あると思いますよ。

【先生】 僕は高校入り直したいな(笑)。
男子校だったんで、男ばっかりではない高校時代に……。

――進路選択に関して何かアドバイスをいただけますか?

【先生】 これは大学側にも責任がありますが、今の受験勉強が役に立たないというのもある意味ではその通りです。でも、役立つ部分ももちろんたくさんあります。 それはきっと、どういう風に学ぶかという、学び方によるのでしょう。例えば、単に試験をクリアするための勉強であれば、それは大学では役に立たない。でも、その科目の本質的な部分を学んでいけば、それはテストではいい成績にならないかもしれないけど、大学や将来では役立つでしょう。私自身は、受験勉強が好きではなく、いい思い出はないんですけど、そこでの勉強が無意味だったとは思っていません。そこで学ぶべきものもあると思います。

【卒業生】 そうですね。私も受験時に苦手ながらも勉強した生物や地理などの科目は、社会人になった今、期せずして役立つことがあります。たとえば環境問題を考えたり、保健関係の仕事をするときだったり。苦手だった科目が、社会人の今になってすごく役立つ科目になるなんて思いもしませんでした。すべての科目がいつか、何かの役に立つ可能性を秘めているんだなと今は思うので、苦手分野にも手を抜かずに取り組んでほしいですね。

――英語を克服するアドバイスは何かありますか?

【大学生】 僕は中学2年生までは英語は苦手科目で出来もあまり良くなかったんです(苦笑)。 そこでまず基礎を固めようと英語の文型構造等から学び直しました。結果、高校で1年 間の留学ができるレベルにまでなりました。基本をしっかりやることで、英語力はどんどん伸びます。 構造を学ぶには、自分で英作文をしてみて覚えるというのが効果的です。普段の勉強の中で、ある文章に出会ったら、「これは今後、こういうケースで使える構文だな」と、実用的に使うつもりで覚えるといいかなと思います。

【先生】 そうですね。文理のどちらかに偏らず、体育や芸術も含め、あらゆる科目の勉強をしっかりしておくのは大切です。私は高校でこそリベラルアーツを学んで欲しいと思っているんです。それは単にたくさんの科目を勉強するということではなく、議論の仕方や共同作業の仕方などを含んだ、知を産み出すための素地を身につけるということなんです。高校の1年の時に方向性が定まらないのは当たり前。ですから将来の選択肢を狭めないためにも、とにかく貪欲に学んでください。

大学構内のお気に入りスポット

【先生】 15号館3階のラウンジですね。東郷青児の大きな絵画が飾ってあって、それがいいいんです。(※青山学院の卒業生。雅号の「青児」は「青山の児」の意。15号館3階に掲げられている『天使の休日』は、東郷青児画伯が青山学院のために制作した。)

【卒業生】 正門から入って正面に銀杏並木がありますが、その脇にベンチが並んでいます。秋口はそこに座って並木を眺めるのが好きでした。

【大学生】 新しくできた17号館のラウンジです。プレゼンの準備等、ちょっとした作業をするのにもちょうどいいです。

青山学院大学 国際政治経済学部

20余年の歴史を持つ「国際系学部」の先駆け的存在です。同大学には別に経済学部がありますが、この学部では、政治・経済・コミュニケーションの3学科が融合した国際経済を専門的に学べます。帰国子女が多く在籍することでも知られています。