公開日 2017.5.23

中学時代の学習法を語ってくれた東大生パネリスト

中学校での成績を左右する定期テスト。先輩たちはどのように乗り切っていたのでしょうか? 東大生に定期テストの勉強法などを聞いたZ会の通信教育・教室合同講演会(2017年5月実施)の様子をご紹介します。

◆話を聞いた東大生たち

今回の講演会では、東大生4人にパネルディスカッション形式で定期テスト対策について話してもらいました。登壇してくれたのは、中高一貫校に通っていた以下の4人です。

木寺優太さん:東京大学理科二類。中1からZ会の通信教育で英語、数学、国語を学習。高1からはZ会の教室で国語の映像授業、高2からは数学と英語の集団授業も受講した。

石崎亮介さん:東京大学理科二類。中1からZ会の教室で英語の集団授業を受講。途中、高1で一度受講をやめ(その間はZ会の通信教育で英語、数学、国語を受講)、高2で教室受講を再開した。

吉田史彦さん:東京大学理科一類。高2からZ会の教室で英語と数学の集団授業を受講。

大坪翔太郎さん:東京大学理科一類。中3からZ会の通信教育で数学を学び、高2からはZ会の教室で数学と物理の集団授業も受講。

◆定期テストに向けて、いつから、どんな勉強をしていた?

●木寺さん
定期テスト2週間前から対策を始めていました。部活が休みになる1週間前から始めるのでは間に合わなかったので。2週間前から全教科の試験範囲にざっと目を通して内容を思い出して、1週間前から数学は試験範囲の問題を解き、暗記科目は科目ごとに1〜2時間集中して試験範囲を暗記していました。

●石崎さん
1週間前からテスト勉強としてやるべきことの検討を始めて、実際に勉強を始めるのは、その科目のテストがある2日前くらいからでした。

●吉田さん
2週間くらい前から科目ごとにテストに出そうな箇所や力を入れて勉強しておいたほうがよさそうなところに目星をつけておいて、1週間前から本腰を入れて勉強を始めました。英単語などまとめて暗記しておかないといけないものは前日に詰め込む感じです。ただ、数学や英文法は、テスト前だけでなく普段から勉強していました。

●大坪さん
数学と英語以外は、基本は前日からで、試験範囲の知識を暗記していました。

一方、数学は、普段の授業をしっかり受けて、テスト前日に、習ったことが身についているかを確認する目的で、学校で課されている問題集の試験範囲を解き直していました。

また、英語については、定期テスト対策という概念を持っていなくて。英語は暗記科目ではなく語学なので、毎週日曜日に英語の塾に通うなどして普段から勉強していたんです。その成果が試されるのが定期テストや大学入試だと考えていたので、とくに対策はしませんでした。

◆定期テストに向けた勉強を進める上で大事にしていたことは?

次のテーマは、定期テスト対策をするうえで重視したこと。計画の立て方や知識の定着のさせ方、塾との両立法などが話題にのぼりました。

●大坪さん
普段から、その日あるいはその週中にやるべきことをまず紙に書き出して、それをこなすというふうにしていました。「教科書のページをここまで読む」とか。僕は、1日または1週間単位で細かい計画を立ててもその通りには進められないタイプだったので、やるべきことを洗い出して、やると決めたら睡眠時間を多少削ってでもこなすほうが、効率がよかったんです。早く終われば、余った時間でテレビを見たり趣味に没頭したりしていました。

●吉田さん
こだわっていたことは3つありました。

(1)ノートを作り直すことで知識を定着させる
授業で習った知識を整理するために、教科書と授業中にとったノートをもとに、もう一度自分で新しいノートを作っていました。ノートを作り直すことで、自分が何をわかっていないかを把握できるし、習った知識が本当に身につきます。

(2)数学の計算問題は必ず解き直す
解答や解説を読むだけでわかった気になるんじゃなくて、実際に自分で解くようにしていました。自分で問題を解くからこそ身につくと思います。

(3)定期テスト3日前からは、睡眠時間を9時間以上確保する
自分の場合、9時間以上寝たときが一番すっきりした頭で数学の問題を解けるので、睡眠時間を確保してコンディションを整えていました。

●石崎さん
定期テスト前だろうとテスト中だろうと、絶対に塾は休みませんでした。目の前の定期テストへの効果は小さいかもしれませんが、その先の大学入試につながってくるものだし、自分で頑張ってやる気を出さなくても勝手に勉強のスイッチを入れてくれて、集中して勉強できる環境があるのに、それをわざわざ捨てるのはもったないと思っていました。だから、テスト勉強の計画は塾の予定を考慮して立てて、塾に行く日は塾で習うことを完璧にして帰ろうと決めて勉強していました。

●木寺さん
2つ、意識していたことがあります。

(1)学習の習慣をつける
定期テスト前にいきなり勉強量を増やしても、それを継続してこなすのは大変です。僕の場合、テスト前以外の時期はZ会の通信教育を軸にして毎日の学習の計画を立て、コツコツ勉強を進めていました。3〜4年後に大学受験に向けて本格的に勉強していくとなると、毎日コツコツ勉強できるかどうかがポイントの一つになってくるので、今から毎日勉強する習慣をつけておくといいと思います。

(2)勉強のモチベーションになることを見つける
僕の場合、Z会の通信教育で100点をとることと、定期テストや模試で学年で20番以内になることを目標にしていました。これらを達成することで勉強へのモチベーションが維持されていたんです。

◆定期テストと大学入試の共通点と相違点、そして、学習計画を立てるコツとは?

このほか、定期テストに向けた勉強と大学受験に向けた勉強の共通点として、「自分の弱点を把握して、そこを重点的に対策することを重視した計画を立てると効果的」(石崎さん)、「苦手科目を克服すれば総得点が伸びやすい。80点を90点にするよりも40点を60点にする方が簡単なので、総得点を上げたいなら、苦手科目を意識して勉強するといいと思う」(吉田さん)などの意見が挙がりました。

また、相違点としては、「定期テスト対策は学習範囲が明確でやるべきことを見極めやすいけれど、大学受験対策はやるべきことを自分で考えないといけない点」(木寺さん)、「中学の定期テストでは知識が身についているかどうかが問われるけれど、大学受験では身につけた知識を応用することが求められるので、暗記するだけでは太刀打ちできない点」(大坪さん)などの意見が挙がりました。

これらの話をふまえて、最後に、Z会の教室スタッフから、「学習計画の立て方」などについて、以下のアドバイスがされました。

●定期テストに向けては、やるべきことを把握した上で優先順位をつけて取り組むことが大切。これは、大学受験に向けた勉強を進めるときも同じ。優先順位づけが苦手な人は、学習計画を立ててみましょう。テストまでにやるべきこととやらないでいいことを見極める訓練になります。

●学習計画を立てるときのポイントは、余裕をもたせたスケジュールを組むこと。完璧な計画を立てて、きっちりやろうとしすぎると必ず計画倒れになります。例えば、以下のような工夫をするとよいでしょう。
  • 週単位で計画を立て、進み具合に応じて1日ごとにやることを調整する
  • 土日のどちらかは勉強の予定を入れないでおいて、1週間の予定を無事にこなせたなら予定通り勉強は休み、こなせなかったことがあればそれをやる時間にあてる

●定期テストに向けた勉強とほかの予定を調整しながら勉強を進めることを、早い段階から身につけましょう。というのは、高校に進学すると、予備校主催の模試など、学外の模試を受けるようになります。模試も、大学入試も、その日程を動かすことはできません。期限までに勉強すべきことを見極め、こなしていくことを自力でできるようになりましょう。

◆日々の勉強を大学受験対策につなげるには

金谷室長は、東大や医学部の入試情報に精通している

定期テストで確実に得点しつつ、大学入試にも備えるには、日々、何を意識して勉強すればよいのでしょうか? 東大生4人のパネルディスカッションと合わせて行われたZ会東大進学教室メテウス進路指導室長・金谷博臣の講演内容の一部を、大学入試改革の動向もふまえつつ紹介します。

◆大学入試改革が進んでも、難関国公立大における「個別試験重視」の傾向は変わらない

現行の大学入試センター試験は、2021年度から「大学入学共通テスト(仮称)」に変わることが決まっており、現在、記述問題の導入などが議論されています。ただ、制度が変わっても変わらないものが大きく2つあります。

1つは、国公立大学入試における「一次試験(=大学入学共通テスト)と個別試験の得点で合否を決める」という仕組み。これ自体は、センター試験が大学入学共通テストに変わっても変わりません。

もう1つは、東大・京大をはじめとする難関国公立大および医学部における一次試験と個別試験の配点比率です。例えば、現在の東大入試は、センター試験110点(英語リスニング50点を除いた900点満点を110点満点に換算)、個別試験440点、計550点満点で合否を判定します。センター試験の配点比率は約2割で、その他難関国公立大においても、2割〜2割5分ですが、この比率は、大学入学共通テストが導入されても変わりません。

したがって、東大を目指すなら、これまで同様に個別試験で得点できる力を伸ばしていくことが求められます。

◆中学で学ぶ知識を確実に身につけた上で、知識を活用する機会をつくろう

では、東大を目指す人には具体的にどのような力が求められるかというと、東大のアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)を要約すると、以下の3点になります。

  • 試験には、教科書の範囲の内容しか出題しない
  • 「世界的視野を持った市民的エリート」を育成するため、文科各類の受験者であっても理系の、理科各類の受験者であっても文系の基礎知識や能力を求める
  • 知識を詰め込もむことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視する

つまり、教科書の範囲の知識を身につけていることは大前提で、その知識を関連づけて活用することが求められるということです。

したがって、まずは中学で学ぶ知識を確実に身につけることを意識して日々の勉強を進めましょう。その上で、知識を活用する力を磨いていくこと。そのために、定期テストの記述問題はもちろん、世の中の出来事や科学的事象などさまざまなテーマについて深く考え、それを文字に記述したり、言葉にして人に説明したりする機会を積極的に持つことをおすすめします。

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