公開日 2016.12.14

一般的には高1の秋に文理選択を迫られますが、一貫生の場合は高校へあがる前に授業選択をする関係で、中学生のうちから文理選択を決めておかなくてはならないケースが多くあります。この冬休みに進路について考える際のポイントを3つ、Z会の学習支援担当者よりアドバイスします。

◆“他人事”の進路

◎他人事を考える◎
自分の進路を考えるとなるとどうしても難しく構えがちです。そこで、視点を変えて他人事を考えてみましょう。

あなたは、お正月の親戚の集まりで高2生の方から突然次のように言われました。
「文系だが、実は医学部の夢を諦められない。これからどうすればいいだろう」
あなたはアドバイスするために、どういう風に考えますか?

設定や状況に無理があるかもしれませんが、どうしましょうか。他人事だからこそ、客観的に考えることができるはずです。

◎問題点◎
この場合、そもそも何が問題点となるでしょうか。
ここでは、学校によって異なることも多いので、一般論でお話しします。多くの学校では、高1生の秋に文理選択を行い、その選択した内容によって高2生で習うカリキュラムが異なります。数学では難易度と進度とが異なります。通常、文系ではセンター試験レベル、理系では個別学力試験レベルまでを扱います。また、一貫校の理系では高2生のうちに数IIIの学習に入ります。理科では、文系は「理科基礎」しか扱いません。
ただでさえ最難関といわれる医学部入試で、この差を埋めることは非常に困難です。

◎考え方◎
そもそもなぜ文系を選択したのか、そしてなぜこのタイミングで医学部を志望したのか理由が気になりませんか?
その理由を聞いて、もしも「いやなんとなく医学部ならモテるって聞いたから」と言われたらどうでしましょう?他の親戚との話に花を咲かせた方が有意義かもしれません。
ですが、その理由が心を打つものだったらどうでしょうか。それならば、先ほど問題点にあるように現状は不利だということを隠さずに伝えるべきです。さらに、本人の学力は理系で医学部志望の層と比べてどうか、その差を埋めることができるか、埋めるにはいつまでに何をすればよいか、と考えていくことは必要だと思います。

◎他人事から学ぶ自分事◎
この“他人事”から学ぶべきことはなんでしょうか。
アドバイスのポイントの一つは、「今までの不利を覆せるか」でした。この「不利」は、そもそも文理選択の際に、今と同じ志望になっていれば発生しなかったものです。進路を考える上で、文理選択は大きな分岐点となり得る、それがこの他人事から学ぶべきことの一つでしょう。

◆“自分事”の進路

◎後悔する文理選択◎
文理選択で後悔するのはどんなときでしょうか。
たとえば、「就職に有利と聞いて理系にしたけど、最近授業についていけていない。テストが来週なんだけどどうしよう」
こんなときは、理系に進んだことを後悔すると思います。前半の「○○で理系or文系にしたけど」に入る言葉を探してみましょう。
それがあなたにとっての後悔する選択理由です。

◎後悔しない文理選択◎
さて、後悔しない文理選択の方法は、先の「後悔する文理選択」の逆です。それを自分で考えてもらった上で、後悔しない選択のポイントを3点紹介します。

1)将来の夢や就きたい職業は何か
2)興味・関心のあることは何か
3)得意なこと・好きな科目は何か

 

1)将来の夢や就きたい職業は何か
文理選択によって、夢だった職業に就けなくなることは絶対に避けるべきです。たとえば、3年後、5年後、10年後に、理想のあなたはどんな場所で、どんなことをしていますか?
もしも、これが医師などの特定の資格が必要で、かつその資格取得には特定の進路に進むことが適しているなら選択は簡単です。ただし、その夢や職業は、本当にあなたのイメージ通りでしょうか。「やっぱり違う!」とならないように、これを機にもう一度調べてみるといいと思います。

2)興味・関心のあることは何か
選択によって、それにより多くの時間を割くことになります。そんな中、自分の興味・関心のないことをひたすら学ぶことは後悔につながります。今は何に興味・関心がありますか?テレビや携帯ニュースを見ていて、どんなことに目が留まりますか?
たとえば「環境問題に興味がある」とします。環境問題を改善したいとした場合、制度や政策面からアプローチするのか、それとも排ガスをより効率的に綺麗にするフィルタをつくるなどの技術面からアプローチするのかでも、文理は変わっていきます。まずは興味・関心のあることを書き出してみて、どんな携わり方があるのか調べてみるといいと思います。

3)得意なこと・好きな科目は何か
1)2)が思い浮かばない場合は、自分の得意なことや好きな科目を考えましょう。ただし、「数学が好きだから理系!」などと早計な判断は危険です。文系でも数学は学びますが、それではダメなのでしょうか。どうして好きなのか、ということまで落とし込んでみましょう。得意なことや好きな科目で選ぶことは、最終手段だと思っておくとよいと思います。

◆今できること

進路選択はいつから考えても早すぎるということはありません。もちろん、これから色々なことを調べたり、新たな価値観に触れていく中で、自分の志望が変わっていくことは当然のことだと言えます。だからといってなんとなく選択するのではなく、その時々に真剣に選択をしていくことが大切です。

とはいえ、どうしても答えの出せないときもあると思います。そんなときはまずはできることに集中しましょう。たとえば、文系でも理系でも必要な主要3科目(英数国)は最優先で取り組むべきです。また、選択に際して、文系科目or理系科目とはどういうものかと知るために、できるだけ早いうちから理科・社会にも取り組めるとよいでしょう。

◆最後に

「“他人事”の進路」の例は、親戚の集まりなどの状況設定は架空ですが、医学部に合格したある実在の生徒のことでした。
その生徒は、イメージだけで医学部は無理だと結論付けてしまい、文理選択直後から激しい後悔をしていましたが、医学部合格のためには何が必要かを考え、学校の数学はセンター試験対策として、Z会の数学は個別試験対策として、コツコツと勉強しました。それを知っているから、保護者の方も学校の先生も、もちろん我々Z会もできる限りの応援をしました。後悔を糧にできた例と言えます。

この冬、他人事と自分事の進路について考えてみるとともに、将来に向けてZ会で学習を始めてみませんか。
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