東大の入試目標点の設定について

 

皆さんにはまず、「入試本番のセンター試験・個別試験目標点」を設定していただきます。そして、その入試目標点から逆算して、受験勉強のマイルストーン(節目)となる「各模試での目標点」を設定していきます。各段階での目標点を明確に設定しておくことで、模試を受験した際の課題発見がより具体的・現実的なものとなり、効果的に学習を進めることができますZ会からのアドバイスも、この流れを前提に行いますので、必ず設定しましょう。

 

皆さんは東大入試の科目・配点・試験時間についてきちんと把握していますか?

→まだという方は、この機会に確実に押さえておきましょう。

東大は、毎年、大学から、合格者の最高点、平均点、最低点が公表されています。また、個人の得点情報も開示可能ということで、Z会でも毎年多くのOBOGから得点情報をご提供いただいています。加えて模試も充実しているため、入試戦略が立てやすい大学といえます。

 

東大は試験科目が多い大学ですので、全科目で高得点を取れるという方は毎年数人しかいません。合格者の大半は、得意科目である程度の得点を稼ぎ、苦手科目を必要最低限の得点で逃げるという戦略で合格を勝ち取っています。

このことを念頭に置きながら、各試験での目標点を立てるコツを見ていきましょう。

 

□センター試験の目標点

東大入試において、センター試験は、定員調整(第一段階選抜)と、最終的な合否判定(110/550点)の2箇所に関わってきます。第一段階選抜を突破するだけなら80%程度の得点でも十分ですが、最終的な合否結果にも関わってくるという点は押さえておきましょう。確かに、センター試験:個別試験の割合は1:4ですので、センター試験の占める割合はかなり低いのですが「110点分の試験が個別試験の1カ月前にある」と考えると、ここである程度アドバンテージを稼いでいた方が気持ち的には楽になります。

さらに、解いたことがある方はもうご存知とは思いますが、センター試験は試験内容や時間配分等により、意外と曲者です(対策をしていないと、全然得点できない! という科目も少なからずあります)。なお、センター試験で得点が取れない科目は、個別試験でも得点が取れないことが多いです。今後の中で、個別試験対策をまず優先して考える必要はありますが、センター試験についても、目標点設定から考えて行きましょう。

 

▼目標合計得点の決め方

東大は第一段階選抜合格者の平均点を公表していますが、ここ数年でみると、大抵85〜90%の間に収まっています。また、Z会OBOGの東大合格者の得点状況をみると、平均はほぼ90%前後になっています。よって、学部に関わらずセンター試験全体で90%(810点)以上を目標としましょう。90%以上得点しておくと、東大の後期試験にも出願できますし、センター利用入試で早大など滑り止めを押さえることもできますので、入試戦略上も楽になります。

 

 

▼各科目の目標点の決め方

センター試験全体で90%以上を目標とした上で、各科目の特徴、あなたの状況(模試の結果、同日試験の結果、得意不得意など)、を参考に、それぞれ目標点を設定しましょう。

 

英語(筆記)…90〜95%

高得点で安定させたい科目その@です。トータルで90%を目指すなら、英語(筆記)では、最低でも90%(できれば95%)を超える設定で考えましょう。

英語(リスニング)…90〜95%

東大前期では使わないので手を抜きがちですが、東大後期やセンター利用入試では普通に使いますので注意しましょう。最低でも90%(できれば95%)を超える設定で考えましょう。

数学TA/UB…理系:90〜100%、文系:80%以上

時間配分が厳しい科目その@です。数学がかなり得意で、計算処理が早い方なら、最初からそれなりの高得点を取れるかもしれませんが、大抵の方は時間配分で苦戦するはずです。問題に慣れてくると得点が上がってきますので、現時点で得点できなくても、夏休みぐらいから計画的に問題に取り組んでいくとよいでしょう。理系の方は90%〜満点、文系の方は悪くとも80%以上を目標点として設定しましょう

国語…最低でも80%を死守。

時間配分が厳しい試験そのAです。成績上位者でも安定して高得点が取れない科目です。よほど得意な方(全国でもトップクラスの力があると認識している方)ならば、90%の目標点でもかまいませんが、「最低でも80%を下回らない」ということを目標におきましょう。なお、理系の方で、英・数・理で確実に満点を取れるなら、70〜75%の目標点でも大丈夫なケースもあります。

文系地歴/理系理科…90〜95%

東大志望者なら、高得点で安定させたい科目そのAです。ここで得点できていないということは、個別試験対策も万全ではないということになりますので、最低でも90%(できれば95%)を超える設定で考えましょう。

理系地歴公民…80〜90%

選択科目の(その年の試験の)難易度に左右される部分はありますが、基本は80〜90%の設定が無難でしょう。

文系理科基礎…80〜90%

理系の地歴公民同様に80〜90%を目指しましょう。

 

各科目で設定した点数を合算して、自分の想定している目標点を超えている場合は、そのままで確定。目標点を下回っている場合は、もう一度各科目の目標点を見直しましょう。

 

◆◇ センター目標点設定 まとめ ◇◆

@ センター試験をあなどらない。

A 個別試験へのアドバンテージを得るために、総計90%以上を目指す。

 

□個別試験の目標点について

学類によって、年によって合格者平均点、最低点は動きますが、概ねこのぐらいの得点を目指すべき、という点数を以下に挙げます。

まず第一志望の学部の目標点を確認し、さらに各科目の得点の特性を掴みます。その上で、あなたの状況(模試の点数、同日試験の結果、得意不得意など)を踏まえ、それぞれの科目の目標点を出しましょう。

それぞれの科目で設定した点数を合算して、自分の想定している目標点を超えている場合は、そのままで確定。目標点を下回っている場合は、もう一度各科目の目標点を見直しましょう。

 

▼学部別 目標合計得点の決め方

年により20〜30点変動することもありますが、概ね以下の得点を目指しましょう。

*「目標点」ですので、少し高めの得点設定となっています。

 

文科T類…280(/440)点以上

センター試験の平均点が例年並みと見込んだ場合、このぐらいの得点を目標に設定しておきましょう。

文科U類…270(/440)点以上

文科V類よりも低い年もありますが、基本は文T>文U>文Vの順に落ち着くことが多いです。

文科V類…260(/440)点以上

文科T類に匹敵する年もありますが、基本は260点以上あれば合格は見込めます。

理科T類/U類…250(/440)点以上

年によっては220点未満でも合格する年もありますが、250点あれば確実に合格を見込めます。

理科V類…300(/440)点以上

年によっては270点台でも合格する年もありますが、目標としては300点以上の設定で考えましょう。

 

▼各科目の目標点の決め方

 

英語…文系:70〜80点、理系:65〜80点

時間配分が厳しい科目。リスニングが毎回20点を超える+トータルでの時間配分の目処がつくと得点は安定してきます。文系は70点台、理系は65〜70点が死守ライン。通常は80点程度を目標とするケースが多いです。なお、海外での生活経験があったり、記述系のハイレベル模試(駿台高2東大レベル模試など)で全国トップクラスだったりする方は90〜100点以上も目指せる可能性があります(リスニングがほぼ満点+読解のスピードが速いという条件がつきます)。

数学文系:40点、理T・U:50点、理3:80点

得意不得意で最も得点差がつきやすい科目。まず目標完答数を決めて[(完答数×20点)+(半完数×5点程度)]で目標点を計算しましょう(*2完2半目標なら…[(2完×20点)+(2半×5点)]=50点という計算になります。ちなみに部分点は5点で計算していますが、確定値ではありませんので、もちろんどこまで手を付けるかで点数は動きます。)

目標としては、文系:40点、理T・U:50点、理3:80点を一つの目安に考えてください(文系と理T・Uは2完、理Vは3完+α目標。模試では目標完答数と同じ数の大問を必ず解き切ることを意識して取り組みましょう)。

国語文系:60〜70点、理系:45〜50点

超高得点が取りにくく、あまり点差はつかないように見えるが、大量失点して差を付けられると全体戦略が苦しくなる科目。最低でも文系60点、理系45点以上は確保しておきたいところです。得意なら文系70点、理系50点程度まで目標を上げてもよいでしょう(ただし、文系80点以上、理系60点以上は全国で数人しかいませんので、あまり無理な目標になりすぎないように)。古・漢得点が半分以上安定して取れるようになると、全体の得点も安定してきます(現代文は採点基準次第で得点調整されてしまう可能性がありますが、古漢は全訳がベースになりますので、きっちり文章が読解できて、解答で不備が少ない人は、模試でも本番でも安定して高得点が見込めます)。

 

理科・地歴…2科目合計で70〜90点

150分で2科目同時に試験が課されるため、時間配分が厳しい科目。現役生は徐々に知識が増え、理解が深まってくると、得点が伸びてくる(得点できる問題が増えてくる/科目によっては解答時間も短縮できる)ので、地道にコツコツ努力していけば、模試であまり得点取れていなくても、本番では高得点が狙えることもあります。目標点としては、2科目足して70点が最低ライン。目標は80点以上。90点を越えると非常に楽になります(理V志望者は90点〜100点を目標に考えましょう)。なお、科目別では、35〜45点程度に収まる科目が多い中で、物理だけは高得点を目指せる科目です。得意ならば50点以上を目標においてもかまいません。

 

◆◇ 東大個別試験目標点設定 まとめ ◇◆

@ 英語は、文系70点、理系65点以上を死守する。

A 数学は、まず「2問完答」を目標とする。

B 国語は、文系60点、理系45点以上を死守する。

C 理科・地歴は、最後まで得点が伸びる。出遅れないように。

 

□個別試験の目標点設定の手順

以下の@→Aの流れで設定をお願いします。

@「【学部別】目標得点」をベース(第一優先)として全体の目標合計得点を設定する。

Aその上で、ご自身の状況に合わせて【科目別】の得点設定をする。

※「【各科目】目標点」の決め方はあくまで参考値です。科目単体で見れば、英語も数学も70%欲しいのですが、全ての科目でその点数を積み上げると、合格者最高点になってしまいます。そのあたり、ご注意ください。