京大の入試目標点設定について

 

皆さんは京大入試の入試科目・配点・試験時間についてご存知ですか?

→まだという方はこの機会に確実に押さえておきましょう。

京大は、毎年、大学から合格者の最高点、平均点、最低点が公表されています。また、個人の得点情報も開示可能ということで、Z会でもOBOGから得点情報をご提供いただいています。加えて模試も充実しているため、入試戦略が立てやすい大学といえます。

京大は試験科目が多い大学ですので、全科目で高得点を取れるという方は毎年数人しかいません。合格者の大半は、得意科目である程度の得点を稼ぎ、苦手科目で最低限の得点で逃げるという戦略で合格を勝ち取っています。

皆さんにはこれから、センター試験と個別試験の目標点を設定していただきます。入試目標点を予め設定しておくと、各模試をマイルストーン(節目)として、課題発見がより現実的になります。模試の目標点は、この入試本番の目標点から逆算して設定していくことになります(Z会からのアドバイスも、この目標点を前提に考えていきます)。

 

□センター試験の目標点について

・センター試験は共通試験だし、最終的にはなんとかなるだろう

・京大はセンター試験の比率が阪大や神大と比べると低いので、多少点数が取れなくても個別試験で逆転できればいいや

 

…と思っていらっしゃる方はいますか?

確かに京大は個別試験の得点比率が高い学部が多いですし、実際個別試験で逆転して合格している先輩もたくさんいらっしゃいます。ですが、特に現役生の場合、センター試験で高得点を取っておいた方が、入試戦略上は確実に楽になります。少なからず合否に点数は反映されるわけですから、個別試験にアドバンテージをもって臨んだ方が、精神的にも楽ですね。

さらに、解いたことがある方はもうご存知とは思いますが、センター試験は試験内容や時間配分等で意外と曲者です(対策をしていないと、全然得点できない! という科目も少なからずあります)。なお、ンター試験で得点が取れない科目は、個別試験でも得点が取れないことが多いです。今後の学習の中で、個別試験対策をまず優先して考える必要はありますが、センター試験についても、目標点設定から考えて行きましょう。

 

▼合格者はどれぐらいの点数を取っている?

京大については、個別試験の得点も含めた得点状況しか公表されていませんが、Z会OBOGの得点状況を見ると、トータルで85%以上の成績を取っている方は合格率が非常に高いという結果が出ています。個別試験でのアドバンテージや、後期出願なども考えると、センター試験全体で90%以上を目標にするといろいろと計算が楽になります。

 

▼各科目の目標点の決め方について

センター試験全体で90%以上を目標とした上で、各科目の特徴、あなたの状況(模試の点数、同日試験の結果、得意不得意など)、を参考に、それぞれ目標点を設定しましょう。

 

英語(筆記)90〜95%

高得点で安定させたい科目その@です。トータルで90%を目指すなら、英語(筆記)では、最低でも90%(できれば95%)を超える設定で考えましょう。

・英語(リスニング)…90〜95%

京大では、(筆記+リスニング)×0.8で英語得点が決まりますので、最低でも筆記と同じぐらいの成績=90〜95%で考えましょう。

数学TA/UB理系:90〜100%、文系:80%以上

時間配分が厳しい科目その@です。数学がかなり得意で、計算処理が早い方なら、最初からそれなりの高得点が計算できますが、大抵の方は時間配分で苦戦するはずです。問題に慣れてくると得点が上がってきますので、現時点で得点できなくても、夏休みぐらいから計画的に問題に取り組んでいくとよいでしょう。理系の方は90%〜満点、文系の方は悪くとも80%以上を目標点として設定しましょう

国語最低でも80%を下回らない。

時間配分が厳しい試験そのAです。成績上位者でも安定して高得点が取れない科目です。よほど得意な方(全国でもトップクラスの力があると認識している方)ならば、90%の目標点でもかまいませんが、通常の京大志望の方なら、80%が無難なところです。理系の方で、英数理で確実に満点を目指せるなら、70〜75%の目標点でも大丈夫です。

文系地歴/理系理科90〜95%

京大志望者なら、高得点で安定させたい科目そのAです。ここで得点できていないということは、個別試験対策も万全ではないということになりますので、最低でも90%(できれば95%)を超える設定で考えましょう。

理系地歴公民80〜90%

選択科目の難易度に依存する部分はありますが、基本は80〜90%の設定が無難でしょう。

文系理科基礎80〜90%

理系の地歴公民同様に80〜90%を目指しましょう。

 

それぞれの科目で設定した点数を合算して、自分の想定している目標点を超えている場合は、そのままで確定。目標点を下回っている場合は、もう一度各科目の目標点を見直しましょう。

 

◆◇ センター目標点設定 まとめ ◇◆◇

@ センター試験をあなどらない。

A 個別試験へのアドバンテージを得るために、総計90%以上を目指す。

 

 

□個別試験の目標点について

学部によって、年によって合格者平均点、最低点は動きますが、概ねこのぐらいの得点を目指すべき、という点数を以下に挙げます。

まず第一志望の学部の目標点を確認し、さらに各科目の得点の特性を掴みます。その上で、あなたの状況(模試の結果、同日試験の結果、得意不得意など)を踏まえ、それぞれの科目の目標点を出しましょう。

それぞれの科目で設定した点数を合算して、自分の想定している目標点を超えている場合は、そのままで確定。目標点を下回っている場合は、もう一度各科目の目標点を見直しましょう。

 

▼京大個別試験の目標点の決め方について

【学部別】

医学部医学科…70%程度

センター試験の得点&面接結果次第ですが、例年通りなら全体として70%近い得点率が必要になります。どの科目も最低60%以上確保した上で、得意科目で75%以上の得点を目指しましょう。

医学部人間健康科学科…50%程度

センター試験の得点次第ですが、例年通りなら全体として50%得点できれば合格が見込めます。目標としては、どの科目も50%に置くと分かりやすいです。

上記以外の理系各学部…55〜58%

学部にもよって若干の差異はありますが、例年通りなら55〜58%程度を目指しておくと無難です。各科目の目標としては、英数国理のうち、3科目を60%、1科目を50%の目標にすると、計算が成り立ちます。

文系各学部…60%程度

学部にもよって若干の変動はありますが、例年通りなら60%程度を目指しておくと無難です。得意科目は70%、苦手科目でも55%以上を目指すとよいでしょう。

 

【科目別】

基本は学部別の得点率目標を、得意不得意科目で上手く割り振る形になります。

 

英語…60〜70%

シンプルに英訳・和訳を聞いてくる出題ですので、普段の実力が結果に反映されやすい教科といえます。60%以上〜できれば70%近くを目指しましょう。(素点でいうと、100点以上取れればかなり楽になります)。

数学…60〜70%(50%は死守)

普段得点できている生徒が必ず高得点取れる保証はありませんが、普段得点できていない生徒はほぼ間違いなく高得点を取れないという科目です。50%キープを最低条件として、目標は60%、得意なら70%越えを目指しましょう。

文系は大問1題30点、理系は30/35点配点ですので、60%を確保するには、文系だと3完分、理系だと4完弱分必要になります。東大と違って、捨て問は極力作らず、基本全ての大問に手をつけるイメージで、最後まで解き切る(完答を目指す)問題と、できるところまでチャレンジする(半完を目指す)問題を見極めることを意識しましょう。取り組みやすい大問(少なくとも文系は2つ、理系は3つ)は確実に完答すること+その他の大問についても、できるところまで喰らい付いていく意識で問題に取り組んでください。(模試の際はもちろん、普段の練習の際にも意識しましょう)

国語…文系:55〜60%、理系:50〜60%(50%は死守)

現代文で読解しにくい文章が出題されたり、古文で和歌の出題が頻出だったりで、よほど実力がない限りは、なかなか高得点が出にくい科目といえます。最低ラインとして文系55%、理系50%を目指す方が多いと思いますが、もし他に苦手な科目がある場合は、60%に目標を引き上げましょう。(その場合は、必ず京大型の問題に取り組み、添削指導を受けることを強くお勧めします)。

理科…60〜70%

英語同様に、きちんと対策を進めていればある程度安定して高得点が見込めます。60%以上の得点を目指しましょう。ただし、現役生は比較的対策が遅れがちになりますので、高めの目標設定をする際は、計画的に対策を立てるように意識して下さい。

地歴…60〜70%

論述問題の割合が低く、現役生でもしっかり対策をしていれば安定して70%は目指せる出題です。文系合格者の得点率を考えると、ここで最低でも60%以上は確保しましょう。

 

◆◇ 京大個別試験目標点設定 まとめ ◇◆

@ 英語は、60%を死守する。

A 

数学は、まず文系は「2問完答」、理系は「3問完答」を目標とする。

B 

国語は、50%を死守する。

C 

理科・地歴は、60%を死守する。

 

□目標点設定の手順

以下の@→Aの流れで設定をお願いします。

@「【学部別】目標得点」をベース(第一優先)として全体の目標合計得点を設定する。

Aその上で、ご自身の状況に合わせて【科目別】の得点設定をする。

※「【各科目】目標点」の決め方はあくまで参考値です。科目単体で見れば、英語も数学も70%欲しいのですが、全ての科目でその点数を積み上げると、合格者最高点になってしまいます。そのあたり、ご注意ください。

 

□(参考)素点と換算点について

「素点」とは、京大が文系、理系それぞれで設定している共通の配点です(↓)。

・文系…英語150点、数学150点、国語150点、地歴100点の550点満点。

・理系…英語150点、数学200点、国語100点、理科200点の650点満点

 

しかしながら、京大は学部によって配点が異なります。要は、学部ごとに「素点」を換算して、合計点を競うという形となっているわけです。

→京大本体として、ベーシックな配点は持っているが、京大は学部志向が強いので、学部ごとに配点を決めて換算して合否を決めているというカラクリです。

 

なお、京大模試では、「素点」で処理しないと偏差値を学部毎に出さねばならなくなるという事情から、成績表の得点・偏差値はすべて「素点」ベースで出ています。

よって目標は「素点」ベースで決めてください。

*ただし、判定は換算点ベースで計算されています(目標を決める際はここが少し面倒です)。

*センター試験も、大学入試センターが決めている共通の配点はありますが、大学によって換算して合否を決めていますよね。大学が違うなら、点数は異なるのが当たり前ですが、京大は学部ごとに細かく変えている、ということです。