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<わが子を伸ばす教育環境って?>

変わる教育環境 (2) 〜大学入試はどう変わる?

「子どもの可能性をできるだけ広げるには?」と考えない保護者の方はいらっしゃらないでしょう。ここではわが子に与える教育環境について考えていきましょう。

【2016年5月12日】


 
 

こんにちは、中曽根陽子です。前回、日本の教育環境が大きく変わるというお話をしました。その中で今小学生のお子さまをおもちの皆さんにいちばん影響があるのが、大学入試改革の行方です。そこで今回は、現在進められようとしている大学入試改革について、少し掘り下げてお話をします。

皆さんご存じの通り、現在大学入試では「大学入試センター試験」が実施されています。そのセンター試験が廃止され、2021年度より新しいテストが実施される予定になっています。その背景には、前回もお話した通り、これまでの“知識獲得型学力”中心の教育から、その知識を統合して価値判断をしながら課題解決を図る“課題設定・解決型の学力”=新しい学力の育成へのシフトをめざすという国の方針があります。

「高大接続」という言葉を聞いたことがありますか? 高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を新しい時代にふさわしいものにするために、三者の一体的改革に取り組もうというものです。

センター試験に代わる新型テストの導入もこの流れの中で決まりました。なぜなら、川下の高等学校教育を変えるためには、川上の大学入試を新しい学力を問うものに変えることが、いちばん効果的だからです。

今後のスケジュールですが、2017年度初頭までに実施内容の策定・公表、2018年度にプレテストの実施、2019年度に「実施大綱」が策定・公表され、2021年度に新型テストを実施することになっています。また、これに加えて各大学のアドミッション・ポリシーに基づいた独自の入試を行うとされています。

ということは、現在の中学2年生からはそのテストの対象者になります。そこで、中高一貫校では、新テストに向けて授業のあり方を変える動きが出ています。次の新テストがどういうものになるかはまだはっきりとしていませんが、先に述べたように“課題設定・解決型の学力”=新しい学力を図る方向に変わることはまちがいないでしょう。

その方向性を示すものとして、2015年12月に文科省は、記述問題の例を公開しました。国語はグラフや新聞記事などを読んで内容を理解したうえで解答を書いたり、理由を説明したりする問題。また、選択肢に複数の正解の組みあわせがある問題も示されました。数学は日常生活の現象から問題解決に必要な情報や条件を抽出・収集し、仮定をおいて考える問題。英語は英作文とスピーキングの問題がそれぞれ示されました。また、2016年2月には、物理と世界史のマークシート式問題例も公表されました。ここでは、実験結果やグラフから必要な情報を取り出して思考、分析する力が求められています。

これらの問題は、与えられた情報からデータを集めたり傾向を把握したりする能力や、仮説を立て検証する能力を評価するねらいがあるといわれています。

具体的な試験内容についてはこれから数年かけて検討されていくにしても、「思考力・判断力・表現力」そして「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」などを含めたいわゆる21世紀型学力を問うものになるのは確かです。単に、「入試問題が変わる」と不安がるのではなく、お子さまが大人になる時にはどんな世の中になるのか、そしてそこではどんな力が必要なのか、そこを踏まえて対応していくことが必要です。

中曽根陽子(なかそね・ようこ)

教育ジャーナリスト
女性のネットワークを生かした企画編集会社「ワイワイネット」代表。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。「教育現場の取材、著名人インタビューなどを手がける傍ら、海外の教育視察や講演活動も行っている。母親のための学びの場「MotherQuest」を主宰。近著に『後悔しない中学受験』(晶文社) 『子どもがバケる学校を探せ!中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)などがある。
2月に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)が発売された。


 

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