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<子どものココロジー>

学校と家では全然違う

子どもの心のそのココロは? 子どもの行動の裏側にある心理を知るコーナーです。
(Z会小学生コース保護者向け情報誌『zigzag time』2015年1月号)

【2015年3月26日】


 
 
 「人からどう見られるか」、という、他者の目を意識するようになると、子どもはそれまでのように無邪気にふるまうことができなくなります。その代わりに、その場の雰囲気に合わせた表情やふるまいができるようになってきます。ですから、家と学校で様子が違うのは、おかしなことや悪いことではなく、発達のあかしともいえるのです。
 家庭や学校の、どちらの場面でも自分が出せないとか、逆に、わがまま放題でルールなどを守らないのは困りますが、それぞれの場面でルールやマナーを守りつつ、適度に自分を出して、やりたいことを実現していけるようになることが大事です。

内弁慶な子には経験を積ませる

       イラスト・根岸麻衣子

 家では言いたいことを言っているのに、学校ではおとなしくて、友だちの言いなりになっているような、いわゆる「内弁慶」タイプの子どもは、集団行動が苦手だったり、人見知りをしたりしがちですが、恥ずかしがりやで、自分に自信がないのかもしれません。家庭では家族に受け入れられているので、自分が出せているのでしょう。好きな友だちを数人招いて遊ぶようなときには、リーダー的存在になることもあるかもしれません。しかし、内弁慶でプライドの高い子は、クラスで自分の意見が通らなかったり、周りから手厳しい評価をされたり、笑われたりすると、学校では自分を出せなくなってしまいます。外では気をつかったり遠慮したりしている分だけ、家ではわがままを言って発散している子もいるでしょう。
 このようなタイプの子は人前に出る経験が不足していたりするので、授業で手を上げるとか、先生に質問するなど、場面に応じたやり方を家庭で練習させて、自信をつけさせてあげましょう。それと同時に、「人前で失敗しても別に恥ずかしがることはないんだよ」と教えてあげましょう。

外弁慶の原因はさまざま

 逆に家ではおとなしく、聞き分けがよいのに、学校では先生の言うことを聞かなかったり、威張っていたり、友だちにきつくあたったりする子がいます。親やきょうだいのことなどで、家庭で我慢しなくてはならないことがあったり、常によい子でいることが求められているような場合には、そのストレスを学校で発散しているのかもしれません。また、周りからよい子であることを求められていなくても、「お母さんが大変そうだから自分がしっかりして、お母さんを喜ばせよう」と思っている場合もあれば、親が厳しすぎて反抗できない場合もあります。家庭で、子どもがやりたいことをやれているか、親との率直なやりとりや対話ができているかどうか、点検してみましょう。
 また、家ではなにごとにもコツコツ取り組むまじめなよい子なのだけれども、学校ではそのことをひけらかして威張ったり、できない子をけなしたりする子もいます。塾での成績や、自分の家がお金持ちだといったことを自慢する子もいるでしょう。学校で威張ったりするのは、自信のなさの反動が原因の場合もありますが、たとえば成績のことで威張る子は、家庭で常に点数や順位など成績面で評価されているのかもしれません。子どもは親にほめられることや、親が自慢に思っていることに自分も価値を感じるようになります。それを外でも自慢したくなるのは自然な心理ではありますが、やりすぎはよくありません。
 たいていの場合、親は子どもが外でそのように自慢をしていることを知りません。人から聞かされたらショックを受けるかもしれませんが、子育てを反省してみる機会でもあります。「うちの子にかぎって」とは思わずに、たまには、子どもが外でどんなことを話しているのか、先生やよく遊びに行く子の親に聞いてみたり、友だちと遊んでいるときの会話などに注意を向けてみるとよいかもしれません。威張ったり人をけなしたりしているようならば、「自分が反対の立場だったらどう思うかな」と考えさせ、よくない行為であることを伝えてあげます。
 それぞれの家庭の方針や価値観があるので、一概にはいえない部分もありますが、成績や成果だけをほめたり認めたりするのではなく、優しいところや、勇気のあるところなど、その子の内面的な部分も認めて評価してあげることが大切です。

家庭は子どもが ほっとできる場所

 高学年から中学生に向かっては、学校では愛想よく笑っているのに、家では無愛想でふてくされている、ということがよくあります。友だちの前ではいいところを見せたいし、仲間といるときには、その場の雰囲気に合わせて楽しそうにふるまうのですが、人と合わせすぎれば疲れますし、かといって合わせようとしなければ、孤立してしまいます。更に中学生から高校生の時期は、どの程度人と合わせていくかを模索しながら、自分の居場所を見つけて、学級や仲間のなかで適応しながら「外での自分」を確立していきます。そのため、親からすると家と学校での姿がさらに違って見えるようになるでしょう。人間関係もより複雑になり、人によってふるまい方を変えるなど、神経をつかうようになりますので、ほっとできる場所がより大切となります。小学生でも高校生でも、どんなときでも、家庭がいちばん安らげる場所でありたいですね。

 

文 塚崎 京子(つかさき・きょうこ)

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期修了。白梅学園大学子ども学部および鎌倉女子大学児童学部等で非常勤講師。専門は発達心理学・保育学。

監修 無藤 隆(むとう・たかし)

東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。お茶の水女子大学生活科学部教授を経て、現在、白梅学園大学教授。専門は発達心理学。

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