答案講評 9月の回答選と解説

中3
総合|答案講評 中3 9月

今回の課題

今回の答案講評では、以下の課題について取り上げます。

(2)国際的な格差の解消という目的のために、今後どのようなことを行っていくべきだと思いますか。300字以内であなたの意見を述べなさい。
・フェアトレードに関することについて述べても、それ以外のことについて述べてもよいが、(1)で述べた考えをふまえたものであること。
・国や国際機関が行うこと、民間企業が行うこと、社会で進めていくことなど、いずれについて述べてもよい。
・(i)・(ii)の例は参考資料である。解答中に取り上げてもよいし、ほかの例を用いてもよい。

今回は、大問2の(2)を取り上げます。今回の課題は、国際的な格差の解消のために、具体的にどのようなことを行うべきかについて意見を述べるものでした。社会の状況はめまぐるしく変化するため、現時点での考えが今後も最良の考えであり続けるとは限りません。常に世界の動きに注目して、その時代に合った最良の方法を考えていきたいものです。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。

答案拝見

先生

今回は、国際的な格差の解消というテーマでした。
みなさんの答案の中では、格差の解消の手段として、生産者や企業への経済的支援に注目したものが見られました。46-08447-1さんは「生産者や小規模だが人権に配慮した商品を扱う団体を支援していくべきだ」として、生産者や中小企業・団体への支援の重要性を、具体的かつ論理的に述べてくれました。
生産者や企業の関係性に注目した答案も見られました。13-74806-3さんは、「取引を始める前に、NGOなどの中立の機関が「お互いを知り仲を深めるための時間」を強制的に確保する制度が充実していれば良い」と、生産者と企業の関係性をどのように築いていくか、具体的な方法を示してくれました。
また、格差の解消のためにはフェアトレードの認知度を上げることが大切であるという論旨の答案も見られました。
09-79084-5さんは「多くの人に自分たちにもできることがあることを意識してもらう必要があり、そのための活動を生徒向けに展開するべきだと思う」としたうえで、フェアトレードの認知度向上のためには具体的にどうすればよいか、自分の経験にも触れながら述べてくれました。
テーマが壮大に思えたのか、難しいという感想が多く見られましたが、「フェアトレード商品を身近にあるものから探してみようと思いました」(90-43625-2さん)など、前向きな声も寄せられました。普段あまり深く考えることのないテーマであっても、ふだんの生活に結びつけて考えてみると、新たな視点が得られるかもしれませんね。
格差の是正は、近年話題の「SDGs(持続可能な開発目標)」で掲げられている目標の1つです。今回のテーマが、国際的な問題も自分ごととして捉え、学んでいくきっかけとなってくれればと思います。

46-08447-1さん

私は、国際的な格差の解消のためには、生産者や小規模だが人権に配慮した商品を扱う団体を支援していくべきだと思う。まず、(1)で述べたように個人や小規模な団体の力には限界があり、競争力を高めるためには援助が必要だ。例えばマイクロクレジットは貧しい人に事業や商売を始める元手を提供するしくみだ。これによって生活の改善の効果があった。またフェアトレードは適正な価格で商品を購入して生産者を支援している。このような団体を国が支援したり企業が協力したりすることでも、生産者の経済的な自立につながる。以上の理由から私は、生産者や小規模な団体の支援が格差の解消につながると思う。

13-74806-3さん

フェアトレードの仲介の役割を担うNGOによると、企業が生産過程や背景を知らないことが多いそうです。企業側にとっては、必要不可欠な原材料の生産者であり、途上国側の人にとっても生活していくうえで欠かせない収入源であるので、それぞれが良好関係を保ちたいのは確かです。そこで、取引を始める前に、NGOなどの中立の機関が「お互いを知り仲を深めるための時間」を強制的に確保する制度が充実していれば良いと思います。そうすることによって、相手を十分に知っていれば起こらないような問題が未然に防げ、双方に価値のある取引になっていくと思います。

09-79084-5さん

国際的な格差の解消のためには、多くの人に自分たちにもできることがあることを意識してもらう必要があり、そのための活動を生徒向けに展開するべきだと思う。以前学校でフェアトレードの機構の方の講演があり、それをきっかけに私はフェアトレード商品に注目するようになった。そして、家族とも交流したことで、家族一丸となってそれらの商品を選ぶようになった。仕事や子育てに忙しい社会人にアピールするチャンスが少なくても、子どもたちに身近な取り組みについて伝えることができれば、新しい世代に普及できるだけでなく、大人の行動を後押しする力にもなれると思う。生徒の社会学習の一環として学校側も歓迎するはずだ。