答案講評 9月の回答選と解説

中1
総合|答案講評 中1 9月

今回の課題

今回の答案講評では、以下の課題について取り上げます。

政府が決定した2030年時点の電源構成目標のグラフを受け、あなたが政策の決定者である場合、2030年時点でどのような電源構成とすることを目標にしますか。そのような目標を設定する理由、目標を実現するためにとるべき政策や方針にも触れながら、400字以内であなたの考えを述べなさい。

今回の大問2は、2030年時点の電源構成を自分で考えるというものでしたが、好き勝手に構成を決めるのではなく、将来の日本の状況も予測し、理由とともに考えられたかどうかがポイントとなりました。
また、問題には電源構成の2014年時点の状況と2030年の目標がグラフで示されていました。資料が提示されている問題では、資料から読み取れる内容を活用すると、自分の考えがより明確化されます。
今回の課題は、エネルギーについて考える機会となったと思います。今後の動きについても注意して見てきましょう。
※掲載の都合により、表現を一部省略・変更させていただいた箇所があります。

答案拝見

先生

答案では、全体的に「再生エネルギーを積極的に採り入れるべきだ」とする解答が多く見られました。なかでも、目標を設定する理由に説得力があったものや、「目標を実現するためにとるべきこと」について工夫が見られた答案を紹介します。
67-73167-1さんは、化石燃料を用いた発電と比較しながらバイオマス発電の長所を述べることで、目標を設定する理由をわかりやすく示せていました。また、43-99333-0さんは、再生エネルギーの中でも地熱発電や風力発電に注目する理由として、活火山の数やEEZ(排他的経済水域)の広さという客観的な根拠を挙げていて、説得力がありました。
「目標を実現するためにとるべきこと」としては、67-73167-1さんの「国民の支援をお願いしたい」、43-28007-4さんの「世論を説得」という、国民の意見を意識した解答が印象的でした。エネルギー政策が国民の生活と密接に結びついているものであるという意識や、政治に対する関心の高さが感じられます。43-99333-0さんの「それ以外の分野との連携」という解答からは、エネルギー政策を広い視点で捉えていることが伝わってきました。
感想欄では、難しいという意見や、関心があるといった意見が見られました。エネルギー問題は難しい課題であるからこそ、皆さんが関心をもち、考え続けることが大切です。

67-73167-1さん

私は、2030年時点で、日本の電源構成の半分を再生エネルギーとすることを目標とする。中でも、バイオマス発電と太陽光発電に力を入れていきたいと考えている。理由は2つある。1つ目は、バイオマス発電は資源の枯渇の心配がないからだ。化石燃料は埋蔵量に限りがあるが、バイオマス発電の資源となる、木材工場から出る木くずや家庭の生ごみなどは、なくなることはない。また、ごみを資源として利用できるのは、環境にやさしい。2つ目は、太陽光発電は家庭で発電できるからだ。地震で発電所からの送電のシステムが壊れると、各家庭まで電気が送られなくなるが、太陽光発電を使うと、自宅で発電するので、電気を使うことができる。この目標を実現するためには、発電所の建設やソーラーパネルの大量生産、多額の費用が必要だ。(中略)国民の支援をお願いしたい。

43-28007-4さん

石油、石炭、液化天然ガスを0にし、再生エネルギーと原子力が全てを占めるようにする。なぜなら、石油、石炭、天然ガスなどに頼り続けていると、将来的に量が足りなくなって、値段が上がり、電気代も高くなり、また、発電すること自体が出来なくなる可能性があるが、原子力は、制御と炉を次世代型のものに変更すれば、古い発電所でも安全に安定的に稼働することができ、また再生エネルギーは、天候に左右されても、安定して発電できるように、それぞれのエネルギーを全国の地域の気候に合ったものを配置すればできると思うからだ。そのために、国民の世論を説得して、企業などに国の補助金で援助するようにしたい。

43-99333-0さん

まず、原子力をなくし、再生可能エネルギーを中心とし、自然に左右される風力、太陽光などを補うために天然ガスを利用するべきであると考える。中でも日本は世界で4番目に活火山が多い(日本火山学会)。これを活用し、地熱発電を主力に、国土の12倍もの広さをもつEEZ(国土技術センター)を利用した風力発電を活用していくのがよいと考えている。原子力発電をなくす理由としては事故がおきれば海洋、土壌が汚染される、冷却水が必要となる、廃棄物が出る、またこの処理が危険であるとともに、周辺地域に風評被害がおよぶなどがある。なお、先に書いた政策では電力が不足することが考えられる。よって国全体で節電をする必要がある。具体的には、公共交通の利用、自転車の活用を促す必要がある。また、そのためには都市を作り変えることも必要となってくると考えられる。つまりエネルギー政策はそれ以外の分野との連携なくしては実現できないのである。