私は学校の代表としてアンサンブルコンテストに出たことがある。……運命の県大会、私たちは銀賞だった。これ以上の演奏はできない、とみんなが納得するような演奏だった。何より、演奏が終わったあとは全員が笑顔で、とても楽しかった。結果が全てだと考えるなら、私のこの経験は無価値なものになってしまう。
答案講評 2月の回答選と解説
今回の課題
今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。
「なにごとにおいても結果がいちばん大切だ。」という意見に反対する作文を三〇〇字以内で書きなさい。ただし、具体例(自分の体験や、見たこと、聞いたことなど)をふまえ、作文全体を二段落に分けて書くこと。
答案拝見

T.Y.さん
R.T.さん
それまでの苦労や努力をなかったことにしてしまうから
この前、学校で実力テストがあった。私は数学に苦手意識があり、数学の勉強をするのが少し面倒だと感じていた。しかし、今回のテストでは先生に勉強法を尋ねたりして、積極的に勉強をしていった。結果はよくなかったが、たくさん問題を解いたおかげで、私は数学を勉強することが好きになった。
H.T.さん
成長できていることに気づいたから
私は部活動の吹奏楽コンクールで目標としていた大会に行けず、悔しい思いをしたことがある。……しかし、「音が良くなった」とほめられたり、音程が悪い時の改善策を見つけられたことなど、コンクール前から成長できていることに気がついた。結果ばかりに注目してしまうと、それまでの努力によって得られた学びに気づかず全く成長できない。
今回の優秀作品


S.S.さんは第1段落で、駅伝大会に向けてチームで練習を重ねたことだけではなく、優勝を逃した後のことについても詳しく説明しています。それによって第2段落の「結果を一番にしていればチームメイトとの関係も長距離走の練習も終わってしまっていたと思う」という主張がたいへん説得力のあるものになり、「結果がすべてである」という意見に対する説得力のある反論ができました。
また、この答案で特に優れていると感じるのは、文章の簡潔さです。1つ1つの文章が非常に簡潔で読みやすいです。また、「その後」「また」「もし」「だから」といった接続表現を効果的に使って、自分の考えを読み手に伝えることができています。答案を作成する際にはS.S.さんのように表現にも気を使うとよいですね。
最後のまとめの文章も、全体を総括する方向で書けていました。
※今回の講評はここまで。そして中学作文コースも今回が最後の課題でした。これまでいろいろな課題に取り組んでもらいましたが、正解が定まらない作文を書き上げることはなかなか大変だったと思います。それだけに、みなさんの〈考える力〉と〈書く力〉は十分鍛えられたはず。今後、みなさんがこの力をさらに伸ばしていくことを期待しています。
Z会に届いた答案を読むと、ほとんどの答案が設問の条件を正しく理解して、自分の意見を書くことができていました。ただ、中には、説明不足のために説得力が弱い答案も見られました。たとえば、「結果よりも過程が大切だ。なぜなら合唱祭では優勝できなかったが、クラスの団結力が高まったからだ。」と書いた場合、「どのような練習をして、どのように団結力が高まったのか」という「過程」を詳しく説明しないと説得力が出ませんね。尚、「二段落に分けて書く」という設問の条件はヒントでもあるので、各段落に何をどのように配置すれば自分の主張が効果的に伝わるか、書く前に構成を考えてみるとよいですね。それでは、良く書けていた答案をいくつか紹介します。また、「今回の優秀作品」として、S.S.さんの答案を紹介します。