答案講評 2月の回答選と解説

中3
中3 入試直前対策2

今回の課題

今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。

次の課題ア〜エのうち一つを選び、作文を書きなさい。
・課題文を読んで考えたことを、自分の体験をふまえながら、【課題ア】二五〇字以内、【課題イ】六〇〇字以内で書きなさい。
・資料を読み取り、他国の若者と比較した「日本の若者」の特徴と、それをふまえてあなたの考えたことを、【課題ウ】二〇〇字以内、【課題エ】六〇〇字以内で書きなさい。

答案拝見

先生

今回は、文章を読んで書く【文章型】の作文と、グラフなどを読み取って書く【資料型】の作文のどちらか一つを選んで作文を書く課題でした。どちらのタイプの課題でも、与えられた文章、あるいは資料から作文に取り上げる要点を的確に読み取ってまとめること、そして、読み取った事柄に対して自分の意見をはっきり示すことが重要です。まずは、この二つがきちんとできているか、自分の答案を見直してみてください。
【文章型】の作文では、課題文に書かれていた〈無意識のうちに人を傷つけていることがある〉ということに関する自分の体験を紹介するだけで、そこから自分の考えを深めて提示するところまでいたらなかったものが目立ちました。自分の体験をもとにして、〈ではどのように心がければよいか。どのように行動すべきか〉という点まで考えを深められると、読む人をひきつける説得力のある作文になります。
【資料型】の作文では、資料の説明に字数を使い過ぎているものが目立ちました。設問は資料の読み取りだけではなく、「それをふまえてあなたが考えたこと」も要求しています。特に【課題ウ】のような少ない字数では、数値の読み取りをできるだけ簡潔かつ的確にまとめることをこころがけましょう。
ここでは、みなさんの考えた意見をいくつかと、「今回の優秀作品」として、特によく書けていたM.H.さんの作文を紹介します。

S.I.さん
【文章型】物差しが適当に変わることを利用し、相手の立場になって物差しを決める

(自分と友人が同じような経験をした時、自分は納得できない気持ちになったのに、友人には冷たい態度をとってしまった)……私は、逆に物差しが適当に変わることを利用して、その場面での相手の立場になって物差しを決めればよいと思う。勘違いが完全になくならなくても、人を傷つけてしまうことは減ると思う。もしあの時、相手の立場になって物差しを決めていれば、冷たい態度はとらなかっただろう。……どのような時にも、相手の立場になって考えることは大切だ。

N.C.さん
【資料型】自分の将来に希望をもつためには、他人と比較せず自分に自信を持つべき

自分の将来に明るい希望がないのは自分に特技がないと思っているからだと考える。私もよく他人と比べてしまい、自分より他人の方ができる、自分には何もできないと考えてしまう。将来に希望を持つためには、他人と比較せず、自分に自信を持つべきだと思う。

今回の優秀作品

回答

★ M.H.さんの作文 ★

先生

ココが花マル

M.H.さんは、多くの日本の若者が「将来に希望がない」と感じる理由は、日本の若者の自己肯定感の低さにあると考えています。「自分を低くみつもる」という、傍から見れば「謙虚さ」という美徳にも映る性質によって、「自分なんて」というマイナスな意識が芽生え、将来に明るい希望を感じることができなくなっているのではないかと考えていますね。
第三段落からは、自己肯定感を上げるための対策が説明されています。「外国に比べて日本はほめられる機会が少ない」「外国では失敗しても周囲の人がほめてくれて、大切にしてくれる」という日本と外国との違いを踏まえながら、「自己肯定感が自然と上がるような環境」つまり「失敗してもほめられる、認められる環境」をつくっていくことの大切さが述べられています。
自分がほめられ、認められることで自己肯定感が上がり、「将来に明るい希望を持つ若者が増えていく」という流れから、「互いに認め合い、高めあうことが大切になっていく」という結論に至るまで、ひとつひとつの考えをていねいに積み上げている点がすばらしいですね。読みやすく、説得力のある作文です。

◇◆◇

※今回の講評はここまで。そして中学作文コースも今回が最後の課題でした。これまでいろいろな課題に取り組んでもらいましたが、正解が定まらない作文を書き上げることはなかなか大変だったと思います。それだけに、みなさんの〈考える力〉と〈書く力〉は十分鍛えられたはず。今後、みなさんがこの力をさらに伸ばしていくことを期待しています。