答案講評 1月の回答選と解説

中3
中3 入試直前対策1

今回の課題

今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。

次の課題ア〜エのうち一つを選び、作文を書きなさい。
・「読書から学んだこと」という題で、【課題ア】二五〇字以内、【課題イ】六〇〇字以内で作文を書きなさい。
・中学校で「ボランティア活動を必修化する」ことについて、「賛成」「反対」のいずれかの立場に立って、【課題ウ】二五〇字以内、【課題エ】六〇〇字以内で作文を書きなさい。

答案拝見

先生

今回は、【題提示型】と【ディベート型】のどちらか一つを選んで作文を書く課題でした。どちらのタイプの課題でも〈自分の意見が伝わるように書く〉ということがもっとも大切なポイントですが、課題のタイプによって注意すべき点が異なります。
【題提示型】の作文では、自分の体験や本の紹介をすることがメインになってしまって、〈何を学んだのか〉について深めきれずに終わっているものが目立ちました。具体例をあげやすいタイプの課題ですが、〈題で求められていることに明確に答える〉ということを意識して作文を組み立てる必要があります。
【ディベート型】の作文では〈賛成・反対の立場とその理由〉をはっきり示すことはできていました。ただし、具体例の説明や考えの根拠が足りず説得力が不十分なものが目立ちました。理由を説明するときは、課題を読んで初めに思いついたことを表面的に述べるだけではなく、自分の体験や経験から感じたり考えたりしたことをふまえて具体的に説明するように心がけると、説得力のある作文になります。
ここでは、みなさんの考えた意見をいくつかと、「今回の優秀作品」として、特によく書けていたM.K.さんの作文を紹介します。

A.S.さん
【ディベート型】(賛成)ボランティアを身近に感じることができる

私は、中学校の職場体験で介護施設を訪れた時、ボランティアで掃除をやった。利用者や職員の方からとても感謝され嬉しかった。また、様々な話を人生の先輩から聞くことができ、とても有意義な時間だった。初めは、ボランティアをすることに対して自分にできるのかと不安に思っていた。しかし学校で体験をしたことでボランティアを身近に感じることができた。だからボランティアをする人を増やすためにも中学校で必修化すべきだ。

R.O.さん
【ディベート型】(賛成)ボランティア活動は人の気持ちを温かくする

(初めは億劫だった除草活動で自分の担当場所が見違えるほどきれいになったことにより)私の心は温かな気持ちと達成感で包まれていた。きっと私に励ましや感謝の言葉を伝えてくださった方も温かい気持ちだったに違いない。ボランティア活動は人の気持ちを温かくするのだ。以来、私は他のボランティア活動にも参加するようになった。

N.Y.さん
【題提示型】読書は大切なものに気づくきっかけになる

私は前に妹と母が交通事故により亡くなってしまった主人公の物語を読んだことがある。……本を読むことで、友情や家族、昔の思い出、故郷など多くのものが自分にとって大切だということに気づくことができる。……私にとっての読書とは、自分にとっての大切なものを見つけるための一つの方法である。そして、読書は今ある幸せはあたり前ではないと教えてくれる。

今回の優秀作品

回答

★ M.K.さんの作文 ★

先生

ココが花マル

M.K.さんの作文は、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』という小説をきっかけに、今自分が生きている現在のありがたさを学んだという内容です。第一段落では「日々に不満をもつ主人公」「戦争の時代」という二点をキーワードに、小説の内容が簡潔にまとめられています。
続く第二段落では、戦時中と現在の違いを具体的に比べながら、M.K.さんが感じたことについて書かれています。本の内容紹介と物語の感想が、ともに「こうして生きられるのは、とてもありがたいことなのだ」という学びにつながる内容になっているため、文章に説得力が出ています。このように、作文を書くときは、自分が一番述べたい考えをまず明らかにし、その考えを後押しするような具体例を準備できると、文章に説得力が増し、読み応えのある作文になりますよ。

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今回の講評はここまで。次回も、みなさんの答案を楽しみに待っています!