学校の授業では、先生や友達と同じ空間にいるからこそ話してみようという気になり、授業後に先生も交えた数人で問題を議論する状況に繋がる。おそらく一人で淡々とタブレットの問題と向き合うよりも楽しく、効率的に自分の知識を深められるだろう。なので私は、この意見には反対である。
答案講評 8月の回答選と解説
今回の課題
今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。
「知識や技術を学ぶ際には、対面で学ぶよりもインターネットでオンライン化した環境を通して学ぶほうがよい」という意見に、あなたは賛成ですか反対ですか。立場を明らかにして具体例をあげながら、二〇〇字以内であなたの考えを述べなさい。
答案拝見

S.U.さん
M.Y.さん
【オンライン】自分に合った先生を見つけやすい
私はオンライン英会話教室を利用しているのだが、対面に比べて移動時間や天気を気にする必要もない……また、オンライン英会話の教師の条件は英語を話せてインターネットがあることなので、教師の数も多くなるため、生徒は自分に合った先生を見つけやすい。これらの理由から、知識や技術を学ぶ場合は対面よりオンラインの方が良いと考える。
S.O.さん
【対面】「手本」と自分を比較して技術をのばすことができる
私は年長から中一までダンスを習っていたが、小六のときにオンラインでレッスンを受ける機会があった。家にはスタジオのように壁一面の鏡が無い為、先生の教える振付を自分と比較することができず、自分ができているのか分からなかった。……お手本となる人と自分を比較でき、自分の技術をのばすことができる為、対面のほうがよい。
今回の優秀作品


A.I.さんは、塾での授業の経験から「知識や技術を学ぶ際には、対面で学ぶよりもインターネットでオンライン化した環境を通して学ぶほうがよい」という意見に「賛成」の立場をとっています。それは、塾を往復するために費やす時間を「予習やノートの整理をする」ことにあてたことで、「授業の内容を普段よりも理解することができた」からなのですね。A.I.さん自身の実感がもとになっているだけに、説得力が生まれています。
また、結論の「時間を有効に活用し、学びへの理解を深めることができるオンラインのほうがよいと私は考える」という表現に注目しましょう。「オンライン授業では家と塾を往復する必要がないのでその分の時間に予習やノートの整理をすることができた」という具体例が「時間を有効に活用する」という表現に一般化され、「授業の内容を普段よりも理解できた」という具体例が「学びへの理解を深めることができる」という表現に一般化されています。このように具体例を一般化すると考えが深まり、よりふさわしい結論を導くことができますよ。どちらかの立場をとって書く作文には、正解はありません。まずはしっかりとした前提を立てたうえで、作文を書いていくようにしましょう。
今回の講評はここまで。次回も、みなさんの答案を楽しみに待っています!
※毎月、Z会に届いた答案の中から「キラリと光る作品」を選んで「講評」に掲載します。早めに提出し、「講評」掲載をめざしましょう!
※「講評」は毎月中ごろに公開します。お楽しみに!
今回は、自分自身が体験したオンライン授業にまつわるエピソードから考えをまとめたものが多かったです。実体験に根ざしている分、説得力のある作文も多かったですよ。対面ならではの臨場感や双方向性、オンラインならではの効率のよさやペース配分のしやすさなど、それぞれの特徴をよくとらえていましたし、同じ具体例を「対面派」と「オンライン派」の双方が取り上げていることも興味深かったです。今回の課題は、どちらを選べば正解というものではありません。大切なのは、具体例と学び方の特徴を結びつけたうえで〈自分が選んだ学び方の長所が、知識や技術を習得するうえでどのように役立つのか〉を言葉ではっきり示すことです。
ここでは、みなさんが考えてくれたそれぞれの学び方の長所と、「今回の優秀作品」として、特によく書けていたA.I.さんの作文を紹介します。