答案講評 8月の回答選と解説

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今回の課題

今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。

課題文を読んで、解答用紙に三〇〇字以内で感想文を書きなさい。

答案拝見

先生

答案を読むと、多くの人が、心に残った場面を挙げた後で「私が父の立場だったら」「私が妹の立場だったら」と、登場人物と同じ状況に立たされた自分を想像して書けていました。今回のような課題では「時代背景を考えて読む」という部分も重要なポイントになります。食べものが十分に手に入らない状況や、家族が一緒に暮らすことができない戦時中という時代背景から、戦争の怖さや当たり前の日常が送れることへの感謝を実感した作文も多く見られました。
では、答案をいくつか紹介します。また、「今回の優秀作品」として、K.T.さんの答案を紹介します。

Y.S.さん
妹が帰ってきたときに父が妹を抱いて号泣する場面

私は、父親が声を立てて泣いている姿を全く見たことがない。今まで我慢づよく、涙を見せたことのない父が泣いてしまった時は、よほど悲しみをこらえきれない時なのだと思う。この話の父も……妹が帰ってきたときは、親に会えず、とてもつらい思いをさせてしまったという気持ちがあふれ出て涙になったのだろう。子供を誰よりも心配する親の愛情はいつでも変わらない。

A.T.さん
父が葉書に自分の宛名をキチンとした字で書いている場面

私は自分あての宛名を一点一画もおろそかにしないキチンとした字で書いたことはない。なぜなら、結局自分に送られてくるものだからだ。しかし、なぜ父は丁寧な字で宛名を書いたのだろう。父は、妹の健康状態を確認するために、そして、字の書けない妹のために葉書を用意した。その葉書一枚、一枚にはきっと妹の無事を祈る強い思いがこめられているのだろう。だから、父はその思いを葉書にたくしたのだ。

S.T.さん
末の妹が学童疎開したこと

状況も知らずに、小学校に入ったばかりの小さい時から一人で疎開をすることはとても不安になってこわいと思います。ハガキのマルが急激に小さくなったり、バツになったりした時、苦しい思いをしている妹と、手紙を受け取る親がとてもかわいそうだと思いました。ぼくも、一人で飛行機に乗り、五日間両親と離れた経験がありますが、五日間だけでもとても悲しくなりました。なので、妹がどれほどつらくてさみしい思いをしたのだろうと思いました。

今回の優秀作品

回答

★ K.T.さんの作文 ★

先生

ココが花マル

K.T.さんは、いちばん心に残った場面として、父が小さなマルを何も言わずに見ていた場面を挙げました。第二段落では、妹のハガキに書かれたマルがしぼんでいくこととは反対に、父の不安な感情がふくらんでいったのだろうと想像しています。また、父のハガキに対する気持ちが、妹への思いの深さにつながっていることを「帰宅して、あわててハガキを見ようとする」という描写とも結びつけて読みとっています。このように、ハガキを通して読みとれる父と妹、もう少し広い意味で言えば親子の絆の深さについてくわしく説明できたからこそ、第三段落の「どの時代でも、親子は深い絆で結ばれていると感じた」というK.T.さんの感想に説得力が加わりました。
最後に、親子を家族という単位に広げ、「家族全員で元気に暮らせるありがたみを再度実感することができた」とまとめたことで、引き締まった作文になりましたね。

◇◆◇

今回の講評はここまで。次回も、みなさんの答案を楽しみに待っています!

※毎月、Z会に届いた答案の中から「キラリと光る作品」を選んで「講評」に掲載します。早めに提出し、「講評」掲載をめざしましょう!

※「講評」は毎月中ごろに公開します。お楽しみに!