答案講評 10月の回答選と解説

中3
中3 言葉について書く

今回の課題

今回は、次の添削問題について、Z会に届いた答案の紹介と講評をお届けします。

「方言」とは、ある一定の地域で使われる話し言葉のことで、地域によって単語や発音・アクセント・イントネーションにさまざまな違いがあります。「方言」のよいところについて二二〇字以内で作文を書きなさい。ただし、作文全体を二段落に分けて書くこと。

答案拝見

先生

今回は「方言」というテーマで作文を書きました。難しく感じた人も多かったようですが、自分自身の体験やメディアで見聞きした体験を通し、しっかり思いを巡らせることができていましたよ。感想欄に、その「方言」を使っていた友人を思い出して懐かしい気持ちになったと書いてくれた人もいました。共通語にはない親しみや温かさを感じる「方言」について考えを深める機会になったのではないでしょうか。
ここでは、みなさんの書いてくれた「方言」のよいところと、「今回の優秀作品」として、特によく書けていたT.N.さんの作文を紹介します。

G.T.さん
地域の特色をのぞくことができる

雪が多い北の地域では、「灰雪」「細雪」「ぼたん雪」などの雪に関する言葉が、稲作が盛んに行われる地域では稲の状態を表す言葉が、山奥ではイノシシやシカなどの動物や山菜や野菜を表す言葉が発達している、ということを国語の授業で習った。……「方言」のよいところはこうした地域の特色をのぞけるようなところだと思う。

A.A.さん
その地域の一員であるという一体感を強めることができる

同じ方言を使うことは、話す側と聞く側の両者の一体感を強める。これは方言のよいところだ。ある地域特有の方言を話すことで自分はその地域の一員であると自覚できる。そこから、方言には地域の住民同士の親密な関係を作ることを助ける働きがあると考える。

W.K.さん
方言には土地を表す力がある

(「おおきに」と言われただけで、京都にいることを実感したことから)その土地に来たことを実感させる、土地を表す力があるところが方言のよさだ。……近年、方言を使う人は減少傾向にあるが、土地の顔とも言える方言に根強く残っていてほしい。

今回の優秀作品

回答

★ T.N.さんの作文 ★

先生

ココが花マル

この作文のすばらしいところは、方言を通じて体験したことが、さらに深めた自分の考えにしっかりと結びついている点です。T.N.さんは、登場人物の方言を使った会話や、方言によって描写された登場人物の性格などにより、「本の中の世界を想像しやすくなり」「本の世界に深く入りこむことができた」と言っています。そこから、「方言のよいところは、なじみのない世界に入りこむことができるところにある」という思いにつながり、「言葉を知ることは、世界を知ることにつながると方言は教えてくれる」という結論が導き出されています。「言葉を知ることは、世界を知ることにつながる」という、「方言」とは一見、距離のある結論が、読書という身近な実体験によって自然につながり、説得力が生まれました。
第一段落〈「方言」についての具体的な体験(具体例)〉→第二段落〈方言のよいところ(自分の意見)〉という構成でわかりやすく段落分けできている点もよいですよ。
作文を書くときには、伝えたいことがわからなくなってしまわないように、準備の段階で最も伝えたいことを明確にしておくようにしましょう。

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今回の講評はここまで。次回も、みなさんの答案を楽しみに待っています!

※毎月、Z会に届いた答案の中から「キラリと光る作品」を選んで「講評」に掲載します。早めに提出し、「講評」掲載をめざしましょう!

※「講評」は毎月中ごろに公開します。お楽しみに!