クリティカル・シンキング/みんなの意見 9月の回答選と解説

高1
高1・高2 9月度(2019NEM09)
新入試準備室|数学科の宿題

今回の課題

「数学の準備室」にようこそ! 今回の宿題は以下の通りです。

https://www.zkai.co.jp/all_toan/image/1K5201909/201909_mk.jpg

今回の回答選

青森県 たいせいさん 
奈良県 ゴッドファーザーさん

たいせいさんの回答:
5行目で、左辺のカッコ内の値は-1,右辺の値は1であり、両辺の二乗をはずすときは、両辺に絶対値記号をつける必要があるから。
ゴッドファーザーさんの回答:
「a^2=b^2ならばa=b」とは限らない。正しくは「a^2=b^2ならば|a|=|b|」。よって|-1|=|1|から1=1である。
(編集部注)a^2はaの2乗を表しています。

 

たいせいさんは両辺の二乗をはずすときに絶対値記号をつける必要があることを端的に指摘し、ゴッドファーザーさんはそれを式で表してくれました。

愛知県 A.K.さん 
東京都 log Kさん

A.K.さんの回答:
0は何で割っても0になるため、分母が異なっても等号が成立してしまう。
log Kさんの回答:
既約分数とは「分母と分子の最大公約数が1である分数」のことを指すが、約数の定義に準えると0は無数に約数を持つ整数となる。従って、0/2は公約数2を持つことになるので、既約分数ではない。従って0/2を既約分数とするのは誤りである。

 

A.K.さんの指摘は、問題文に「0を何で割っても0だから」とあり、左辺と右辺を別々のもので割っているので、分母が等しくなるわけがないということですね。
log Kさんは、既約分数の定義を踏まえて、0/2が既約分数でないことを丁寧に説明してくれています。
さて、【問題の解説】で触れた2つ目の方法ですが、x/z=y/wのときにz=wが成り立つための条件は「x=y≠0」が成り立つことです。x/z=y/wの両辺をx(=y≠0)で割ると、1/z=1/wとなり、この両辺の逆数をとることでz=wが導かれます。ところが、x=y=0のときは、両辺をx(=y)で割ることはできませんね。

神奈川県 どなるどさん

どなるどさんの回答:
『(a-b)(a^2+ab+b^2)= 0 両辺をa-bで割って』とあるが、a=b、すなわちa-b=0であり、0で割ることはできないのでこれは誤り。

 

結論の3=0を導く直前の操作は「両辺をa^2(≠0)で割って」となっていて、0で割らないように気をつけているのですが、その前の操作で両辺をa-bで割っており、a=bだからa-b=0になっているというひっかけ問題でした。どなるどさんをはじめ多くの方がこれにひっかからずに矛盾が起きる原因を正しく指摘してくれていました。

Z会のつぶやき

 

数学科からの第2回目の宿題,いかがでしたか。証明の誤りを探す機会は多くないので,戸惑った人もいるかもしれません。今回は,添削問題でよく見られる誤答に基づいて問題を作ったのですが,(1)と(3)は投稿してくださった方のほぼ全員が正解していました。(2)はちょっと意地悪な問題だったためか,正答率は5割程度でした。誤答例としては,「0=0の左辺を1,右辺を2で割っているので等式は成り立たない」とするものや,「0/1も0/2も分子が0なので既約分数ではない」とするものがありました。0/1も0/2も0なので,等式は成り立っています。また,0/2は既約分数ではありませんが,0/1は既約分数です。等式の性質と既約分数の定義を再確認しておいてください。
新入試に限らず,数学では論理的思考力が重要です。論理的思考力を鍛えるためには,証明問題だけでなく,求値問題においても前後のつながりを意識しながら答案を書くようにするとよいでしょう。また,本問のように他の人の証明を読んで間違いを探すという作業は,別の頭の使い方が必要になり,論理的思考力を養うのに有効です。友達どうしで採点しあうのがお勧めです。是非やってみてください。