クリティカル・シンキング/みんなの意見 7月の回答選と解説

中3
中3 9月(CLT3E1)
 『すがれの菜の花』からの出題

今回の課題

今回のクリティカル・シンキングは以下のような課題だった。

問題文の読解をふまえて予想していたことや計画していたこととは異なるけれども、結果的によかったと思えたことについて、全体を二〜三文程度にまとめること。

それでは、みなさんが送ってきてくれた回答から、目を引いたものを紹介していこう。

今回の回答選

HKT大好きさん

母に誕生日プレゼントを買うために、コツコツとお小遣いをためていた。しかし、母が欲しがっていた物には金額が届かず、手紙を送ることにした。結果、母は泣いて喜んでくれた。

 

品物は届けられなかったけれど本当に届けたいものはしっかり届いたということがしみじみと伝わってくる。まるでO.ヘンリーの短編小説のようなハートウォーミングなエピソード。

毎日!しゅうぞうさん

小学生の陸上クラブの練習を手伝うことになった。もともと年下の面倒をみるのは苦手だが、自分の得意な種目を指導しているうちに熱くなりがんばってついてこようとする小学生を見てうれしくなってしまった。

 

〈他者との関わり〉が自分の思いを超えたものを生み出すことがあるという実例を取り上げたもの。他者との新しい関係が、自分という〈殻〉を打ち破るきっかけになるということはよくある。結果的に大きく成長したのは小学生よりも毎日!しゅうぞうさんの方かもしれない。

M.O.さん

2年生から3年生へ進級する時、どうしてもこのまま担任でいてほしい先生がいたが、思い通りにはならなかった。しかし、新しい担任の先生がとても自分に合った先生だったので、これからもうまくやっていけそうだ。

 

これも毎日!しゅうぞうさんと同じく、〈他者との関わり〉が想定外の結果をもたらしたことを取り上げたもの。これまでの良好な人間関係を離れて、新たな人間関係を作り出すのは不安も多いし億劫だ。だが10代の頃は自分という〈殻〉も柔らかくて破りやすいはず。最初は「合わない」と感じたような人でも、つきあいを続けるうちにその人の意外な一面を発見して、結果的にかけがえのない相手になる、ということもしばしば起こる。新しい出会いを通してどんどん自分をバージョンアップしてほしい。

W.N.さん

私は小学生の頃から「うるさい」とよく言われていたため、中学校では静かに過ごそうと思っていた。しかし中学生になったばかりの頃、友達との話が盛り上がり、以前のようにたくさん話してしまった。私は失敗したと思ったが、逆に「話しかけやすくなった」と言われ、友達をたくさん作ることができた。

 

自分のイメージ(今は「キャラ」と言うほうが適切なのか)を自分の思い通りにすることが必ずしも良い結果にはつながらないということを示した例。自然体で飾らない自分でいたことが結果的によい人間関係を作り出すことにつながった、というエピソードに思わず考えさせられる。

まっちゅんさん

クラスの学級旗を作ったときに絵の具が白いところに付いてしまったことがあります。それを生かすためにはどうしたらいいのか、と考えた結果ほかのところも色をつけてカラフルにしようということになりました。図案とはちがう感じになったけれども結果的には私たちのクラスらしい雰囲気になり、よかったと思います。

 

「失敗は成功のもと」を地で行く実例。芸術作品の場合、最初から完成形がきっちり定まった作品よりも、つくりあげる過程での偶然や勢いなどが織り込まれている作品のほうが、いきいきとした力がみなぎったものになることが多い。クラスの雰囲気がよく出たものになったという結末も、今回のお題に適ったよい事例である。

Z会のつぶやき

 

今回は、小さくて繊細な菜の花をイメージしていた着物が、予想に反して生命力にあふれたものに仕上がってしまったが、かえってそれが着るべき人のところに落ち着く結果となったという問題文の内容をふまえて、同じような体験を紹介するという課題だった。ことわざで言い換えれば「災い転じて福となす」というところだろうか。
課題に合わせて体験をうまく語るポイントを確認しよう。当初の計画や予想とは異なるのだから、一般的には「障害」「失敗」「挫折」などとして表れるのだが、視点や状況などが変化することによって、それが結果として「成功」になる。したがって、何のどういう変化がその「失敗」→「成功」の転回を引き起こしたのかを明確に示すこと、これがポイントだ。紹介した投稿を含めて、この転回を明確に示すことができていたものは意外と少なかったようだ。この点を確認してほしい。