クリティカル・シンキング/みんなの意見 7月の回答選と解説

中2
中2 4月(CLT2A1)
『半パン・デイズ』からの出題

今回の課題

今回のクリティカル・シンキングは以下のような課題だった。

あなた自身について、新しい環境の中で過ごすことになった経験を一つあげなさい。
また、そのときどんな気持ちだったか、述べなさい。
全体を二文程度にまとめること。

それでは、みなさんが送ってきてくれた回答から、目を引いたものを紹介していこう。

今回の回答選

しいたけさん

全く行ったことのない中学校に向かう道のりは、緊張でいっぱいでした。でも、新しい制服にウキウキしながら、これから始まる生活に期待の気持ちを寄せて、入学式に行きました。

 

中学校進学をあげた人は非常に多かった。このしいたけさんの回答は、〈初めての道のり—緊張〉/〈新しい制服—期待感〉の対比が秀逸。相反する二つの気持ちが入り混じった心情が巧みに表現されている。

Y・Aさん

中学校の入学式で私はいつになく緊張していた。先輩のこと、クラスメイトのこと、先生のことが頭の中を駆け巡り、手がずっと震えていたことを今でも鮮明に覚えている。

 

中学校進学をあげた回答からもう一つ。〈緊張する気持ち〉を、「手がずっと震えていた」という描写を通して象徴的に表現したところが光る。
このほか、中学校進学をとりあげた回答では、“中学校に見下ろされているよう”という比喩を用いたおれんじさん、新しい環境に身を置ける嬉しさをわかりやすく表現したえっさんさん、緊張と不安の気持ちを簡潔かつ的確に表現したクールミントさんの回答が優れていた。

ユキりんさん

長野県に引越しをしたこと。都会と違って空気が澄んでいて、しかし私の中にはもやもやした不安があった。

 

引越しやそれに伴う転校をあげた回答も多かった。ユキりんさんのこの回答は、“空気は澄んでいるのに、心の中はもやもや”と、周り環境と自分の心の中を対比させて表現したところが秀逸。

もちもちさん

私は小学校入学前に徳島から愛知県名古屋市へ引っ越した事がある。「自分は一人ぼっちなんだ」と思うと、途端に心細くなり、都会の大きなビル街も私を呑み込もうとしている怪獣のように思えた。

 

続いても引越しをあげたものから。都会のビル街を「私を呑み込もうとしている怪獣のよう」とたとえることで、〈心細い気持ち〉が実感をもって伝わってくる。
このほか、比喩を用いたものでは「心の中では、いつも土砂降りな日が続いていました」と心情を表現した♪ぱーかっしょん♪さんの回答が優れていた。

ゆめさん

僕は小さい頃から住んでいた埼玉を離れ、インドに四年間滞在しました。最初は海外へ行く興味が勝りあまり悲しくありませんでしたが、インドに着いてから友達がいなくなると急に寂しくなり、友達は大切だなと気付く良い経験になりました。

 

引越しをあげたものからもう一つ。「二文程度」という条件の中で、寂しさの中で気づいた“大切なこと”についても盛り込めた点がよい。

めるのんさん

新しいピアノ教室のリハーサル。みんな上手そうで焦ったと共に私もそう思われるように頑張ろう、第一印象を良くしよう、という気持ちだった。

 

最後は、ここまでに紹介したものとは少し異なる視点から述べたものから。めるのんさんのこの回答は、気持ちの描写が具体的で、臨場感がある。

Z会のつぶやき

 

中2の最初のクリティカル・シンキングに非常に多くの人が取り組んでくれた。たいへんうれしく思う。
今回は「気持ち」を述べる課題だったが、ここにとり上げられなかった回答にも、当時の自分をふりかえりつつ丁寧に表現したものがたくさんあった。
このような自分の経験や気持ちを書く課題では、奇をてらう必要は全くないが、読み手に「なるほど」と思わせるには工夫が必要だ。そのコツを紹介しておこう。

(1)その気持ちになった理由を具体的に書く
今回は「新しい環境」での気持ちを答えるものだったため、“期待と不安が入り混じった気持ち”をあげた人が多かった。このような答えももちろんOKだが、“どんなことに期待や不安を感じていたのか”、具体的に記したほうが読み手に納得してもらいやすい。あなたの気持ちがどんなことに向けられていたのかを明らかにすることで、あなたの〈オリジナリティ=個性〉を出すことができる。
(2)気持ちの表現のしかたに工夫する
〈オリジナリティ=個性〉を出すもう一つの方法は、表現を工夫することだ。例えば、引越しの経験をあげたオラフさんの「すべてがまた白紙になってしまったよう」という比喩は、それまで積み上げてきたものが無になってしまったような気持ちを上手に表現している。自分の気持ちを表すのにぴったりの言葉を探してみよう。

また、クリティカル・シンキングでは、他の人の回答を読むこともとても大切だ。さまざまな考えにふれ、あなたのものの見方を豊かにしていこう。