クリティカル・シンキング/みんなの意見 7月の回答選と解説

中1
中1 1月(CLT1H1)
『おはようからおやすみまでの科学』からの出題

今回の課題

今回のクリティカル・シンキングは以下のような課題だった。

日常生活において、「便利」「自動」が進みすぎた技術・道具だとあなたが思うものを一つあげ、どのようなところがよくないのか、あなたの経験や見聞にもふれながら三文程度で説明しなさい。

今回は、「『便利』や『自動』を受け入れるときには、その『悪い面』も予測できなければならない」という筆者の考えをふまえて、「便利」や「自動」の進みすぎたものの例を探してみるというお題だった。
自分の身の回りに目を向けて、考察してみることができただろうか。
それではZ会に届いた回答から、目を引いたものを紹介していこう。

今回の回答選

みやちゃんさん

私はスマートフォンやパソコンなどのインターネットの技術が進みすぎていると思う。便利になっていていいと思うが、調べるとなんでも答えが載っているからだ。実際に体験したり聞いたりして答えを出すことも大切だと思う。

 

最初に紹介するのは、インターネットの技術について取り上げてくれたみやちゃんさんの回答。何か問題にぶつかると、私たちはついつい「少しでも早く、手間をかけずに答えを知りたい」と思ってしまう。そうした中で、実際に体験したり聞いたりすることの大切さを指摘できた点はすばらしい。

もりのりすさん

通信販売やインターネットショッピングは、店に行くことなくウェブサイト上で商品を購入し、宅配業者が家まで届けてくれる便利なサービスである。しかし、ウェブサイト上で商品を見る事は、商品を実際に手に取らないため、大きさや形が分かりにくかったりする。また、その場で代金を支払うことがないため、買いすぎてしまう危険性がある。

 

インターネット関連の回答をもうひとつ。もりのりすさんは、インターネットショッピングについて指摘してくれた。指摘した問題点の内容が具体的で、とてもわかりやすい。インターネットという便利な技術・道具の裏にある危険に気づかされる。

O・(^O^)・Rさん

私は原子力発電だと思います。なぜなら、安く電気を作れるからといって、災害が起こったときに人間に危害を加えたり、その建物を壊すのにとてもお金と時間がかかるからです。災害への対応やお金の問題もあるのに、原子力発電を作るのは進み過ぎていると思います。

 

原子力発電の問題を指摘してくれたのは、O・(^O^)・Rさん。社会の問題に目を向けて、しっかりした知識をもとに自分の意見を打ち出しているところは立派である。今の問題意識を、これからも持ち続けていってほしい。なお、R.K.さんA.Kさんの回答にも、原子力発電についての高い問題意識が感じられた。

ピーナッツさん

エスカレーターは、便利が進みすぎたものだと思う。階段が動いてくれるため、自分の力を使わない。そのため、体力が落ちる。実際に私も、エスカレーターばかり使っている時期があり、久しぶりに階段を上ると、前はふつうに上っていた階段がとてもつらいものに感じた。

 

エスカレーターを取り上げてくれたのは、ピーナッツさん。自分の経験をもとに書かれた意見には説得力がある。「前はふつうに上っていた階段がとてもつらいものに感じた」という指摘からも、自分自身を冷静に見つめて分析できていることが伝わってくる。

i like baseballさん

僕は、自動車が進みすぎていると思いました。いまの人々はどんなに近くても必ず車を使う人が多いため、今では地球温暖化などの影響があり、それにより、絶滅してしまう動植物が増えているとテレビニュースで、言っていました。なのでこれからは、自分から近い所は自転車や歩きなどで生活していきたいです。

 

自動車について指摘してくれたのは、i like baseballさん。テレビのニュース番組から得た情報をもとに、自分の意見をまとめてくれた。〈近い所には自転車や徒歩でいきたい〉というように、これからの自分の姿勢を力強く宣言していて頼もしい。ニュース番組を見る習慣があるのは、作文の練習にとっても、とてもよいことだ。

あまりてなどかさん

私は、自動ドアは「便利」「自動」が進みすぎた道具だと思う。自動ドアのセンサーは一定の距離で感知するので、ドアの近くにいるだけでも開いてしまうことがあるからだ。不必要に自動ドアが開閉することは、冷暖房の効果が薄れるし、電気の無駄遣いだと思う。

 

自動ドアの問題を指摘してくれたのは、あまりてなどかさん。寒い季節や暑い季節には、投稿された内容に共感する人も多いかもしれない。単に「寒い」「暑い」ということだけでなく、電力の問題を指摘している点もすばらしい。ほかに、ゆうたさん東京大学名誉教授さんも自動ドアについて書いていたが、どちらの投稿も着眼点がよかった。

あゆさん

私が思う「便利」や「自動」が進みすぎたものはエアコンです。最近は自動的にちょうど良い温度にしてくれるものもあるようですが、あまりにもずっと快適な温度のところにいると人間の持つ寒暖差から身を守る機能が薄れてしまうと聞いたことがあるからです。

 

エアコンの問題点を指摘してくれたのは、あゆさん。人間は恒温動物なので、外界の温度が変化しても体温を一定に保つことができる。これはとても優れたしくみなのに、過保護な環境の中にばかりいると、そのしくみが衰えてしまう。とても鋭い指摘で、私たちの日ごろのあり方を省みるきっかけになる。

Z会のつぶやき

 

スマートフォンやインターネットの問題を指摘してくれた回答が目についた。それだけみなさんの生活の中で、これらの道具や技術が身近なものになっているということだと思う。そのほかにも様々な具体例が取り上げられ、それぞれに興味深く読むことができた。私たちは得てして便利さにばかり目を奪われてしまいがちだが、その裏にある問題を冷静に指摘している投稿が多かったことに頼もしさを感じた。
今回の課題では、問題文の「便利さとは、自分自身の中にある能力を失うこと」という記述を参考にしながら回答をまとめた人も多かったようだ。クリティカル・シンキングの答えに正解はなく、みなさんは自由に考えてかまわないのだが、それでもやはり「問題文の内容を正しく読み取る」ことは考えることの前提になる。これからも、Z会の教材や学校の教科書・授業にしっかり取り組んで、そこで学んだことを材料にして自分なりに考える習慣をつけていってほしい。